Sound Lab Kichizyo

Ableton Liveのアレコレ

テンションの作成とオートメーションのパターン化 その3

続きものです

その1はこちら

kichizyo.hatenablog.jp

 

その2はこちらです。

kichizyo.hatenablog.jp

 

オートメーションのスキルアップをテーマにした記事ですが、その1ではなんでこんな話になったのか、とオートメーションの基礎、その2では基礎のパラメターを実際扱って、どんな感じのエフェクトが出るかをやってみました。

参照記事はこの3つです。

A Guide to Automation and Movement in Music | Hyperbits

https://www.izotope.com/en/learn/7-creative-automation-tips-for-music-producers.html

8 automation tricks every producer must know | MusicRadar

 

今回は、主にリンク3つ目の記事の内容です。

 

やってみる

記事その2の如く、とりあえずやってみます。そこでこんなトラックを作ってみました。

soundcloud.com

 

ダ、、、ダサい、、、

当然ミックスも全くしていません(キリッ)

「君、よくこんなダサいトラック作って公共の場所に出せたね」って声が聞こえてきそうです。しかしながら、今回のテーマはオートメーション。やってる事と雰囲気が分かったらオッケーです。オートメーション後のトラックはこんな感じ。

soundcloud.com

 

トラックのヤバさは置いておいて、こっちのほうが、「次に何か展開変わるぞ!」感があるのは間違いないと思います。

とりあえずこのヤバイやつでも、やってる事は分かりますので、ここを一つ一つ解説します。先述のサイトによると、この作業は

1.White Noise Pad

2.Squelchy Bass

3.Automating Pad

4.Dub Delays

5.Regenerating delay spins

6.Build a bypass

7.LFO laffs

8.Change the whole sound

 の8点です。では、こちらを一つ一つ見ていきます。

 

White Noise Pad

これ、White Noise Padとか言ってるけど、やってる事はそうでもないです。Automation Test4の、15秒位。最後の部分で聞こえてくるリバース音です。

よくある、反転させたシンバルの音を反転させて、エフェクトを追加で加える、というものです。今回はSamplerを使いました。シンバルの音を反転させるのはあるあるエフェクトですが、ソレだけではアレなので、

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LFOをフィルターに飛ばし、その値をオートメションしています。これで結構音に揺れが出ます。

簡単ですが、よく聞く、効果的なオートメションと言えるでしょう。

 

Squelchy Bass

今回ベース音は、Abletonのデフォルトにある、BazzHouzというのを使いました。この音を選んだせいで妙に分かりにくくなりましたが、やってる事は実は簡単です。

Automation Test3とAutomation Test4のベース音を比べたら分かりますが、Test4では、音に微妙に変化が付いています。これも結構よく聞くやつです。

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デフォルトセットのため、マクロに振り当てられている項目が多いため分かりにくいですが、扱っているのは、ローパスフィルターのFreqだけです。

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左下のフィルターが動いているのがお分かりでしょうか。ローパスフィルターのFreqの値を動かすことで、この腹壊した時の音みたいなエフェクトが入ります。この音源は雑ですが、細かくやると効果的と思います。逆に高い音のパーカッションみたいなのを、ハイパスフィルターで似たような事やったり、とかも出来そうです。

Automating Pad

このPadに関しては相当分かりにくいと思います。すいません。もう半ば無理やり入れたので。これも最後のほう、13秒位から、でPad音に気をつけてもらえると聞こえる気が個人的にはします。

しかしながら、こういう細かい変化が、曲作りには重要と思いませんか(投げやり)。とにかく、これもやった事は単純です。今回はみんな大好きSoundToysのEchoboyを使いました。これホンマ最高ですたい。

EchoBoyを、ちょっとPanの感じも広げたいと思い、さらにコーラスっぽい感じを適当に足すか、と思ってこんな設定にしました。

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ここで、オートメションは、Mixにかけました。完全にDryの音から、Wet全開まで持ち上げます。そうすると、音が曖昧になって、何となく次への繋がりを感じさせる音が出来上がりました。いや、Mixしたらもっとちゃんと聞こえると思うんですけど、してないんです。

