Sound Lab Kichizyo

Ableton Liveのアレコレ

Free Guide: Mixing with iZotopeの要点を纏める その3

続きものです

原文はこちら

Mixing with iZotope

 

その1はこちら

kichizyo.hatenablog.jp

 

その2はこちら

kichizyo.hatenablog.jp

 

最後はこちらです。

kichizyo.hatenablog.jp

 

では続きです!

MixにおけるTime based effect(リバーブ等)

・曲の空間調整、音が鳴る場所自体の大きさや距離を作る。

 

・Reverb
空間の大きさや、質(石の建物、木の部屋、スタジオなど)を設定する。

 

・Reverbの選び方。Tempo、Style、Type、Timeが重要


・Tempoが早いとタイトな狭いリバーブ。Room Revが良い例。Tempoがゆっくりなら広いRev。Hall、Church等。Chamberは狭いけど反響が大きい


・例えばBPM160の曲でも、BPM80の要素がある。この為、その楽器の要素でRevを変える


・SpringとPlateは独特なトーンを足したりする。ギターアンプに入ってるのがSpring。SpringはTopとBodyにリバーブ感を加える。Plateは例えばSnare等に違うトーンを足したい時に使う。


・Revの種類を変える事で曲にコントラストが出る。明るい曲に明るいRevは、Mixで埋もれたりする


・Predelay(リバーブ音が出るまでの時間)も重要な要素。詳細は以下
  

・原音の輪郭を出したい時に使う。Predelayを上げ、Early Reflection(最初の反響音)を下げると音に輪郭が出る


・逆にPredelay 無しでTailを上げると、原音が後ろに下がる

 

・TailとPredelayを上げ、Early Reflectionを下げると、空間は大きくなる。

 

・Time(Reverb time)設定で重要なのは、Attack Timeは音の立ち上がりから最大音量になるまでの時間の事。Decay timeはサステインレベルまで落ちる時間の事。Sustainは持続時間。HoldはSustainの継続時間。ReleaseはSustainが終わってから反響が無くなるまでの時間

 

・センドで使うのが一般的。Wet100%で使う

 

・Delay
所謂エコー。様々な使い方があるが、Reverbよりも横の広がりを抑え、ピンポイントで効く。空間を広げ過ぎず、奥行きのような形で効果がある。重要なことは

  1. 聞かせるよりも感じさせるエフェクトとして使うか。
  2. 楽器の音そのものを変える用途で使うか。

の二つである。

 

・楽曲にトラックを馴染ませる為に使う。奥行きを与え、ピンポンなどは大きく左右に広がる

 

Delay TimeでSyncを外す場合は、60000ms÷BPMで四分音符の長さが出せる。Syncでリズムに合ったディレイが一般的ではある。

 

・Feed Backは繰り返しの長さ。原音の音量の何%に下げてInputに戻すか

 

・Dryが原音でWetはDelay音。割合を見つける

 

・Delayの種類は

 

  1. Short 50ms以下。特に35ms以下はダブリングエフェクトとなり、音が太くなり濁る
  2. Medium 50ms~200ms。例えばBPM120の曲で16分音符が125ms。この辺りはカラオケのエコーの様な反響音。薄くかけると厚みが微妙に広がり、リバーブと併用すると、Delay音にリバーブがかかり、ハーモニーに影響する
  3. Long 200ms以上。所謂やまびこ。ハーモニーに大きく影響する

位で考える。

 

・インサートは原音が変わるためSendが一般的。リバーブと同じ様に、Wet100%で使う。

 

・Chorus & Flanger & Phaser
これらはすべてDelayの変化版である。
Delayはエコーにより音に揺らぎと厚みを加えるが、そのエコー音が聞こえるまでの長さの違いで、これらのエフェクトは区別される。

一般的に人間の耳が、所謂やまびこ音として、原音とエコー音をはっきり別々に認識出来るのが、Delay time 50ms以上であるが、Phaserは0。Flangerは1~5ms。Chorusは5~40msとなる。

Depth(%で表される)は音の揺れの深さ。40msのDelay timeで20%のDepthだと、30~50msの揺れを与える。Rate、またはSpeedは、音の揺れの速さ。これらは感覚的なもので実際触ったほうが分かりやすい

 

The Art of Time Based Effect

・ReverbやDelayの反響音に、緩やかなハイパスとローパスフィルターを掛け、High endとLow endをの響きを抑える。Midの帯域の響きは、広さと深さを出すのに有効である。

 

・Lead VocalのReverbの反響音5khz 以上をローパスフィルターでカットすると、歯擦音が減る。

 

・Mono ReverbをLead Vocalに加え、さらにそこからStereo Delayを足すという手法は、Vocalを中心位置に据え置きつつも、Delayを一風変わったChorus調Reverbのように使える、面白いエフェクトである。

