Sound Lab Kichizyo

Ableton Liveのアレコレ

BeatのHumanizeとか言われるテクニック その1

いくつかの手法を記事にしてまとめる

そもそもHumanizeとか何なん、って話ですが、今回はドラムに関してですが、人間が叩いたっぽく編集することです。それなら自分で叩いたら良いやん、というのは実にそうなのですが、アレって結構難しいですよね。私は出来ません。

 

それに、結構AbletonではこのHumanizeの為の方法がいくつかあって、なかなか楽しいです。手法それぞれ雰囲気や作業工程も結構違いますし、一度しっかりいくつかの手法を纏めたいと思っていました。公式にもいくつかの動画が出ていますが、メモ代わりにして、公式の動画含めて、いくつかリンクを載せ、要点だけまとめて行きたいと思います。多分数記事になりますが、この手のテクニックは、この記事シーリーズを読んだら一応大丈夫!位の感じになれば良いな、と思います。

最初はこの動画の内容から。

www.youtube.com

Slynk氏は、いつも素晴らしい手法と考えを見せてくれる、Ableton関係では最高の動画を配信している方の一人です。これも面白かったです。Septupletsってなんやねん、と思って調べてみましたが、7つ子って意味なんですね。なんでそんな単語が存在しているかは意味不明ですが、動画を見れば、なるほど、という感じになります。個人的には、この動画はJ Dilla Beatの作り方、って感じです。とりあえず内容行ってみます。

 

実は以前に似たような内容書いていた

実はこれも特別変わった事をしている訳ではありません。事実以前、私もこの動画で使われている手法に関して、記事を書いています。具体的には、この記事の20番です。

kichizyo.hatenablog.jp

近い内容では、ポリリズム作成の記事も以前書きました。手法は違いますが、この手法でもどうかしたら、どうか出来そうです。

kichizyo.hatenablog.jp

実際やってみる

では、実際やってみましょう。J Dillaっぽいって元の動画でも書いてますし、ちょっとLoFi効いた感じにしてみます。とりあえず分かりやすいように、KickとSnareとHatだけで、動画の内容に沿って、重要な所だけ抜粋します。

 

Triplet Swing

先ずは、トリプレットから。これは上記ポリリズムの記事で序盤に述べられている方法です。

先ずはHatでちょっとHumanize感出します。下からKick、Snare、Hatの順です。KickとSnareをこんな感じに設定。

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次に右下の1/16のグリット幅の所を右クリックして、三連符をクリック。

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これでHihatを三連符で打ち込みます。

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聞いてみます。

soundcloud.com

 

これでも悪くは無いですし、こういう感じのビートも有りますよね。

 

Quintuplet Swing

ここからがこの動画の面白いところです。五連符で打ち込みます。手法は上記の記事、Abletonマストテクニックの20番ですが、一応やってみます。

先ずは、グリッド幅の三連符を解除します。さらにHatを16分音符で6つ打ち込んで選択。その後画像の赤丸を動かします。

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ここで大事なのは、動画では6つを打ち込んでだ事でしょうか。こうすると、6つ目のHatが次の4分音符の頭に来ます。これを赤丸のマーカーを動かして、5つのHat音が均等に四分音符内に入るようにします。こんな感じ。

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ハットを1発目と4発目だけ鳴るように設定。

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こんな感じになりました。

soundcloud.com

 

これでも結構良い感じです。

 

Septuplet Swing

これが今回の主題ですね。ここで七連符が出てきます。作り方は五連符と全く同じ。Hatを16分音符で8つ打ち込み選択。画像内赤丸を動かして、

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4分音符の中にHatの音が7つ入るようにします。

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とりあえず動画と同じように、一発目と五発目のHatが鳴るようにします。

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音はこんなんです。

soundcloud.com

 

結構違い分かりにくいですね。でも、微妙に違います。それと、このSeptupletsまで作ると、以下のBeat制作の時に役に立ちます。

 