Dub Delays

これもダブミュージックでよくある、例のあのエコーです。ドラムトラックにも、ギターなんかにもよく使われます。

これも最後の15秒あたりの、スネアのディレイです。これはすぐ分かると思います。

これを、あまりにも普通にやるのも如何なものかと思いましたので、少々複雑化しました。今回一番凝ったのはココかもしれません。

扱ったパラメターはこれだけです。

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面倒くさくなって強引な解決方法を取りました。ディレイを効かせたい所でデバイスをオンにします。さらに図のように急にFeedback値を上げました。

ここでもう少しダブっぽくない何かをしようと思いました。

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ちょっと分かりにくいのですが、Drumsのトラックのオートメションは、L16thとかいています。ここと連動しているのが、下のディレイ、Dotted Eighth NotesのLeftの部分です。上の画像では1ですが、ここにオートメションをかけることで、3から、2、1とディレイの音符のタイムを変えています。これで左右でエコー音がずれて、実験的なエフェクトになりました。

Regenerating delay spins

ここも分かりにくいです。というのが、このエフェクトをかけているシンセのシーケンス音が分かりにくいです。そのため、参照サイトのエフェクトとも似て非なるものになりました。もうエフェクトのところだけ分かったら良いか、となってしまっています。すいません。

これも15秒位の位置なんです。纏めててすいません。ひょろひょろいってる、隙間風みたいな音なんですが、お分かりでしょうか。

これも強引な解決方法でこのエフェクトを作りました。

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このトラックに使っているオートメションが、Grooveと書いているディレイ、Tremolo、Around The HeadとかいてあるAuto Pan、それとボリューム調整のミキサーです。

ボリューム調整のミキサーは良いです。Grooveと書いてあるディレイもDeviceの音とオフをしているだけです。TremoloのオートメションはAmountです。Auto PanもAmountです。

エフェクトをかけたい部分で、ディレイをオンにして、上記のパラメターを全部上げます。

そうすると、音がちょっと変化しながら残ります。この残響音が小節をまたいで残り続けることで、また展開の変化を予感させる、という事です。

 

ちなみに、このエフェクト、参照サイトでは、もっとクリアな音が残り続けて、ああ、このエフェクトの事ね、となると思いますので、そっちを聞いてみることをオススメします。ここはあくまで似て非なるもの、という事で。一応残響音を残してテンションを作り上げる、という事は共通しているので、全然良くないけど、勝手に良しとしました。

Build a bypass

これはまぁ、、、この中でもやっているようなやっていないような、、、というのも、このオートメーションはエフェクトを抜く、というものです。プラグインのバイパスボダンをオンオフ使い分けろ、ってことなので、やっていると言えば、上記のディレイの所とかやっています。あまりはっきり分かるような使い方はココではしていませんが、、、

しかし、これは簡単なことですし、音を抜く、エフェクトを抜く、というのも、よく有るテンションの作り方なので、多用されていると思います。

LFO laffs

これは、要はLFOのShape、Speed、Depthなんかにオートメーションをかけなさい、という話でした。

これは分かりやすくて、これもトラック14秒位の位置からでしょうか。ギターの音が揺れているのを感じれると思います。これ結構面白いですね。

今回は普通にLFOでも良いのですが、Tremoloを使用しました。

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LFOのAmountにオートメーションをかけています。参照サイトではガッツリLFOがウネウネ動くぜ!って感じですが、ここではトレモロを激しく使うことで、また少し変わった効果を出しています。

Change the whole sound

これはすいません。やっていません。というのも、参照サイトで述べられている様にこのエフェクトを使うには、少々トラックが短すぎる為です。

サイトで音源を聞いてもらえれば分かりますが、有るトラックの音を徐々に変えていって、最終的にそのトラックの音がガラリと変わる、という手法です。あまり使われませんが、徐々に表情を変えるような曲では有効ではないかと思います。テンポもゆっくり目のほうがハマりそうです。

 

まとめ

長かったオートメーションのシリーズも終了です。結構この3記事だけで、世の中のよく有るオートメションを網羅している、と言うと言いすぎですが、大体よく有るやつは全部紹介できた気がします。

 

こうして考えると、その1でも書いた、オートメションを使って楽曲にミクロなテンションを入れ、次の展開への足がかりにする、という目的は、これらのエフェクトで結構果たせるのでは無いでしょうか。

 

以上、ありがとうございました!