Sound Lab Kichizyo

Ableton Liveのアレコレ

Samplerチュートリアル その3

前回の続きから

こちらの記事はSamplerに関しての記事3つ目です。

最初の記事はこちら

kichizyo.hatenablog.jp

 

2つ目はこちら

kichizyo.hatenablog.jp

 

この記事の続きはこちらを

kichizyo.hatenablog.jp

 

それぞれご参照頂ければと思います。

 

Pitch/Osc Tab

このPitch/Osc Tabは比較的分かりやすい部分では無いかと思います。結構そのままです。先ずはOscからいきます。

 

Osc

FMとAMでモジュレーションをかけるOscillatorを、オリジナルのサンプルに対して、どれくらい、またどの様に効かせるか

という所です。基本的なADSR envelopeで動くので、特に注意する点はありません。

 

最初に、FMかAMを選択し、右側のTypeから、OscillatorのWaveformを選びます。その後横のVolumeを少し上げ、モジュレーションのボリュームを調整して下さい。そこから細かい調整に入ります。少し気づきにくい所は、

 

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図の上部、OSC EnvelopeのAttackの横に、四角のボックスがあります。これをクリックすると、それぞれADSRのSlope、つまり傾きを調整できます。

 

次に、このLoopですが、たとえばこんな風に極端にADSRの値を大きくすると、モジュレーションがかかりっぱなしになり、Loopしている感じが分かりません。このLoop機能は、モジュレーションがAとDの値の間をLoopするからです。

 

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しかし、この様にDecayとReleaseを小さくすると、モジュレーションがLoopしているのが分かると思います。モジュレーションがAとDの値の間をLoopしているのがハッキリ分かります。そのLoopの種類とRepeatの具合の調整も出来るという事です。

 

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Fixedの所も触ってもらったほうが早いと思いますが、横のFreqでモジュレーションの周波数を調整できます。モジュレーションのスピード調整です。

右上のVol<Velも、Volumeを大きくして、Vol<Velを100%にして、強くキーを叩いたり、ゆっくり軽くキーを叩いたりしたら違いが分かると思います。Multiもそうですが、触ったほうが早いですね。

 

Pitch

これも本当に見たままです。説明は上と一緒と言っても過言ではありません。Spreadで、ちょっとした音色が足されて、ステレオ感が広がる感じになりますが、この辺りも実際触って試してみるほうが良いと思います。

 

あと分かりにくい所がGlideですが、これは音を滑らかに変化させるという事ですが、ここの説明は公式のSimplerの説明に書いてありまして、

モノフォニックの[Glide](グライド)と、ポリフォニックの[Portamento](ポルタメント)です。グライド速度は[Time]コントロールで設定します

 との事でした。

 

ここで一番興味深いのは、Zn Shiftの部分です。ZnはZoneの事で、Zone Tabと連動しており、これは沢山のサンプルをSamplerに読み込ませた場合に、非常に強力なツールになります。Zn Shiftに関しては、

kichizyo.hatenablog.jp

で書いた、Root音に関係する部分です。この機能は結構面白いので、そのうち記事が書けたらな、と思います。

 

Filter/Global Tab

Filter/Global Tabも、何も特別な事はありません。Pitch/Osc Tabが分かっていれば、そのまま、その仕様が分かると思います。

 

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グラフは、左からFilter、真ん中がFilter Envelope、一番右がGlobal Envelopeです。Filterは、Ableton EffectのAuto Filterとほぼ同じと思って頂いて大丈夫です。

 

変わっているのは、左下のShaperでしょうか。これはちょうどFilterにDistortionを足すようなイメージです。信号がShaperからFilterに行くか、FilterからShaperに行くか、そこも決めることが出来ます。

 

Filter EnvelopeのLoopも、Pitch/Osc Tabで書いたように、AからDの数値をLoopします。

 

Global Envelopeも、特に特別なことはありません。サンプル全体に対するADSR設定です。

ただ、Sample Tabの所で書きましたが、

このGlobal EnvelopeのReleaseの値が、Sample Tabで設定できるRelease Loopに大きく影響します。

あとは、Pan<Rndは、Random Panの調整、Timeは、サンプル音全体に対して、Envelopeの長さを延ばすか縮めるか、という説明でしたが、触ってみたらどういう効果か分かります。横のTime<Keyですが、Keyが高くなれば、横のTimeも伸ばされる、という説明を見ましたが、あまり公式でもこの辺の情報が出てきません。使っている方教えてもらえると嬉しいです。

