オートメーションの引き出しを増やす
前回の記事はこちらです。
kichizyo.hatenablog.jp
続きはこちらです。
kichizyo.hatenablog.jp
以下の記事を引用し、纏めています。
A Guide to Automation and Movement in Music | Hyperbits
8 automation tricks every producer must know | MusicRadar
https://www.izotope.com/en/learn/7-creative-automation-tips-for-music-producers.html
その1の記事では、なんでこんな話になったのかと、オートメーションではどんなパラメターを扱うことが多いのか、基礎的な部分を書いています。この記事、その2では、その1で紹介したパラメターを実際に扱って、どんな様子になるかやってみようと思います。
やってみる
引用している記事を見ていただくと、そこでも実際にどういう感じになるか、音源を載せてくれていますが、別の音でやると、また違う表現になって、想像しやすい所もあると思いますので、実際やってみます。
先ずは、
https://www.izotope.com/en/learn/7-creative-automation-tips-for-music-producers.html
この記事の内容を試してみます。この記事では、7つのオートメションのコツが書いています。とりあえず、内容を纏めますと、
Swelling → うねらせる
Pan → 左右にふる
Vocal throws → 残響を使う
EQ → こもらせたり前に出したりする
Loosen Program → 色々なパラメターを扱う
Master Bus → 音量等の調整
Tempo → テンポチェンジ
です。
そこで、こんな音源を用意しました。全くMixもしてない、単純な音源です。
soundcloud.com
どうでも良いですが、この曲ヤバいくらいダサいですね。
これに上記のオートメーション手法を試してみますと、こうなりました。
soundcloud.com
結構よく聞くオートメーションのあの感じが聞けると思います。詰め込み過ぎで聞き苦しいのと、曲がダサすぎるのは置いておいて、試した部分は分かりますので、説明してみます。
何をしたのか
上記7つを順番にやっていきます。
Swelling
先ずは1つ目、Swellingですが、Automation Test2の3秒位から、うねるような音が入っています。これが上記のサイトで紹介されていたSwellingです。
もちろんどの楽器でも使えるテクニックですが、今回はドラムのキックをに使用しました。先ずは、使っているキックの音がMidiでしたので、オーディオ化します。
このサンプルにRevを押して逆再生させ、さらにローパスフィルターにオートメーションを入れる事でこんな感じになりました。
Pan
これは分かりやすいかと思います。Automation Test2の11秒の辺り、Vocoder的な音の入り部分です。これは単純に、同じ音をリピートさせ、左右に振っただけです。これだけで結構フレーズの入りとしては、雰囲気が出ます。
この、同じ音をリピートさせるという方法も、結構よく使われるのではないでしょうか。私がよくやるのは、ここで使った手法と同じで、4/4の曲なら、サンプルループを四分音符二つ分後ろ向きに伸ばし、四分音符一拍分、どちらか気に入った方の音を選び、片方を消して片方をリピートさせる、という手法です。これ文章で書いたら訳分からんですが、図の通りです。ちょっと説明に頭の悪さが滲み出てて申し訳ないです。
このリピートに、Panのオートメーションや、さっきのSwellingも良いと思います。
Vocal throws
これ、英語で見るとちょっと意味不明に感じますが、よく有るエフェクトで、リバーブやディレイのWet等のツマミをオートメションで上げ、ボーカル音の一部だけを残響させる、という手法です。Automation Test2の15秒位の部分です。Automation Test1と聴き比べて貰えるとよく分かると思います。よく有るエフェクトです。
今回は、適当に設定したWaves H-DelayのWetを0から全開まで上げるようなオートメションの動きです。これは反響のテンポを変えたり、色々試してみると面白そうです。
EQ
これはもう聞いた瞬間お分かりになると思います。一番最初のキックをローパスでこもらせています。
地味に分かりにくかったかもしれませんが、キックの次に入ってくるベースも、ローパスでこもらせています。Vocoder的な音が入った時に、ちょっと広がりを感じるのは、その為です。
ちょっと分かりにくいのですが、一番上の黄色いDrumsトラックと、上から四番目のピンクのBassトラックは、下にあるEQ8で設定しているローパスが、途中で切れるようになっています。
めっちゃよく有るオートメションです。
Loosen Program
色んなパラメター扱えって、色んなって何やねん、という話になりますが、前回の記事に書いておりますので、参照にしていただければと思います。抜粋すると、
1.Velocity
2.シンセの基本パラメター
よく使われるのはLFOでしょうか。他には、ピッチをコントロールしてライザーを入れたり、フィルターも有ります。リバーブやディレイが付いているシンセもありますので、無闇矢鱈にプラグインを挿すのではなく、シンセ内で完結できるならその方が良いでしょう。どのパラメターも、オートメーションの対象として、柔軟に考えることが重要です。
3.ADSR
4.Layer
この辺りって感じで良いと思います(適当)というか、このLoosen Programというカテゴライズでは、この位しかオートメションの対象が無いと思われます。特にMix的な使い方ではないので。
今回は、分かりやすく、Automation Test2の10秒あたり。ハイハットの連打がありますが、ここでハイハットのピッチを下げています。
一番下、Drum RackのTranspをオートメーションしています。このピッチのオートメーションは、シンプルですが、サンプルを扱う場合はとても大事です。無意味にトラックや使用楽器の数を増やさずに、違った質感を出せたりするので、重宝します。やはりトラック数は少ないほうがマスキング問題も減りますので。
Master Bus
で、このMaster Busはやっていません。この短いトラックではやりようが無かったもので、、、
ただ、説明としては、結構Mix的な使い方にもなりますが、サビの時に一番メインの音のボリュームを少し上げたり、逆にサビに大きく聞こえる様に、サビ前のボリュームを下げたりして、音楽的なダイナミクスを作る、という内容です。ははぁ、確かに、という感じです。
Tempo
さらにで申し訳ないのですが、このトラックでは、このTempoのオートメーションもやっていません。ちょっと短くて入れどころが無かったかな、という感じです。
しかしやり方は簡単です。上画像のように、BPMが表示されているところを右クリックすると、オートメーションをマスタートラックの部分に表示できます。
このTempoチェンジはどこでやるのか、という話ですが、音楽記号のritardando (rit.) とか、accelerando (accel.)とかが使われている所で考えてみると、やはり曲の最後をだんだん遅くして終わる、とか、メインの楽器が細かい音の連打で見せ場にする時にだんだん早く、とかそういう使われ方が多い気がします。実際曲の最後にBPMを落としていって、終わらせるのは、かなりいい感じでハマったりします。
ちょっと長くなりましたので、また次の記事でオートメーションの話を完結できればとい思います!ありがとうございました!