Sound Lab Kichizyo

Ableton Liveのアレコレ

Free Guide: Mixing with iZotopeの要点を纏める その2

前回の続き

Mixing with iZotopeの本文はこちらのリンクから。

Mixing with iZotope 

 

前回の記事はこちらから

 

前回の記事にも書いていますが、私がななめ読みで、重要と思った部分だけ翻訳したもので、完璧な訳ではありません。しかも箇条書きです。誤字脱字、内容の不備等ありましたら修正いたします!よろしくお願いします!

 

次の記事はこちらです。

 

kichizyo.hatenablog.jp

 

最後はその4です。

kichizyo.hatenablog.jp

 

MixにおけるDynamics process(Comp等)

Dynamics(音の強弱の調整、または音量調整と訳すのが適切と思われる)

・Dynamics編集を、をただ音を大きくする為の作業と考えてはいけない。Dynamics(音量の強弱)幅は、様々な音楽的効果を加える。
先ずは、二つの主要な種類を知る。
1、Comp&Limitting
2、Expansion&Gating
の二つである。

 

・Comp&Limitting
例えば、ボーカルが高音を歌う際に、ボリュームが大きくなる場合がある。この不要な大きさを抑えて、聞きやすくする。音の波の形を変えずにCompress(圧縮)する。

 

・GateとExpansion
例えばドラムのスタジオ録音で、スネアマイクに入った小さなハイハット音など、不要な音を消す。

 

Compの基礎

・Threshold、Ratio、Attack、Releaseについては、基本なので省略する。

 

・Compは基本的に音の信号を歪ませるものと考えてよい。この為、Compの種類にもよるが、オリジナルの音質を変えるものが多い。”透明なComp”というものがMixにおいては、理想な場合が多い。

 

・Compによるディストーションを下げる方法の基本は、AttackとReleaseの調整である。Attackが早すぎると音は急速に抑えられ、Releaseが速すぎると音の不自然な膨張を引き起こす。

 

Art of Dynamics Processing

・2:1~5:1程度の低いRatioは、音を均一化するのに有用。音が飛び飛びに録音されているフレーズや、Volumeの違いが大きいパートなどに使うと良い。

 

・一つのCompで大きく圧縮するより、二つのCompを軽く重ね掛けした方が良い結果が出ることがある。

 

・ドラムやパーカッションへのCompは、Releaseを早めにするのが基本。原音のDecayを保つのが重要。不自然な膨張を作らないように。

 

・一方で音の頭を殺さないためにパーカッションやChop系の音のAttackは、Fastにしすぎないように注意する。音の頭に不自然にコンプがかかる。アコギへのCompの注意点としてピックで強く弾かれた音は、勢いを殺しすぎない程度にFast Attackで、コードをストラム(じゃかじゃか引く)するような音は、Slow Attackがハマる傾向がある。

 

・つまりFast AttackはAttackとSustain(ここでは音の持続の意)を安定させる。
Slow AttackはDynamicsを強調させて、音をきらびやかにする。と考える。

 

ディストーションギターはそもそもCompがかかっているので、余程大きなレベルの差がない限り、Compは必要ない。

 

・ボーカルは特に難しいが、一般的なスタートラインとして、まず特にうるさい音を抑えるため、High RatioのComp、またはLimitterをかけて、過剰なVolumeを抑える。次に3:1程度の軽いRatioで全体にCompをかける。この作業で、Volumeの大きすぎる場所を抑えつつ、ボーカルの持ち上げ過ぎを避けることが出来る。

 

・Compの重ね掛けには、New York Comp等、いくつかのテクニックがあるので、調べてみると良い。

 

・CompのReleaseタイムをテンポに合わせるという手法がある。例えば八分音符のスピードにReleaseを合わせ、Thresholdを大きく下げる。そこから少しずつThresholdを上げて、コンプでビートを作るような効果が、自然に現れるところThresholdを設定する、実験的な方法である。

 