Voicesはポリフォニーの数です。1に設定すると、鍵盤を沢山同時に押さえても一つの音しか鳴りません。

RボタンはRetriggerを意味するそうで、公式のリトリガーの説明は以下です。

[Retrig.]がオンの場合、すでに鳴っているノートはリトリガーされるとすぐさま停止し、追加ボイスを生成しません。これは、減衰時間が長い場合にCPU負荷を低減するのに便利です。

 まぁ、これはつけっぱなしで良いでしょう。触ったことありません。すいません。

 

また長くなりました!ありがとうございました!

Samplerチュートリアル その2

前回の続きから

前回の記事はこちらです。

kichizyo.hatenablog.jp

 

次に、Sample Tabについての説明をします。このSample Tabのメイン機能の一つであるループに関してですが、こちらの記事に、Beatにハマったループの作り方を紹介してあるので、こちらもご覧頂ければ嬉しいです。

kichizyo.hatenablog.jp

 

それと、この続きの記事はこちらです。

kichizyo.hatenablog.jp 

 Sample Tab

先ずは適当にSampleを読み込んでみます。

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読み込んだ波形上で、右クリックすると、ノーマライズ等が出来るのと、クリックした状態でマウスを上下に動かすと、波形をズームインとアウト出来るのは、Simplerと一緒ですね。

 

次に注目するのは、Sample StartとSample Endの値。こちらに数値を打ち込んだり、数値を動かしたりすることで、サンプルが再生される位置と、サンプルの再生が終わる位置を決定できます。なので、左上のReverseをOnにすると、Sample EndからSample Startに向かって再生されるわけですね。

 

その下のSnapボタンでは、サンプルが再生される場所と再生が終わる場所を、ボリューム0になるように自動設定します。こうすることで、ループの際、不要なノイズを避けれるという事です。

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ただ、今回の例のSampleでは、ずっと音が鳴っている為、ループした時のクリックノイズは避けようがありませんでした。そもそもRとLで出てる音が違いますので、完全に0値には出来ません。

 

Rootは、画像のサンプルで説明しますと、このサンプルのキーはDです。その為、RootをDにすると、Cの鍵盤ではCの音が、Dの鍵盤ではDの音が対応して出るようになります。これがCのままだと、Cの鍵盤を叩くと、サンプルの元々の音のDの音が鳴る訳です。

 

Scaleは、基本的に100%で使います。0%にすると、どの鍵盤を叩いても、ルートの音が鳴るようになります。これは触ってみるしか無いですが、あまり使いみちが思い浮かびません。どなたか使っている方はいらっしゃるでしょうか?Midi Tabからも設定できないしなぁ、、、Max For Liveのデバイスと組み合わせたら意外と使いみちあるのかもしれません。

 

他に分かりにくいところは、右側のInterpolでしょうか。こちらはサンプルのクオリティと思って大丈夫です。Best Interpolationを選ぶとCPUを結構喰う事になります。

その下のRamボタンを押すと、サンプルがRamから再生されます。どうなるかと言うと、音質良く、反応が速くなる、と言うことですが、私程度の耳ではあまり良くわかりませんし、使ったことありません。Ramは当然限られたリソースなので、基本はオフで良いと思います。

 

あとは特に分かりにくいところは無いと思います。直感的でわかりやすい部分です。

 

ループがここでは最重要機能

ここからが本題です。Samplerのループ機能はとても強力で、Simplerでは出来ないことの一つです。

 

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この画像を見てもらえると分かりますが、一番左にある矢印が、サンプルを再生する場所、Sample Startで設定出来る場所です。

 

真ん中の→←で囲まれている部分が、Loop StartとLoop Endで設定できる、Sustain Modeでのループ位置です。Sustain Modeと書いてある下の矢印は、ループの方式です。

画像で選択されている一番右の双方向の矢印のループ形式はSimplerには無いものです。

これはとても使えます。

 

