歪みは良いもの
Distortionとして纏められる歪みですが、色々な種類が有ります。Mix的な使い方では、TubeとTapeディストーションがよく使われます。
kichizyo.hatenablog.jp
こちらの記事で、Mix的な使い方は、簡単に纏めていますが、
・Distortionはトマトソースの中のガーリックのようなもの。入れ過ぎれば不快だが、適量であれば抜群のニュアンスを加える。
というのは、iZotopeのMixガイドの引用ですが、上手いこと言ってるなぁ、と思います。
・ハーモニクスを飽和させるものをDistortionと呼ぶ。Mixでよく使われるのは
・Tube系:音の頭、アタックの部分を強調させる。この為、音に”パンチが出る”と表現される。低音に影響が大きい為、音を”Warm”にさせる、とよく言われる。
・Tape系:奇数次の歪みを強調する。全帯域に影響するが、テープヒスという言葉があるように、高音が目立つ。そのため”Bright” や ”Warm”と表現される。
みたいな書き方をしていますが、倍音を足すことで音の存在感を増しますし、Comp的な効果も大きいです。音に深みや暖かみも与えます。Drum Busにも、Bassにも、どんな楽器でも、「もう少しパンチ出して聞かせたい」みたいな時に便利です。聞かせたい音にはとても便利ですね。音が後ろから前に来ます。
今回は、Ableton Liveにある歪み効果を、メモ的に纏めてみようと思います。ちなみに、Max For Liveのエフェクトは除きます。ちょっと莫大な量になるし、これからも増えていきそうですので。結構自分用の所もありますので、Ableton Liveにデフォルトである歪み効果をさらっと全体的に見れる記事みたいな感じで書いていこうと思います。結構奥深くて楽しいです。アルファベット順でまとめていきます。
Amp
とりあえず最初に試すのはこいつかな、という感じです。Vox、Fender、Marshall、Mesaのモデリングです。Bassはちょっと分かりにくいけど、多分Simms Wattsでしょう。Softubeが作ってるみたいで、歪みを入れたい時は、何の音でもとりあえずこれから試すと良いと思います。それぞれ高音、低音と個性があって、私は大体歪ませたい時はこれから試します。
Auto Filter
なんでFilterで歪ませるねんって話ですが、実はAuto Filter、FilterのモードをCleanからOSRなど別タイプに変えますと、Driveが出てきて、普通に歪みます。画像赤丸部分です。コレを使うことで、様々なFilterエフェクトをかけつつ、歪みを加えることが出来るので、結構便利だったりします。
Cabinet
これを歪みと言って良いのかどうかですが、一応程度ですが、若干歪みも出ます。これもSoftubeが作っていますね。5種類のギターキャビネットのサウンドと特性をエミュレートしていて、Speakerでは、スピーカーの数×サイズを選択することが出来ます。大きなスピーカーで数が多かったら、音も大きくなります。
また、Microphoneでは、公式の引用ですが以下とのこと。
[Near On-Axis]では明瞭で集中したサウンドが、[Near Off-Axis]では明瞭さは少し下がりますがより響きのあるサウンドが得られます。バランスのとれたサウンドを得るには[Far]を選択します。このオプションを選択すると、室内を思わせるサウンド特性も得られます。
下のCondenserとDynamicはマイクの種類ですね。Ampと一緒に使うのが一般的ですが、もちろん単品で使っての音作りでも結構便利です。これ普通に高性能なんですよね。
Compressor
画像通りの設定にしたら歪みが出ます。Ratio全開、Attack最小、Release最小、Threshold最小、って感じです。Compで歪ませると、独特なアンビエントなんかで使いやすそうな、音場を制圧するような歪みが出ます。
Drum Bus
アルファベット順なら、ホントはCorpusも歪みっぽいのが有るのですが、流石にCorpusは歪み用途で使わないだろう、ってことで、Drum Busです。Compと一括にしようかと思ったのですが、こちらはDriveとかCrunchみたいな、Distortion的な要素が付いていて、Compよりハッキリ歪ませる事が出来ます。Hardにしたら結構キツい歪みが出ます。
すいません、Glue Compは端折ります。歪ませたいなら、わざわざGlue Compを選ぶ必要が無い気がします。
Dynamic Tube
これも使用頻度高いです。かなりアナログ感が強い歪みが出るのがDynamic Tubeです。3種類あって、Aのモデルでは、Biasを上げないと効果が出ません。Cは全体にかかります。Mix用にSendから使うのにも、実に良い歪みだと思います。もちろん直接トラックに使っても良いです。EnvelopeでBiasをマイナス方向に出来るのも面白い所です。
Erosion
歪みというか、音質劣化装置なのですが、まぁ、別にここで触れても良いと思います。いろんなノイズを音に加えます。
これは特に説明不要かと思います。オーバードライブです。
Pedal
知り合いのギターを弾く人が、Ableton Liveって、普通のディストーションとかファズが無くない?と言っていましたが、このStandardでは使えない、Pedalがディストーションとファズです。低中高音域で編集できて便利ですね。Ampで歪ませると、かなり個性が出ますが、Pedalだと結構個性無く素直に歪ませれる感じがあると思います。AmpやCabinetと組み合わせても面白いです。
Redux
これも、音質劣化という意味ではErosionに似ていると思われます。公式の文章が分かりやすいのですが、
Ensoniq Mirage、Fairlight CMI、コモドール64など、解像度の低いサウンドにノスタルジーを感じることはありませんか?Reduxを使えば、サウンドがあのデジタル暗黒時代へ逆戻り。このエフェクトは、信号のサンプルレートとビット解像度を下げるエフェクトです
とのこと。私は実機は使ったこと有りませんが、Fairlight CMIはArturiaがモジュレーションを出していますね。プリセットにもあるMirageは、Ensoniq Mirageのようです。昔の、何とも言えないサンプラーの感じを出したい!って時に使えるものですが、歪みという所でも、使い道が有ります。ちょこっと色付けで使うと、結構音が際立ったりして面白いです。オールドスクールなサンプリング音を作りたい時に使えるツールです。
Saturator
これもAmpと並ぶ本命の歪ませアイテムではないでしょうか。7種類のカラーが選べて、様々な歪みを演出します。前に書いた記事、チャンネル・ストリップの作成でも使っています。
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Channel EQと、このSaturatorを組み合わせると、実にアナログミキサーっぽい雰囲気が出るのです。パンチもWarmな感じも出る為、Mix、音作り共に使える優秀なエフェクトです。
これもいい感じで歪むエフェクトですね。アナログ感があって、LPに針を落とした様なクラックルノイズも発生して、実にいい感じです。「ちょっとこの音にLP感出したいわ」みたいな時とか、Hifiなデジタル音にフィルターかけて、このエフェクトを使うと、なんかそれっぽくなったりして、かなり使えるエフェクトです。
こんな感じで、Ableton Liveにある歪みエフェクトを纏めてみました。自分が後で見る用でもあるのですが、結構色んな種類があるし、プラグインに頼らなくても、十分色んな種類の歪みを演出できますね。こうして色々纏めてみると、再発見もあって中々楽しいものでした。
以上、ありがとうございました!