Abletonユーザーはこちらを先に読んでみると良いと思います
kichizyo.hatenablog.jp
令和元年12月3日の記事です。結構致命的な事が書いているので、一応ご参考までに。
(令和元年12月3日追記)
何となくProTools専用の緑のアレというイメージがあるプラグイン、McDSPですが、随分前からVST対応の、チャンネルストリップのプラグインを制作しています。
今回は現時点(令和元年10月)で最新になる6060のEQを調べてみたいと思います。Compはちょっと比較が難しいので、EQだけやります。
ところでですが、このMcDSP 6060、チャンネルストリップのプラグインの中では結構有名です。このサイトとか。
iconcollective.com
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Slateは素晴らしい出来らしいです。サブスクリプションは私は正直嫌いですが、ちゃんと購入もできますし、レビューがなんだかんだ良いのはSlateです。確かにちょっと欲しい。ちょっとじゃなくて欲しい。
Universal Audioが一番、という方が多くいますが私も確かにその通りと思います。高額に見合う効果なのも承知しております。何回か使わせてもらいましたが、確かに素晴らしい。群を抜いています。もう正直欲しい。でもちょっと高い。PCIe空いてるし入れちゃおっかな!とかいつも思っていますが、ちょっと勇気が必要なプラグインです。最高なのは本当にそう思います。
iZotope Neutronはとにかく便利です。Wavesは、WavesですがOmniはやはり評価が高いです。Softubeもファンが多いようです。BRAINWORKSも然り。圧倒的SSL感です。これも良さそうです。しかし、多機能なチャンネルストリップが欲しいと思って、目をつけたのがMcDSP 6060でした。
Media Integrationで扱っていて、公式はこちらから見れます。
6060 Ultimate Module Collection | Media Integration, Inc.
なんか色々機能が付いてる
McDSP 6060ですが、確かにチャンネルストリップなんですが、上記のサイトの10 Best Channel Stripの中でも、特別機能が多いのが特徴です。どの位多いかと言うと、EQ、Comp、Distortion、Saturation、Filter等を合わせて、30以上あります。今数えたら34でした。
内訳は、EQ12、Comp10、その他12です。
これがMcDSPの魅力と思われます、チャンネルストリップと言うと、何となくEQとCompがメインで、SaturationとかDistortionの効果があるもの、みたいなイメージで私も使っていましが、このMcDSPは本当にそのエフェクトが細かく多岐に渡ります。
特に個人的にBOBはかなり使っています。WavesのMaxx Bassと二つ持っていたら、低音がかなり扱いやすくなります。最近ではMaxx BassよりもBOBを使うことが多いです。何となくSaturationがかかっているというか、独特な風味が有るように思えます。バイアスが二つ有るのも良いです。
以下はBOBに関する公式の文章です。
BOB(bass optimized bias)
低域の響きをさらに暴れさせることに最適化してデザインされたのが、Bass Optimized Biasモジュール、BOBです。
指定したローエンドの帯域を24 dB以上もブーストし、かつ指定した帯域以下の信号は減衰されるため、
狙ったローエンドを的確に強調することができます。
Squashコントロールにより、ブーストするローエンド周波数付近の帯域に、
指定したリカバリー・レートでコンプレッションをかけることも可能です。
さらに2つのバイアス・モードで、より柔軟なトーンを加えられます。
と、BOBの話は簡単にして、今回のテーマのEQをやってみます。でも、BOBは良いですよ。
EQの個性を調べてみよう1
とりあえず、変化が分かりやすく、どの周波数も満遍なく網羅している楽器ということで、ドラムループのサンプルに、EQ12個を、一つ一つ、全種類かけて調べてみます。ちなみに、ここで言うEQは、ラックを読み込んだ時に、EQのカテゴリの中に分類されているものとします。
と言っても、一気に12個分聞いたら訳が分からなくなるので、半分の6個で区切ります。
先ずは、最初の6つの公式の文章を引用します。
E671
Fairchildは素晴らしいコンプレッサー/リミッターだけでなく、優れたプログラム・イコライザーも開発していました。
E670の設計の基礎にあるのは、まさにそのFairchild 664 2バンドEQです。
中域のパラメトリックEQ、穏やかな低域とハイシェルビングEQが、E670に滑らかなサウンドを与えます。
独立したゲイン、周波数コントロールを持つ3バンド構成は、現代のスタジオに必要な、十分以上の柔軟性を提供します。
あらゆるミックスの局面で細やかな調整を加えることができるでしょう。
MooQ
全真空管による回路設計の特徴といえば、その雄大なヘッドルームと温かみですね。
Moo Qはその質感を3バンドのパッケージに収めています。
iQ
6060コレクション中、唯一の2バンドEQがiQです。
あらゆる音楽ジャンルのミックスにおける微調整に最適なモジュールでしょう。
ローエンドの「暖かさ」やハイエンドの「艶」が必要なトラックに、iQモジュール が役立つはずです。
E300とE301
このEQが光学式を採用しているわけではありませんが、
McDSPではOpto-C/Lコンプレッサー・モジュールと対になるEQを6060 Ultimate Module Collectionに追加したいと考えていました。
Opto-C/Lは優れた汎用コンプレッサーで、Opto-Lモジュールはビンテージ リミッターのように動作します。
E300/301はいずれも非常に実用的な3バンドEQモジュールです。
共通の帯域とゲイン・レンジ設定を備えながらも、E301は帯域幅が狭く、特に高ゲイン設定時はより顕著になります。
British-E
1998年にMcDSPから最初にリリースされたプラグインFilterBankは、Neveシリーズのイコライザー、
特に1069、1073、および1081の基本的な特性を、独自のPeak、Slope、およびDipコントロールとともに再現しました。
British Eは、FilterBankで培われたテクノロジーを用いてNeveイコライザーを統合したモジュールです。
古典的なハイパス・フィルタ、ロー・シェルフ、パラメトリック、ハイ・シェルフの組み合わせにより、
およそあらゆるミキシングの局面で活躍するEQモジュールとなるでしょう。
とりあえず、ここまでテストしてみます。これらです。
ブーストのほうが個性が分かりやすいかな、と思ったので、
Low Freqは約150hzを4db上げる
Mid Freqは約1khzを4db上げる
High Freqは約7khzを5db上げる
という設定で統一しました。周波数が約なのは、細かい設定は出来ないからです。大体高音域でも誤差数十hz、低音域は誤差数hzなので、特に大きな違いは無いと思います。
ちなみに、この中ではiQは2バンドEQの為、中域の1khzは触らずに、低域と高域だけ上記の設定にしています。また、British Eにはフィルターも付いていますが、使用していません。
また、ブーストのためクリップする事もありましたので、それぞれのトラックのフェーダーは-3.7db固定。マスターのフェーダーは0です。
最初の4小節は未加工のオリジナルビートで、その後、
E671→MooQ→iQ→E300→E301→British-Eの順で音を入れています。
ちなみに、それぞれの間には無音を一小節入れています。
この6つはこんな感じでした。
soundcloud.com
ぜんぜん違うやんけ!