・-6~12db位の強いGain reduction設定のLimitterを、Bassにかけると、Low endがグッと固まる場合がある。

 

・スタッカートのHorn系の楽器は、Fast Attackから始めると良いが、あくまでスタッカートの部分を殺さない程度にする。スタッカートはリズムが強調されるので、ある意味ドラムのような考え方で、重ね掛けしても良い効果があることが多い。

 

・Compのかけ過ぎは、音を均一化させ、楽器のエナジーを殺してしまうが、実験的な音が欲しい時には試してみるのも良い。

 

・ EQ と同じように休憩を取りながら、BypassのOnとOffを繰り返しながら聞く。基本的に、Compはメーターを安定させるのが、その役割ということを忘れないようにする。

 

Mixing with iZotopeには書いてないけど、追記してあった内容

参考にした記事はこちらです。

[保存版] コンプレッサーのタイプ別活用法

コンプレッサーの使い方!種類によって音色との相性があるって知ってた? – Yugoの不思議な音楽の国

コンプレッサーの動作原理、全5種類 その① | 音楽のブログ

https://goodsound123.com/2018/09/18/comp-3/

調べた訳ではありませんが、この方たちはおそらく全員プロと思います。プロの人達が、こういう形で情報をネットに載せて、私達素人が読めるというのも、すごい時代になったなぁ、と感じます。

 

・コンプの種類に関して


1.Fetish Comp。特徴は以下

・アタックが早い→ドラムやパーカッション向き


・逆の特徴を持つのが、後述のOPT(光学式)


・Thresholdが無いので、Inputでかかりの強さが決まる(あるものもあるが、アタックは早い)


・パンチが出るが、歪やすく、倍音が増す

 

・テンポの速い曲に勢いを付けたい時、パンチの聞いた音に変える

 

・アタック感を足したい場合や、タイトにしたい場合に良い

 

・味付けのない自然な音には向かない

 

 2. VCA type

・主にマスターやバスコンプとして使われ、ナチュラルな効きで音に一体感と迫力を足す


・Gain reductionが-2db位で、アタック遅め、リリース早めでナチュラルに効かせる。リダクションされた数値をそのまま補う程度に上げると良い


・このコンプを使う時は、EQは基本はこれの前に挿す。ある程度ダイナミクスが揃っている波形に対して、滑らかにコンプをかけるのに向いているから。

 

・かけすぎると低音が消える。低音重視のキックなどには向かない。


・幅広い楽器に向いてるが、良く言えばクリーン、悪く言えばつまらない音の為、考えて使うと良い。

 

・スネアやラテンパーカッションなど比較的中高音を重視するリズム楽器のアタック感を出すなどに向いている。


・アコギや弦楽器などの出音に相性がいい。音抜けが悪い時に、EQでは無く敢えてこれを使い、倍音を足して音抜けを作るという使い方もある
 


3.真空管(Tube)

・通すだけで倍音効果。音に温かみが出る。

 

・インプットで倍音を増して、アウトプットで音量調節するタイプも有る。

 

・アタックが遅く、ファットで明るくなる


・音色を変えたい時はTube。変えたくない時はOPT


・色付けしたいトラックには何にでも使える

 

・比較的どんなジャンルにも相性良く合う。


・アナログな感じで音割れせずに自然に音圧を上げたいとき。


・タイトな音には向かない

 

・遅いアタックと真空管の歪みが売り。アタックが遅いという点では光学式と共通しているが、さらにスローアタックも可能なの為、トランジェントを残したいときやマスタリングなどでの用途にも向く。

 

・ボーカルに使うとエンハンサーのような効果もでる。

 

4.OPT(光学式)

・アタックは遅く自然なかかり方。音のばらつきを抑える時に向いている。その為、-2~-3位のGain reduction設定にしないと、コンプがかかり続ける事が多々ある


・ボーカルやストリングスのレベルを自然に整える作業に向いている。

 

・アタック感を出したい、音をタイトにしたい用途などに向かない。

 