さらなる編集

ココからが面白い所で、今まで作ったTriplet、Quintuplet、SeptupletのMidiデータを混ぜ合わせて、一つのビートを作成します。

今回は適当に作ります。HatはSeptupletを使って、KickはQuintupletとTripletから。Snareは扱うと結構ベロンベロンに酔っ払った人みたいになるので、Snareはそのままいきます。

こんな感じになりました。

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soundcloud.com

 

おお、凄い。悪ないですね。

 

ついでに、この手のビートに三連符のシンセを載せると合うんだそうです。1/16Tripletで単音連続ホイ。

soundcloud.com

 

おお、ホントだ!合う!適当にコード載せてみましょう!

soundcloud.com

おお、、、何かよく分からんけど、これ何とか出来るんじゃない?みたいなのが出来ましたね!Triplet、Quintuplet、Septupletのデータを様々な楽器に使って、独特の雰囲気の曲の作成が可能になりそうです。

 

このBeat Humanizeシリーズは、あと幾つか動画あるし、ちょっとその内まとめて行きたいと思います!

 

以上です!ありがとうございました!

Clipのススメ

Clipは素材の宝庫

よく言われる事ですが、このAbletonの機能の一つ、Clipは結構無視されがちです。が、実は使ってみると、Clipは曲のアイデアがうまく出てこない時、曲を何か始めたい時にとても役に立ちます。

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そもそもこのClipは何かと言いますと、個別に購入もできますが、主にPackに付属している、様々な種類のオーディオやMidiのデータ集です。Clipを使うと言うことは、Packを使うと言うことと大体同義ですね。Live Suiteを購入するだけで、とにかく大量、千は絶対超えていますし、多分全てをじっくり聞くのは不可能な位の量があります。

ただ、ClipはPackのフォルダ内のものが全て収められているため、整理されていない状態で格納されています。ですので、より具体的なアイデアや目的がある場合は、Packフォルダに直接アクセスした方が良かろうと思います。ただ、なんとなく曲を始めたいとか、漠然と何かアイデアが欲しい、とかの時は、Clipにアクセスするのも一つの手だと思っています。気に入ったClipをコレクションに保管しておくのも一つの効果的な方法ですね。

 

ちょっとやってみる

1.Beat

具体的にどうすんのかって事ですが、とりあえず、適当にドラムから作ってみましょう。

そのままClipを使っても良いのですが、せっかくなので少し触ってみたいので、MidiのドラムをClipから選択します。今回は、909 Flavour kitなるものを、5つ読み込んでみました。

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こんな感じのMidiです。音はこういう感じで、

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Samplerだったり、Simplerだったりに入っているのですが、もうココを見ただけで、どれ位作り込みの可能性があるのか、はっきり分かると思われます。ちなみに、読み込んだMidiを順番に鳴らすと、こんな感じになります

soundcloud.com

 

で、これをそのまま使っても別に全然良いと思うのですが、曲によっては合う所と合わない所多々あったりすると思います。

そこで先ずは、Sampleの音を入れ替えます。とりあえず試しですので、KickとSnareとHatを変えます。これだけで結構雰囲気変わります。こんな感じです。

soundcloud.com

 

Tomの音も変えたら、多分もっと雰囲気変わりますね。

次にMidiを変えます。Velocityなんかは結構いい感じで調整してくれている場合が多いため、とりあえずMidiだけ変えます。例えですので、適当に変えるとこんな感じになりました。Tom消したりとか、音減らしたりとか。

soundcloud.com


こういう感じで、ClipからBeatは結構作りやすいです。MidiにはMidiの、サンプルにはサンプルの編集方法の個性がありますが、Clipはこういう感じで、0から作りやすい所が特徴です。Fillなども結構ありますし、気に入ったのがあったらCollectionでまとめたり、オリジナルのリフやビートをココから作成して、プリセットをガンガン増やすのも良かろうかと思います。すぐ出来ます。

 