EQもそれぞれ違うのはもちろん分かっていましたが、ここまで違うとは予想していませんでした。特に最初のE671は音量がっつり上がってます。British Eの低音感も色が付いてますし、MooQも結構高音に温かみが出ていると思います。ただ、E300とE301はやはり似ています。
さらにEQの個性を調べてみよう2
さらに残りの6つを聞いてみましょう。公式の文章を見てみます。
EZQ
名作コンプレッサーを送り出してきたdbxは、しかし自社製品にマッチするパラメトリックEQを開発することはありませんでした。
McDSPチームの想像する「もし」彼らが作っていたら…それはEZ Qのようなサウンドだったでしょう。
低域の唸りを抑えるハイパスフィルタと、ロー/ハイシェルフ、そして極めて柔軟なパラメトリックEQ。
EZ Qなら、素早く作業を進められるずです。
EQ’76
UREI 545パラメトリックイコライザーに着想を得た6060モジュールがEQ'76です。
4バンドのパラメトリックEQが備え、Q幅とゲインが緩やかに相関して動作します。
EQ’76のデザインはE300/301モジュールに近いものですが、
周波数範囲が異なる点や、よりゲインに依存した現代的な帯域幅を設計に用いている点が異なります。
FRG EEE
「The Frog」(6030 Ultimate CompressorプラグインのFRG444)というニックネームを持つコンプレッサーの対となるEQとして、
FRG EEE(「フロッギー」と読んでください)以上に相応しいモジュールは他にないでしょう。
ハイ/ロー・シェルフのペアに挟まれた2つのパラメトリックEQで、
モダンなアナログ・ミキシングコンソールに搭載されるようなチャンネル・ストリップからは一風変わった、
しかし非常に優れたイコライザーです。
E357
E357はD357コンプレッサーと連携して動作することを意図して制作された3バンドEQです。
他のほとんどの6060 EQモジュールよりも急なスロープと、D357 と同様にとても特徴的なキャラクターを備えています。
取扱いは慎重に。
MEF 1
Mid Emphasis Filter(MEF)の働きは、トラックの低域・高域成分の一部をカットするだけのフィルターにとどまりません。
Emphasisコントロールが2つのフィルターバンドの間に残る帯域を強調し、
互いに競合することなくトラックを際立たせることができます。
E404
1999年に発売されたFilterBank E4がUltimateモジュールで復活!
輝かしい受賞歴を持つFilterBankと同じハイパスフィルター、ローシェルフ、パラメトリック、そしてハイシェルフEQを提供します。
また前回のように、
Low Freqは約150hzを4db上げる
Mid Freqは約1khzを4db上げる
High Freqは約7khzを5db上げる
という設定でテストします。
ここまで書いてハッキリしますが、MEF1は完全にフィルターで、他と同じような設定が出来ないので、比較にならないため、今回はちょっと扱いません。
E404も、HighとLowはシェルフで設定する事になっています。とりあえず、今回は何となく比較にもなるかもしれないので、ハイパスフィルターは使わず、(20hzで設定)フィルタータイプは変わるので、全然違うとは思いますが、ローシェルフ、パラメトリック、ハイシェルフに、それぞれLowとMidとHighの設定をしました。
これらです。
前回同様、最初の4小節は未加工のオリジナルビートで、その後無音一小節を挟んで、
EZQ→EQ’76→FRG EEE→E357→E404
の順番になります。
これら5つはこんな感じです。
soundcloud.com
やはりぜんぜん違う!
EZQとEQ76では低音の質感が結構違います。EQ76 は締まった音です。FRG EEEの高音の抜けも良いです。E357も上げたゲインがかなり強調された特徴的な音ではないかと思えます。
McDSP 6060、お得感たっぷり
今回はEQにカテゴライズされているものを、フィルターのMEF1以外は一通り試してみました。このくらいの値段のバンドルで、EQ12個も入っているというだけでも珍しいですが、それぞれ個性があって、かなり面白かったです。
さらにCompにカテゴライズされたものが10個、その他Tape SaturationやDistortion等、Moreにカテゴライズされたものが12個と、結構お腹いっぱいになる感じです。もちろんチャンネルストリップとして使うのがメインとは思いますが、普通にエフェクターとしても使える、かなり使いみちの多いプラグインではないでしょうか。
以上、McDSP 6060レビューでした!長くなりましたがありがとうございました!