・キックやベースなどリズム隊のグルーヴ作りなどに向かない。

 

・テンポの早い曲のノリづくりには向かない。

 

 

この他にも種類はありますが、現状DAWでメインとなっているのはこの辺りと思われます。Waves、UAD、Slate、Brainworks、MCDSP等、メジャーな所も、大体この4種のようです。

 

MixにおけるPanとStereo Imaging

・最近の音楽ではDrumとVocalがミックスの最重要になる傾向がある為、Kick、スネア、Bass、Lead Vocalは中心に位置する事が基本である。

 

・人間の耳は中心の音と、極端に左右に触れている音をよく拾う傾向がある。

 

MS 処理

・現代音楽では必須になってきている処理。基本的には曲の心臓部のMid マイクと二方向性のSide マイクを個別に処理すると考える。つまりMidを上げるとMono感が強く、Sideを上げると、Stereo感が強くなる。

 

The Art of Panning & Stereo Imaging

・ 周波数の幅が近い楽器がある時は、それらを対応させて左右に振る。主要な楽器の場合、極端に振る必要はない。例えば、ギターが若干右、ピアノは若干左、の様な形が良い。そうすることでバランスをとる。

 

・曲のバース(Aメロ、Bメロ、Cメロ等)の部分では、あまり音を左右に広げず、コーラス(サビ)部分で、オートメーション等でステレオ感を広げるようにすると、聞かせたい場所が際立つ。

 

・たまにはMonoで曲を聴くことも重要である。中心であるMonoで聞いたときに、あまりにも元の曲調を失いすぎる事は避ける。

 

・ヘッドホン環境での確認を忘れないようにする。優れたモニターとは違いヘッドホンは完全左右分離型の為、聞こえ方が違う場合がある。バランスが崩れていないか要確認。

 

・左右どちらかに、リズム感が偏るのは避ける。特に高い周波数。例えばギターとハイハットでは8分や16分音符と、似たようなリズムを刻む事が多い。これらをバランスよく左右に振る必要がある。

 

・昔の曲や、最近のヴィンテージ感を強調させる手法でDrum全体を、大きく左右どちらかに振り、その反対からベースを対応させて出すという手法がある。これも面白い結果を出す事がある。

 

・リズム感が強く音程の面でも重要な楽器、例えばアコギのバッキングの様なものは、トラックを複製して、一つを極端に左右どちらか極端な場所に、もう一方をその反対の極端な位置に置くと、大きな広がりを出せることがある。バースでは普通のPan設定で、コーラスに入る時にPan設定をこの方法にするという手法は、効果的である。

 

・スネアは中心に置くと曲にパンチを出すが、左右どちらかに少し振ると、リスナーは中心のKicやVocalに集中するようになる。中心に何を置いて聞かせるかは重要である。

 

・基本的にLow endは全てmono。Mid rangeは極端に広げても良い。High rangeはそこまで広げなくて良い。ドラムの場合は、実際のドラムセットの位置を考え、適切にPanする。

 

youtubeにある、50/50 Panningに関して

www.youtube.com

 

少し基本とは違う為、私はこれで実際に曲を作ったことはありませんが、一応こういう方法もあるということで紹介します。

100%左右に振る楽器、50%しか振らない楽器、センターに位置する楽器、の三つの構成要素で考えます。


センターは、キック、ベース、ボーカル。50% Panは、1つか2つ、主に聞かせたい楽器がこの位置。左右バランスよく振ります。周波数も類似するものを左右に振ったほうが、音の被りを防げます。

100% Panは、Backingが主。ボーカルもギターも、Padでも、バッキングと考えられるものは全て100% Panで設定します。

 

Monoで聞いたら全然違う印象になるから、かなり邪道とは思いますが、とにかく簡単で何も考えなくても良いので、一度この設定をして、細かくPanを調整する、スタートポイントにしても良いと思われます。

 

長くなりました!ありがとうございました!