その横のLinkを押すと、Sample Startの数値が、Loop Startの数値に重なります。サンプル再生位置が、ループ開始位置になるわけです。ちなみに、Snapも適応されます。

 

さらに強力な機能が、この下のRelease Modeです。このRelease Modeの機能を実感するために、Filter/Global Tabの、Global EnvelopeのReleaseの値を上げて見て下さい。下の画像の一番右のEnvelopeのReleaseの値です。画像では最長の60です。

 

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 次に、Sample Tabに戻り、Release Modeを双方向の矢印に設定します。

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ちなみに、Release Loopの値はRelease Loopが始まる位置のことなので、ここでは画像の様に、Loop Endよりも大きな値にしてみます。Release Loopが終わる位置は、Sample Endの数値です。

今回は、上画像の様に、全ての矢印の位置がバラバラになるように設定してみます。数値で言うと、一番小さな値がSample Start、次にLoop Start、Loop End、Release Loop、Sample Endの順です。

 

ここで再生してみますと、

鍵盤を押している間は、Sustain Modeで設定されたループ範囲をループし、鍵盤を離すと、次のRelease Loopに向かい、Global Envelopeで設定したReleaseの長さの間、次のRelease Modeで設定されたループが再生される

のではないでしょうか。

 

これを

Beatにハマったループの作り方

kichizyo.hatenablog.jp

 

で紹介した方法を使って設定すると、かなり複雑でかっちり決まったループが出来そうです!

 

また長くなりました!ありがとうございました!

 

Samplerチュートリアル その1

Simplerの上位互換

SamplerはAbleton Live Standardでは使えないInstrumentの一つですが、サンプル編集能力が大きな魅力のAbletonでは、Samplerは主力Instrumentと言っても過言では無いと思います。

Standardユーザーの方は、様々なプラグインを購入するのも良いですが、まず最初に購入候補にするべきプラグインは、このSamplerだと個人的には考えています。

 

そのSamplerは端的に説明すると、Simplerの上位互換と言って差し支えないものです。

Samplerの説明は、6つあるTabの機能を説明するのが一番わかり易いと思いますので、一つずつ行きます。画像赤丸内です。

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長くなりそうなので、少しずつ分けて、4つの記事に纏めます。今回はZone Tabのメモ書きです。

 

2つ目の記事、Sample Tabに関しての記事はこちらを。

kichizyo.hatenablog.jp

 

3つ目の記事、Pitch/Osc、Filter/Globalに関しての記事はこちらを。

kichizyo.hatenablog.jp

 

4つ目の記事、Modulation、Midiに関してはこちらを参照してもらえればと思います。

kichizyo.hatenablog.jp

 

Zone Tab

このZone Tabを開くと、新しいウィンドウが出てきます。

 

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このウィンドウ、何かと言いますと、ここにDragすることで、沢山のサンプルを読み込んで、様々な割当が出来ますよ、という場所です。例えば、今回では、キーがGのサンプルを、20数個読み込んでみました。Drag and Dropするだけです。

 

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20数個もサンプル読み込んでどうするねん、という話ですが、これはまた後で扱うとして、画像上部にある、KeyとVelとSelの説明からしてみます。

 

Keyは以下の画像のように、

私の場合では、この緑色の部分を動かすことで、そのサンプル音が出る鍵盤を指定できる

 というものです。これは見たら分かりますね。

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次にVelですが、これも似たようなものなので画像を省略しますが、

1~127の数値を指定することで、そのサンプルが鳴るVelocityを指定できる

というものです。弱く鍵盤を叩いたら、その設定のサンプルが鳴り、強く叩くとまたそのようになる、と、そういうった具合です。

最後のSelですが、これ正直使ったこと無いので、イマイチ使い方が分からないのですが、これも

0~127のMidiデータ番号を指定することで、どのSampleが、どのMidiデータを受け取るか

というのを決定するそうです。これは正直使った事無いのですいません、、、どなたか効果的な使い方、教えて頂ければ嬉しいです!