2.フレーズ

Clipには、もちろんBeatだけでなく、沢山のフレーズもあります。今回はピアノのフレーズとギターのフレーズを一つずつ。

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こんな感じです。ピアノとギターのキーが合ってなかったので、適当にピアノのキーを合わせます。音質は普通に劣化しますが、まぁ、それもLoFi感ということで(前向き)。ピアノの後にギターですが、こんな感じでした。

soundcloud.com

 

これを先程作ったドラムと、こちらも両方編集して、重ねてみます。

 

出来たやつ

先ずはビートもこのままではアレなので、一個適当なのを選んで、それをResamplingしたりして、適当に作ります。これどうやったん?っていうのがありましたら、細かく書きますが、そこまで珍しいテクニックを使ったわけではないのは、聞いていただけると分かると思います。

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ドラムをリサンプリングして、

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Midiと組み合わせて、なんかホント適当です。

 

ピアノもギターも編集します。ピアノは細かくチョップとかリバースしてよくある感じに。

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ギターはタイミングちょっとズレてたので合わせて、

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これもよくある感じに。そしてまた適当に編集。

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もはや名前も色も何も触っていません。適当です。で重ねてみたらこんな感じです。

soundcloud.com

あれ、、、何か思ったより悪くない、、、

もっと正気とは思えない位ヤバいのが出来上がって、この人何がしたかったんだろう、、、みたいになるパターンが多い筈なのですが、、、まぁ、良いか、、、何か不完全燃焼ですが、、、

 

とりあえず、Clipで遊ぶのは、もう一つアイデアを出したい時、0からスタートするのに何かきっかけが必要な時、結構いろいろな状況で、そういえば、と思い出して使うと、結構面白かったりする、という記事でした。Collectionで整理するのもいい考えです。

 

最近色々自分の作業ばっかりして、あんまりAbletonの勉強みたいなの、こうして纏めたりしてなかったですが、一応色々情報は集めていますので、また整理してメモ書き代わりにどんどん書いて行きたいと思います。

 

以上、ありがとうございました!

Modulatorsに関して

動的でオリジナリティのある音作成に便利

今回は、Live 11ではModulatorsの中に入っている3つのツール、Envelope Follower、LFO、Shaperに関してのメモ書きです。これはAbletonが開発したM4Lのようです。CVに関しては、私はCV Gateが有るような楽器は持っていないし、このCV Toolsに関しても、人に使わせて貰ったくらいの経験しか無いため、ちょっとスルーさせて貰います。

この辺りは猛者たちの遊戯場です。私が会った人たちで、CV Toolsとかガンガン使ってる人たちは、部屋が機材に埋もれている人達でした。Ableton LiveがModularとか好きな人に愛される理由の一つであろうと思われます。このModulatorsもそうですが、M4Lに沢山その手のデバイス有りますよね。とても楽しいですが、同時に危険な領域です。私は様々な生活環境的な理由から、そちらには手を出しませんが、この辺り手を出すと、結構大変です。「いやいや、俺はKorgのVolca位しか使わないからw そんな魔界に手を出すわけ無いだろw」って言ってる方が結構いますが、そこは入り口なので、そこで終わり、という方は、途中で音楽を作らなくなった人以外、一人も会ったことありません。でも、ハードは音も良くとても楽しいので、ガンガン沼に入っていくスタイルも素敵と思います。

話は逸れましたが、今回はこの、

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Envelope Follower、LFO、Shaperについてです。

 

Envelope Follower

このEnvelope Followerは、有るトラックに差して、そのトラックの信号を使って、他の何らかのパラメータを動かす、というものです。ですので、これはトラックの音を変えたりするものでは有りません。トラックの音を変えないという意味では、他の2つ、LFOも、Shaperもそうです。

まずは分かりやすい所から行きます。

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Envelope Followerの写真赤丸部分からです。ここでちょっと分かりにくいのが、RiseとFallでしょうか。

これ、なんでこういう表記にしているのか分かりませんが、RiseはAttackで、FallはReleaseです。Delayはそのまんまですね。画像で見ると分かりやすいのですが、適当なドラムループにEnvelope Followerを差してみます。

