Sound Lab Kichizyo

Ableton Liveのアレコレ

Ableton Live 11 Hybrid Reverbを理解する

Live 11の目玉エフェクト

おそらくLive 11を使っている方の多くが、今回のアップデートで一番嬉しかったのは、このHybrid Reverbでは無かろうかと思います。今まで、「Abletonはリバーブがね、、、」「DelayはEcho出て、色々面白くなったけどリバーブは正直ね。」みたいな声を、幻聴かもしれませんが巷でよく聞いていました。正直ちょっと同意してたのも悔しい所です。「別にアレで十分なんですけど、、、Saturatorとか入れたらVintageっぽい音にもなるし、、、」とか言いながら、普通にVSTプラグインめっちゃ使ってました。と言うか、リバーブはサンプル編集以外は、プラグインの方が多かったです。無礼討ちして下さい。

 

しかし、今回のこのHybrid Reverbは主力リバーブと言っても間違いございません。この記事で、Hybrid Reverbの概要をざっくりとメモしていきたいと思います。

 

何と何のハイブリッドなのか

実際ここが一番大事なところなのですが、ハイブリッドって言ってるので、交雑です。複数の種類を組み合わせているのが、このHybrid Reverbなのですが、何と何を組み合わせているかと言うと、

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赤丸部分がコンボリューション・リバーブ

青丸部分がアルゴリズミック・リバーブ

黄色丸部分が、それぞれをどのようなルーティングでどれ位混ぜるか

 

です。極端な話、この部分だけ分かってたら、後は別にどうとでもなります。また、コンボリューション・リバーブとは、とか、アルゴリズミック・リバーブとは、みたいなのは、めっちゃ分かりやすい説明が、ちょっと検索したら沢山あるので省略します。

プラグインでは、コンボリューション・リバーブは特に、というか、リバーブ自体結構重い傾向があるので、こういうデフォルトのエフェクトで、強力なリバーブが有るのは嬉しい限りです。

 

Convolution

コンボリューション・リバーブで重要な部分は、IRと書いてある部分です。このIR、Impulse Responseとか呼ばれるものが、コンボリューション・リバーブの反響音の基本と思って良かろうかと思います。細かい仕組みは知りません!

で、このIRが、Hybrid Reverbにはとても沢山内蔵されています。

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画像内だけで十種類、そこからさらにそれぞれ、個別で沢山のIRが有りまして、2百以上あるそうです。

 

また、コンボリューション・リバーブの部分の特殊な部分として、これもよくある機能ですが、Sizeがあります。

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例えばなんですが、ちょうど体育館でバスケかなにかをしているサンプルを発見しましたので、この音を利用してみます。ちなみに、サンプル音をHybrid Reverb上にDrag and DropでIRに設定できます。

元の体育館の音が最初の音です。

その次に、ピアノの音を鳴らします。

そして、体育館の音をIRとして、ピアノの音にコンボリューション・リバーブのみをかけて再生します。

最後は、ピアノの音にコンボリューション・リバーブのみをかけ、Sizeを300%にしたものを流します。

 

soundcloud.com

まぁ、ちょっと分かりにくいですが、、、、反響はSizeを上げると大きくなりますね。そういう事にしといて下さい。もう少し分かりやすい音にしたほうが良かったかな、、、

 

Algorithmic

少々分かりにくい画像ですが、アルゴリズミックは五種類です。

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このアルゴリズミックですが、種類を変える毎に、パラメターも変わります。

例えば、これがTidesで、

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これがPrism

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つまみのパラメターが違いますので、色々触って試すのが良かろうかと思われます。

 

Hybrid and Blend

ここがこのリバーブのミソでは無かろうかと思いますが、名前の通りHybridですので、どのようなルートで、どのような割合で混ぜるか、というのがこの部分。

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ルートは4種類ありまして、直列、並列、コンボリューションのみ、アルゴリズミックのみです。

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感覚的に分かっていれば大丈夫とは思いますが、直列のSerialでは、コンボリューションの音を、アルゴリズミックに渡して、残響の処理を行えます。

例えば、このSerialが効果的なのは、コンボリューションの音が短かい時が面白そうです。短いコンボリューションの音を、アルゴリズミックに渡して残響処理をします。かなりオリジナリティのある、変わった残響音が作れます。

Parallelの並列では、コンボリューションとアルゴリズミックの両方が音を受け取って、別々に処理して、音を出します。

このParallelは、コンボリューションの音が長い時、例えば先程の体育館の音でも良いですが、そういう音に使えそうです。長い残響を、アルゴリズミックと混ぜることで、より複雑でリッチな残響音を発生できそうです。

しかしこのBlendノブ、ついついオートメーションしたくなりますね。

 

その他

ここは大したことないです。エレクトロ系の音楽では必須になるEQと、

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こっちは、ステレオ幅をどれ位広げるかのStereoノブ、Vintage感入れるかのVintageボタン、珍しいのは、180hz以下の音をモノにするかどうかのBassボタン、普通にDry/Wetです。

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まぁ、反響音で180hz以下ってカットすることが多いと思いますが、それも曲によるでしょう。

 

以上が、ざっと見ただけですが、Hybrid Reverbの基本となる部分かと思います。もっと他のエフェクトと組み合わせて、様々なパラメターに動きをつけるのがAbletonの面白い所だったりするのですが、今回はHybrid Reverbの使い方の基本的な所だけをメモしてみましたので、そこまではやりませんでした。

しかし、とても素晴らしいリバーブです!これホントに嬉しいですね!

以上、ありがとうございました!