リバーブのHow to
前回の記事はこちらです。
kichizyo.hatenablog.jp
参考にした記事もその1に書いていますので、よろしくお願いします。
今回の記事
具体的な作業のワークフローを作るのが最終目的なのですが、この記事では、EQ設定、Time設定、その他特殊なリバーブ設定について特に書いてみようと思います。というのも、纏める記事の内容が、やはりというか、その辺りがメインですし、興味深い手法もありましたので、そちらをまず纏めてから、実際の作業ワークフローを次に書きたいと思います。
EQテクニック
リバーブとEQの併用は避けては通れないものです。その効果と、具体的に何をやるか、ちょっと纏めて見たいと思います。
そもそも、リバーブをリターンチャンネルで使う大きな理由の一つが、CPUの節約ですが、もう一つ、反響音をEQ調整するという事ができます。リバーブの前後にEQ調整を入れる事で、反響音を調整します。今のリバーブは、そういう事をしなくても、リバーブの機能自体にEQが付いて、反響音を調整できるものも多くありますので、その場合は直接トラックに入れても問題なしです。
リバーブの前のEQは、当然リバーブアルゴリズムの反応に影響します。減衰させたい(または完全にカットしたい)周波数がある場合、リバーブプラグインの前に減衰させると、よりスムーズなサウンドになります。
このため、一般的にリバーブの前のEQが推奨されていますが、さらなる微調整が欲しいときは、リバーブの後ろに、さらにEQを入れると良いそうです。リバーブ前のEQは一般的な方法で、1960年代からAbbey Roadで行われたミキシング作業が始まりと言われています。この方法では、ハイパスフィルターとローパスフィルターの両方を適用して、入力信号から低周波数と高周波数をカットします。
ちなみに、最近はCPUの質も上がっているし、何故リバーブをSendで使うか、という事を考えてみると、別にリバーブは、Sendじゃなくて個別のトラックに使っても良いじゃないか、という話も有ります。当然個別に使ったほうが、細かく調整できますし、CPUに余裕が有るなら、そうした方がいい場合も多々有ると思われます。
やってみる
これも幅広い周波数を持つトラックが良いので、ドラムトラックにリバーブをかけてみました。当然Pan設定すらしていません(キリッ)
- 最初の8小節がリバーブ無し
- 間が空いて次がリバーブEQ無し
- 次がリバーブ+ハイパスフィルター(300hz以下Cut)
- 次がリバーブ+ローパスフィルター(1.7khz以上Cut)
- 次がリバーブ+ハイパスフィルター&ローパスフィルター(上記設定)
となります。分かりやすいように、かなり極端にしています。今回は、あまり何も考えていないので、よくありそうな感じのリバーブを選びました。Rverbのプリセット、Bright Hallです。
上記の設定のトラックはこうなりました。
soundcloud.com
さらに、次は上記の順番で、反響音のみの音です。最初の8小説はリバーブなしですので、普通の音です。
soundcloud.com
これでかなり違いが分かります。特にローエンドは昨今の音楽ではマスキングしがちですので、反響音でさらにややこしくするのは問題です。カットしちゃいましょう。
ちなみに、Presetでよくある、WarmリバーブとかDarkリバーブとか呼ばれるものは、反響音のHigh Endをカットしているものの事です。この手のリバーブは、トラック数が少なく、それぞれのトラックが全て重要な役割を担っている時に使うとハマる傾向があります。
反対に、反響音の高音が抜ける明るいリバーブは、トラック数が多く、勢いが曲に明るさが必要な場合に合う傾向があります。
Compやリバース等を使ったテクニック
ここまではまぁ、そうかぁ、って感じですが、このCompを使ったテクニックは、面白くて、こちらの動画からです。
www.youtube.com
いや、これホントシンプルながら効果的で、CPUフレンドリー。こういう発想できる人ってホント凄いと思います。
ただ、この記事、情報量が多過ぎるのと、かなり特殊な使い方ですので、また今度纏めたいと思います。このビデオの情報を纏めるだけで1記事いくと思います。出来たらリンク貼ります。
出来たのでリンクを貼ります。
kichizyo.hatenablog.jp
この記事のメインはこちらです。これ凄く面白いテクニックでした!リバーブだけじゃなくて、こういう考え方を知っておくのも大事だな、と思いました。実際Abletonの場合は、Samplerでこの計算を使ったら良いサンプル活用が出来たりします。