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こんな感じで、ドラムの音に対応してEnvelope Followerが信号を作成します。これでRiseを上げますと、

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こんな感じに。Fallを上げますと、

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こうですね。Delayを上げますと、

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こうです。ここまでは問題なかろうと思います。前述の通り、Envelope Followerは、この画像の場合では、この黄色い波の信号を使って、他のパラメターを動かす、というものです。

じゃあ、何をどれ位動かすのか、ですが、そこを決めるのが、

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この赤丸部分です。

何を動かすのかですが、そこを決定させるのが、このMapボタンと、一番右の四角に線が入っているアイコンです。方法は、単純にこの画面でMapボタンを押した後、動かしたいパラメターをクリックが一つ。でも、こっちはあんまり使いません。メインの方は、右のアイコンを押して、

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こっちからMapボタンを押して、パラメターをクリックが良いかと思います。複数マッピング出来ますし、%も扱えます。

この%ですが、動かすパラメターの最小値と最大値をここで決定できます。この%の値を、

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この画面で扱うのも、対象のマッピングが一つなら良いのですが、複数マッピングするなら、やはり右のアイコンをクリックする方が良かろうと思います。個別に%設定出来ますので。

実際どうやって動かすかですが、例えば今回ではEnvelope Followerはドラムトラックに突っ込んでいます。ここで作成した数値を、別のトラックのシンセに振ってみます。まずはMapボタンをクリック。

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次に別のトラックのAuto PanのAmounをクリックします。

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Amountは灰色になって、マウスで値を動かせなくなります。Envelope Followerを見てみると、正確にマッピングされているかどうか見れます。

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されています。それで再生しますと、

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こんな感じで、AmountがEnvelope Followerと連動してうねうね動きます。下の赤丸にも書いていますが、Amountの値はEnvelope Followerが制御しています。

このEnvelope Followerですが、以前に書いたFilter Effect Rackや、

kichizyo.hatenablog.jp

Stutterエフェクトも、

kichizyo.hatenablog.jp

これらのパラメター制御で使ったりしたら、良い感じで訳の分からん音が作れます。

 

LFO

さて、実はここまでで、大体今回の記事は終わりみたいなもんです。考え方と使い方は、上記のEnvelope Followerとどれも同じになります。

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見たら分かりますが、同じですね。Envelope Followerは、トラックの音を使って信号を作成しますが、LFOは信号をココで設定して作成します。分かりにくいのはJitterとSmooth位でしょうか。これも触ったら分かります。

Jitterは、前にReasonのGrainのレビューを書いた際に、一風変わったパラメターとして紹介しました。あんまり見ないパラメターですね。Jitter自体は、英語は様々な意味が有りますが、この場合は揺らぎとかの意味になるかな、と思います。もっとイライラした動きというか、何かそういう感じ。Jitterを上げますと、

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こうなります。Smoothを上げると、

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こうです。波幅が狭まります。

Phaseは、まぁ、良いですかね。Phaseの下のRボタンですが、これが変わってるかもしれません。Re-Triggerの意味みたいです。これをポチポチおしますと、波形がRe-Triggerされますので、

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こんなのが出来ます。ちなみにこのRボタン、Syncモード、つまりRateの横の音符ボタンを押したら動作しません。Hzボタンを押したら動きます。

 

他はMapとかは全部Envelope Followerと同じですので、説明は省きます。

 

Shaper

そして、これも大体似たような内容です。まずは見てみますと、

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どうでしょうか、これだけで大体分かるのでは無いかと思います。この辺りもそうですが、ReasonのGrainにも似てる所有ります。というか、Grainの

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これとよく似ています。まぁ、大体同じと思って問題ないと思います。こういうグラフも、基本的にはシンセのADSRを図表しただけですので。

このShaperの良い所は、波形をクリックで描画出来る所でしょうか。100%使いませんが、こういうShapeも描けます。

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意外と使いみちが有りそう?

