Sound Lab Kichizyo

Ableton Liveのアレコレ

Sample BeatにKickのパンチを入れたい時

Kickをゴリゴリにしたい

Ableton Liveの魅力の一つに、そのSample編集の便利さがあると思います。AbletonのSample編集は楽しいです。

便利さ故にSampleの使用頻度が高いと思われるAbletonですが、特にLo-fi HipHopのBeatなんか作る時に、サンプルそのままだと、Kickに物足りなさを感じることがよくあります。そんな時に、よく使うテクニックについて書きます。

 

先ずはこのBeat。便宜上Beat1とします。

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結構ゴリゴリ感出してるのに、Kickが貧弱ではないけど、なんかもっとこう、、、となってしましました。

 

それが

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こんな感じで、随分ゴリゴリHipHopで、札束の匂いがするビートになりました!これをBeat2として、こんな感じでKickにパンチを出すのが今回の記事です。

 

といっても、私程度が出来ることなので、別に特別なことはありません。

 

最初はごついKickを探す

やはりその手のKickと言えば、808であろうと思います。特にOld Skoolな感じや、Lo-fi感を出したい時には、ここ何十年基本となっている音でしょう。

Kickのパンチを増すにあたって、808のSampleを適当に探して使ってみました。

 

次はKickをFilteringで役割分け

Kickを低音と高音の二つで考えます。今回の場合は当然、

 

Beat1のKickは高音の役割

808Kickは低音の役割で、これをBeat1に重ねてBeat2の完成につなげる

 

という考え方です。

 

Beat1のKick音は、高音の伸びが良いように感じました。その為High Pass FilterをBeat全体にかけて、Lo-Endを消します。今回は、BPFを入れて、細かい設定をしながらですが、思い切って100hz以下を大きく削りました。

 

次は低音Kick

今回は新しいMidiトラックに、Drum Rackを入れ、探してきた808Kickを入れて、音色の編集が出来るようにしました。これは別にDrum Rackじゃなくても良いと思いましたが、私の場合PushをMPCのように叩いて演奏したほうが早そうなので、Drum Rackにしました。

 

その後の編集は箇条書きをさせて下さい。

  1. 低音KickはSub Kickとして考える。所謂高音の響きの部分は触らず、とにかく低音に専念するイメージ。Low Pass Filterで高音を削る。
  2. Pitch EnvelopeやTransposeで音程を上げたり下げるだけで雰囲気が変わるので試しても良い。
  3. EQや、Spectrum Analyzerを使い、どの部分の音がメインの音域か、視覚的に理解できるようにする。これはMix全般でとても重要だと思います。
  4. Bassの良い音に影響しないように調整する。SideChainや、EQのBPFで調整すると良いと思います。Izotope Neutronはこの辺ホント便利です。
  5. 例えば今回みたいに、Drum Rackなんかに808Kickの音を入れて、Envelope Generatorが使えるなら、ADSR値のDecayで音を長くすることが出来ます。この辺りは必要なら。
  6. ADSR値のSustainも変えると、音の表情が変わります。高価なPluginよりも、ADSR値を触る方が効果的な事は多々あります。
  7. 音の出だしにクリップがある場合は、ADSR EnvelopeのAttackのつまみを上げると、クリップを殺すことできます。
  8. 低音のKickは、EQでLow-Pass filterを使い、余計な高音を出ないようにする。

そこから、808の低音Kickが、Beat1のKickの位置と重なる様にMidiを設定しました。

 

Transposeは結構大事

私も昔はあまり使っていなかったんですが、Transposeは、特にSampleを触る時には、思ってもみない効果があって、予想以上の音が出てきたりします。

これはBeatに限らず、VocalやBassでも面白い効果が出る時がありました!

 

Beatを完成させる

今回の例で言いますと、Beat1の高音Kickが鳴っている部分に、808を編集した低音Kickを重ねるようにしました!

 この際、微調整としては

  1. 欲しい音と、要素をはっきり考える。
  2. 低音Kickと高音Kickの役割をしっかり考える。
  3. 単品で聞くと悪い音でも、重ねると良い効果があるので、あくまで二つ重ねた音がメインである事を忘れない。
  4. EQ、Filtering、PitchとTranspose調整、SustainやDecayの設定をまず行い、PC負荷を減らすため、プラグインで無理矢理解決しないようにする。

という点を意識しました。結果Beat2の完成となります。

 

BassをSideChain Compで潜らせる

この作り方をすると、相当Lo endが出てくるので、BassのEQ調整が難しくなってきます。自分はSideChain Compでベースをしっかり潜らせるようにしました。また、Kickが鳴ってる場所にBassのアタック部分を被らせない工夫も行いました。

この時、Izotope Neutronなんかは、マスキングしてる場所がハッキリ分かるので、とても便利です。

 

それで、結局完成した曲は、全然HipHopじゃありませんでした、、、お耳汚しですが、聞いてもらえると嬉しいです。

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