Delayには、Tempo Syncボタンが付いているのが一般的ですが、リバーブやコンプには、この機能は付いていないものも少なくありません。しかし、機能が無いと、リバーブやコンプでテンポシンクが出来ないという事ではありません。それを計算しようというのがここの話です。
このBPM同期リバーブは
リバーブの反響音やリバーブテイルを、曲のリズムに合わせることが出来る。
大事な音と調和して、空間を豊かに表現できる。
ドラムやベース、リードボーカルを明瞭にして、はっきり分ける
という効果があるとのこと。具体的な計算方法は、前回書いたこちらの記事に近いものがあります。計算方法は下に書いてますが、似たような話ですので、ついでにリンクを張っておきます。
kichizyo.hatenablog.jp
さて、今回のBPM同期リバーブですが、計算式があります。公式は
一分間は60000ms
60000/BPM=1拍が何msか(一般的な4/4拍子の曲では、四分音符で1拍何msかの数字)
例(BPM70の曲の場合):60000/70=857→四分音符一つで857ms
さらに8分音符の数字が欲しいときは、四分音符の値を2で割ります。(例では429ms)
面倒くさいわ!っていう方で、Macを使っている方でしたら、アプリがあります。
apps.apple.com
では、BPM同期はどのパラメターで行うのか。動画では、PreDelayと、Decay Timeへの使用を紹介しています。先ずはPreDelayから。前回の記事にパラメターに関しては一通り書いていますが、一応、下画像は動画からです。
PreDelayは、基本的に、パーカッションやボーカルで使われます。PreDelayの数値設定に関してですが、Macユーザーはアプリを入れたら一発です。しかし、Windowsユーザーはハブられています。私もハブられています。ので、動画から関係性を表す写真を抜いてきました。
特に難しいことは無いです。画像では例の通り、BPM70の曲です。四分音符のms値が857。PreDelayは、やはり短い音が選ばれますので、1/64拍子を動画では選択。PreDelayが長すぎると、原音と反響音の音が離れすぎておかしくなります。パーカッション等のリズム系で54をPreDelayに設定すると、動画ではいい感じです。楽器によっては1/32でも良いですね。
ちょっと脱線
動画でも言及していますが、一般的にBassにはリバーブは使わないと言われています。しかしながら、エレクトロニック音楽で一般的な手法として、ベースをSub(超低音)と、ハーモニクス成分が多い高音に分けて、高音部分だけリバーブをかけるという手法があります。
その際、このPreDelayの設定がかなり重要になるとの事でした。この高音域にタイトなリバーブを乗せるといい感じ、との事です。
Decay Time
これも、公式というか、簡単な引き算で設定できます。ちょっと動画からの画像をピックアップしてみましょう。
画像は例の通りBPM70のトラックです。それぞれの音符に対するmsが一番左の数字です。さらに、今回はPreDelayを1/64音符に設定しました。そのmsは54です。
この場合、一番左の数字からPreDelayの数字を引いた数字が、Decay Timeで設定する数字です。
動画では、8分音符の数値(429)-PreDelay数値をDecay Timeの数値(375)として設定していました。
このDecay Timeは、リバーブをかけるトラックによって長さを変えると良いです。動画では、8分音符の反響音がハマるようなトラックには8分音符のDecay Time設定を、また、1/2音符のクラップ音には、1/2音符に対応するDecay Timeの値を、という感じで、ピンポイントでこの音のリバーブの、Decay Time値はこれ、こっちはこれ、というふうに使い分けていました。
これは音源を作っていません。というのも、分かりやすい特殊効果ではなく、「おお、、何かいい感じにリバーブかかってますね、、、」ってなるだけだからです。でも、こういう形で一つの基準を持ってパラメターを設定出来るのは良いことではないでしょうか。
そもそもSyncモードがあり、音符の長さでこの辺調整出来るリバーブ沢山有りますし、その場合は必要ない知識では有ります!そういうのが無い場合の、一つの指標かな、と思っています。
とりあえず今回は以上となります!ありがとうございました!