こうして見てみると、どうでしょうか?結構使い道有りそう、というか、私はたまに使っています。こういうエフェクトをシンセで作ると面倒ですよね。シンセによって違うし。そういう時にも便利ですし、Abletonデフォルトのエフェクトだったら、相当数のパラメターに、動的な値を割り振れる、というのは、重宝する場合も有るのでは、と思います。

画像多めの駆け足で、基本事項でしたが、これを読んで、何かModulatorsの使い道で思い浮かぶものがあれば幸いです。

 

以上ありがとうございました!

Ableton Live 11 Hybrid Reverbを理解する

Live 11の目玉エフェクト

おそらくLive 11を使っている方の多くが、今回のアップデートで一番嬉しかったのは、このHybrid Reverbでは無かろうかと思います。今まで、「Abletonはリバーブがね、、、」「DelayはEcho出て、色々面白くなったけどリバーブは正直ね。」みたいな声を、幻聴かもしれませんが巷でよく聞いていました。正直ちょっと同意してたのも悔しい所です。「別にアレで十分なんですけど、、、Saturatorとか入れたらVintageっぽい音にもなるし、、、」とか言いながら、普通にVSTプラグインめっちゃ使ってました。と言うか、リバーブはサンプル編集以外は、プラグインの方が多かったです。無礼討ちして下さい。

 

しかし、今回のこのHybrid Reverbは主力リバーブと言っても間違いございません。この記事で、Hybrid Reverbの概要をざっくりとメモしていきたいと思います。

 

何と何のハイブリッドなのか

実際ここが一番大事なところなのですが、ハイブリッドって言ってるので、交雑です。複数の種類を組み合わせているのが、このHybrid Reverbなのですが、何と何を組み合わせているかと言うと、

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赤丸部分がコンボリューション・リバーブ

青丸部分がアルゴリズミック・リバーブ

黄色丸部分が、それぞれをどのようなルーティングでどれ位混ぜるか

 

です。極端な話、この部分だけ分かってたら、後は別にどうとでもなります。また、コンボリューション・リバーブとは、とか、アルゴリズミック・リバーブとは、みたいなのは、めっちゃ分かりやすい説明が、ちょっと検索したら沢山あるので省略します。

プラグインでは、コンボリューション・リバーブは特に、というか、リバーブ自体結構重い傾向があるので、こういうデフォルトのエフェクトで、強力なリバーブが有るのは嬉しい限りです。

 

Convolution

コンボリューション・リバーブで重要な部分は、IRと書いてある部分です。このIR、Impulse Responseとか呼ばれるものが、コンボリューション・リバーブの反響音の基本と思って良かろうかと思います。細かい仕組みは知りません!

で、このIRが、Hybrid Reverbにはとても沢山内蔵されています。

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画像内だけで十種類、そこからさらにそれぞれ、個別で沢山のIRが有りまして、2百以上あるそうです。

 

また、コンボリューション・リバーブの部分の特殊な部分として、これもよくある機能ですが、Sizeがあります。

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例えばなんですが、ちょうど体育館でバスケかなにかをしているサンプルを発見しましたので、この音を利用してみます。ちなみに、サンプル音をHybrid Reverb上にDrag and DropでIRに設定できます。

元の体育館の音が最初の音です。

その次に、ピアノの音を鳴らします。

そして、体育館の音をIRとして、ピアノの音にコンボリューション・リバーブのみをかけて再生します。

最後は、ピアノの音にコンボリューション・リバーブのみをかけ、Sizeを300%にしたものを流します。

 

soundcloud.com

まぁ、ちょっと分かりにくいですが、、、、反響はSizeを上げると大きくなりますね。そういう事にしといて下さい。もう少し分かりやすい音にしたほうが良かったかな、、、

 

Algorithmic

少々分かりにくい画像ですが、アルゴリズミックは五種類です。

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このアルゴリズミックですが、種類を変える毎に、パラメターも変わります。

例えば、これがTidesで、

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これがPrism

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つまみのパラメターが違いますので、色々触って試すのが良かろうかと思われます。

 