 

・Vocalに後から8%WetのChorusを加える。ほとんど聞こえないが微妙に空気が変わる。

 

・バース(Aメロ、Bメロ、Cメロ等)のパートのReverbと、コーラス(サビ)のパートのReverbで、別々のものを使う。2種類のReverbを組み合わせるのも良い。

 

・Delayを強調させたい時、又はリズムにノリを加えたい時は、Delayのテンポを、曲のテンポ±10msに設定すると、ノリが出てくる。

 

・実験的な使い方として、ドラムのClosed mic(スネア、ハイハット)にDelayを加える。Delayが適切なレベルであれば、シャッフル感やスウィング感を演出出来る。ギリギリ聞こえるようなレベルから徐々に上げて、適切なエフェクト量を探ると良い。

 

・BassにChorusを加える。先ずはChorusのフェーダーを0にして、徐々に上げていく。Bass音が、中心にあるKick音を囲むようなイメージが聞こえてきた辺りで、フェーダーを止める。上げすぎに注意する。Low endは広がりすぎてはいけない。

 

 

・センドのリバーブにコンプをかけると、反響音が圧縮され、良い効果が出ることがある

 

・SnareにはSpringとPlateが良く使われる。Predelayで輪郭を強調させたりもする。

 

・センドに挿したリバーブとディレイの反響音は、EQで必ずLow endをカットさせる。Low endのMuddyを防ぐ

 

・特に左右に大きく振った楽器には、反対側からリバーブ音を出すと良い効果が出る時がある

 

・Voには数種類のリバーブを使うと効果的な場合が多い。基本的に、ボーカルの声が出ている最中は、Side ChainでリバーブをCompする

 

・少なくとも二つ、三つ以上のリバーブを使うようにする

 

・Delay音に歪を加えると質感が出たりする。Delay音にリバーブフランジャーなどをかけると、広がりが出る。

 

・LeftとRightのDelayを、それぞれ別のものを使うと、浮遊感が出る

 

・シングルディレイはアンビエンスが出る

 

・センドのDelayに、リバーブを足すことで自然な広がりになる

 

・フレーズの最後にだけ、オートメーションを使いDelayを強くかけ余韻を残すという手法がある

 

・小節をまたいだDelay音が不協和音にならないように気を付ける

 

・リバースディレイ面白い

 

・Delay音のピッチを変えるという特殊用途もある

 

・Delay音を敢えて付点八分音符や二拍三連にしたりして、複雑なリズムにピンポンさせたりも出来る

 

・入力音量でDelayの効きを変化させるDucking Delayの機能があるプラグインもある

 

MixにおけるDistortion

Distortionはトマトソースの中のガーリックのようなもの。入れ過ぎれば不快だが、適量であれば抜群のニュアンスを加える。

 

倍音を加える事で、音の存在感を増やす。パンチ感のあるTube系Distortionをキックへ、明るいTape系Distortionをドラム全体やVocalへ、等、音を豊かに際立たせる為に使われる事が多い。

 

ハーモニクスを飽和させるものをDistortionと呼ぶ。Mixでよく使われるのは

・Tube系:音の頭、アタックの部分を強調させる。この為、音に”パンチが出る”と表現される。低音に影響が大きい為、音を”Warm”にさせる、とよく言われる。


・Tape系:奇数次の歪みを強調する。全帯域に影響するが、テープヒスという言葉があるように、高音が目立つ。そのため”Bright” や ”Warm”と表現される。

 

The Art of Distortion

・ギターやキーボードが多い曲で、ベース音の輪郭を抜けさせる為のDistortion。ベース音の輪郭部分は、他の楽器に消されることが多いので、歪みで抜けを作る。

 

・ドラムBus(ドラムトラック全体)にDistortionをかける。Compのように音を馴染ませる効果がある。

 

・Lead VocalのDistortionは、音を際立たせる効果がある。また、Back Vocalへ重めのDistortionをかけ、Back vocalのVolumeを適切に下げると、Vocalトラックの厚みが変わる。

 

・音が綺麗すぎる、抜けが欲しい時には何でもDistortionを入れて良い。掛け過ぎないように注意する。オートメーションでDistortionのレベルを変えて行くのも効果的である。

 

・Vocalトラックを複製し、複製したトラックに重いDistortionをかける。Vocalを聞かせたい時に複製加工したVocalトラックを小さな音で加えると厚みが出る。

 

・30%以下の軽いDistortionを、センドから送る。どんな楽器でも良い。抜けが出る。特にドラムとアコギ。

 

・強いDistortion、弱いDistortion、種類と使い道を考えると、多くの音色にマルチに使えることをが分かる。Mixが捗る。

 

とりあえず、あと一回で終わりそうです!ありがとうございました!