Hybrid and Blend

ここがこのリバーブのミソでは無かろうかと思いますが、名前の通りHybridですので、どのようなルートで、どのような割合で混ぜるか、というのがこの部分。

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ルートは4種類ありまして、直列、並列、コンボリューションのみ、アルゴリズミックのみです。

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感覚的に分かっていれば大丈夫とは思いますが、直列のSerialでは、コンボリューションの音を、アルゴリズミックに渡して、残響の処理を行えます。

例えば、このSerialが効果的なのは、コンボリューションの音が短かい時が面白そうです。短いコンボリューションの音を、アルゴリズミックに渡して残響処理をします。かなりオリジナリティのある、変わった残響音が作れます。

Parallelの並列では、コンボリューションとアルゴリズミックの両方が音を受け取って、別々に処理して、音を出します。

このParallelは、コンボリューションの音が長い時、例えば先程の体育館の音でも良いですが、そういう音に使えそうです。長い残響を、アルゴリズミックと混ぜることで、より複雑でリッチな残響音を発生できそうです。

しかしこのBlendノブ、ついついオートメーションしたくなりますね。

 

その他

ここは大したことないです。エレクトロ系の音楽では必須になるEQと、

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こっちは、ステレオ幅をどれ位広げるかのStereoノブ、Vintage感入れるかのVintageボタン、珍しいのは、180hz以下の音をモノにするかどうかのBassボタン、普通にDry/Wetです。

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まぁ、反響音で180hz以下ってカットすることが多いと思いますが、それも曲によるでしょう。

 

以上が、ざっと見ただけですが、Hybrid Reverbの基本となる部分かと思います。もっと他のエフェクトと組み合わせて、様々なパラメターに動きをつけるのがAbletonの面白い所だったりするのですが、今回はHybrid Reverbの使い方の基本的な所だけをメモしてみましたので、そこまではやりませんでした。

しかし、とても素晴らしいリバーブです!これホントに嬉しいですね!

以上、ありがとうございました!

 

Ableton LiveのResonatorsを理解する

Resonatorsを上手に使おう

どのDAWでもそうですが、デフォルトのエフェクトを効果的に使うことは、とても重要です。Abletonは、SuiteでM4Lを使える人は特にそうですが、エフェクトがとても多いです。M4Lまで色々扱いだしたら大変なので、とりあえずデフォルトのエフェクトの中でも、何となく使われてなさそうな(私が勝手にそう思っているだけですが、そういう話を以前何かのフォーラムで見た気がします)、Resonatorsを今回ちゃんと見てみようと思います。

 

Resonatorsは、多分ResonantとかResonanceみたいな言葉から来てるのかな。共振する、とか奥深く鳴り響くとか、何かそういう意味です。英語圏でクラブとかライブに行くと、「ここのHallはResonanceが良いね」みたいな事を言ってる人がいたりします。こうして文字に書くとルーっぽいですが、そういう共鳴的な、なんかそういうのです。エレクトロな音楽は、どうしてもそのResonanceとか、それとTimbreは音色と言えば良いのでしょうか、そういうのの重要性が高くて、洋書ではそういう言葉がよく出てきます。

Resonatorsも、何かそういう感じと思って扱ってみると、イメージとか使い方が膨らむのではないでしょうか。では、実際に使ってみます。

 

Mode

使ってみますが、このデバイスで分かりにくい所は、多分このModeの部分だけですね。

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信号は先ず、一番左手のFilterを通ります。これは問題ないですね。Filter Typeを選択して、Frequencyを調整します。

Decay

次にDecayを調整しますが、一応の注意点があります。そもそもDecayは、ある音が出てからその音が消えるまでの時間の調整です。ですが、このDecay Timeは一般的に音によってその持続時間が違います。

Decayは低音の方が高音よりも長く持続します。

この部分は、この次に説明するNoteのセクションにも関連します。

Constボタンは、音程にかかわらず、Decay Timeを一定にキープする仕様です。ちょっと、とりあえず低音と高音の音の違いについて、ちょっと分かりくいので聞いてみます。同じギターの音でどのくらい違うかです。ConstボタンはOffです。最初の音は、Noteを真ん中のCに、

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次の音を低いCにしています。

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これで聞いてみます。

 

soundcloud.com

こんな感じです。こういう違いを出したくないなら、ConstボタンをOnって感じでしょうか。全く同じ設定でConstボタンをOnにしてみます。

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どうでしょう、これ分かりますかね。微妙ですが、確かに違いがあります。という事でした。

Colorは単純にサウンドの明るさですね。

 

Mode Ⅰ

ここで設定するのはNoteの情報です。単純にスケールに合わせてみると良いと思います。ただ使ってて思ったんですが、これ例えばNoteをCにして音を鳴らすときに、C以外の音が鳴っているぶんには問題有りませんが、NoteをCに設定した時にCの音が鳴ると、共鳴して音が極端に大きくなります。ちょっと一回聞いてみます。

NoteをCに設定して、まったく同じボリュームで、ギターを最初の音はA、次にCを鳴らします。こんな感じです。

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Resonatorsの設定はこんな感じ。

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そうしますと、こんな感じになります。

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原音が同じボリュームとは思えない位の音量差が出ます。音が割れまくったのでリミッターを入れていまが、これは結構注意が必要な気もします。この問題の為、基本的にResonatorsは、ドラムとか、ハーモニーを作らない音源に使うべきと考えます。

例えばこちらは、ResonatorsのプリセットBerlinを、NoteをAに設定して、A minorスケールのピアノにResonatorsをかけてみました。

 

soundcloud.com

これは結構厳しいですね。音量差が相当出ていますし、音も割れています。リミッターも入れています。

 

で、本来のNoteの役目に戻りますが、ちょっとこれも音源を用意しました。

  1. 最初の4小節はA minorスケールのピアノとドラム。これがマイナーのキーオリジナルです。
  2. 次の4~8小節でドラムに、ResonanceのプリセットBerlinを、NoteをAに設定して聞いてみます。
  3. 次の8~12小節はC majorスケールのピアノとドラム。これがメジャーキーのオリジナルです。
  4. 更に次の12~16小節で同じように、ドラムにResonanceのプリセットBerlinを、NoteをCに設定して聞いてみます。ちなみにこのBerlinには、Minor 3rdの音が入っているため、そこはMajor 3rdに修正しました。
  5. そしてその後最後に、C majorスケールのピアノに、ドラムにResonanceのプリセットBerlinを、全くズレているNoteをG#に設定した音です。

一応画像載せておきますと、こんな感じのResonatorsの並びです。赤丸内はMinor 3rdをMajor 3rdに修正した所です。

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soundcloud.com

 

こんな感じで音に一体感が出ます。スケールがズレたNote設定だと、当然音にズレを感じますね。

Centでの細かいピッチの調整も可能です。一応画像載せますと、赤丸内でNoteとCentの設定です。

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Mode Ⅱ~Ⅴ

ここはまとめさせてもらいます。基本的には同じものです。このⅡ~Ⅴの部分がMode Ⅰで設定したNoteの音をルートにして音程を調整できます。

注意点としては、Mode Ⅰの音は左右両方から出るのですが、Mode ⅡとⅣが左から、ⅢとⅤは右から音が出るという所でしょうか。この辺ちょっと考えてやると、例えば音のオンオフとかを左右均等にしたりとかも出来ますね。

 

 

Mode Ⅰと同じように、ピッチとCentでの音程調整もあります。Mode Ⅰの画像を見たら分かると思うので載せませんが、細かい音程も調整できるというところです。

 

御存知の通り、Ableton liveは、こういった謎の音を作り出すエフェクトが沢山あります。M4Lも考えると「こんなん何に使うんや、、、」というエフェクトが沢山有りますが、Resonatorsはこうして作りをしっかり見ると、意外と使いやすい部類ですし、ちょっと音に変化を入れたい時なんかに重宝するかもしれません。

以上、ありがとうございました!