 

20数個の読み込んだサンプルどうするのか

使用例ですが、例えば、この20数個のサンプルをつかってグリッチーなフレーズを作ります。

 

先ずは、Keyを選択し、Ctrl+Aで全選択した後、右クリックで、複製の下の「レンジを均一に割り当てる」をクリックすると、図のようになります。

 

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次に、Root音を変えます。上記の通り、キーはGなので、Gにします。画像の通りです。左下のRootの所です。今回はG1にしました。

 

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GのサンプルのRootを合わせることで、それぞれの鍵盤が対応した音を鳴らすようになりました。

DAWで作る音楽の面白さの一つとして、偶発的な音を使ってみる、というものがあると思いますので、そういうものを作るとすると、

 

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このような設定はどうでしょうか。ちょっとMidi Tabも触ってますけど、アルペジエーターでスケール上の様々な音を鳴らすようにして、Velocityはランダムにします。Midi Tabで設定しているのは、そのランダムなVelocityの値で、Sampleのスタート位置を変えるという設定です。

 

何か訳わからん音だったのでアップはしませんが、一回一回違う音がなる、かなりグリッチーな音が完成します。

 

次はSample Tabに関して書いてみます。ありがとうございました!

 

 

Beatにハマったループの制作

Samplerに書いてある数字は何を意味しているのか

きっかけはこの疑問でありました。

 

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例えばこの画像では、Sample Startは0、Sample Endは498069ですが、この数字ってなんやねん。と思って色々調べた事がありました。単純にSampleの長さかと言われたらそうでもないんです。Simplerは%で設定しますから、Simplerには無いこの数字。それで不思議に思ったので、勉強することにしました。

 

あとで考えると、

 

www.pluginboutique.com

この本の中に同じこと書いていたのですが、当時この本を読んでなかった私は、随分色々探した記憶があります。

 

当時色々やった結果、なんかそれっぽい事を書いてあるサイトを見つけました。

URLが長いので、こちらです。

重要なところを引用しますと、

 

How do I calculate the number of samples per beat in my audio recording software?

 

Say you have X beats (quarter notes) per minute (BPM) = 60 seconds. Then one beat takes up 60/X seconds.

If you record with a 44.1k sample rate, you have 44100 samples per second. And so one quarter = 60/X seconds = 60/X * 44100 samples. Divide by 2 for eighths, etc. Use 48000 instead of 44100 when recording at 48k of course.

Example: the song is at 90 bpm, and you want to know how many samples are in a 1/8 note. 60/90 * 44100 = 29400 samples for a 1/4, so a 1/8 is 29400/2 = 14700 samples.

 

あれ?これのことじゃない?

 

というのも、Samplerの主要機能であるループですが、指定範囲を行き来する、双方向の矢印がついたLoop再生モードがあるのですが、

 

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この再生モードをした時に、

ずっとループさせてたら、ループ音がBeatとズレてしまうのです。

大体は目見当で合わせる事が出来るのですが、長時間ループさせると、違和感が出てきます。

 

そこでこの式が使えます。上記の情報によりますと、

The number of samples per beat、つまり、例えば4/4でBPMが115の曲の、4分音符の音がどの位の数になるのかが計算できる

という事になります。これが分かったら、ループがピッタリ合うのじゃないか!となり、当時結構嬉しかった記憶があります。

 

式と計算方法

求めたい数を、ちょっと適切な日本語が思い浮かばないので、とりあえず便宜上Samples per Beatと名付けます。

式と計算方法は次のようになります。

 

BPM数÷60=①(上記の例では4/4の曲で、4分音符なので、ここもそれに倣います)

ここで、もしSampleのRateが44.1kなら、一秒間に44,100のサンプルデータがあることになります。その為

44,100x①=Samples per Beat(②は4分音符の中にどれだけサンプルデータがあるのか)

 

となります。

ここで、注意点が、48kのSample rateの時は、44,100じゃなくて、48,000となります。

 

また、8分音符のSamples per Beatが知りたい時は上の式では4分音符のSamples per Beatなので、それを半分にしたら良いということです。

 

当然やってみる

試してみます。BPMは93でやってみます。ヒップホップ感あるBPMですね。

 

soundcloud.com

 

これに、適当なVocalサンプルのループを合わせてみます。サンプルはこちら。

 

soundcloud.com

 

Vocalサンプルは、なぜか空白の時間が後ろに残っていますが、まぁ良しとします。このVocalサンプルの、丁度いい所からループを始めたい。具体的にはこの辺りにします。

 

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ご覧の通り、Sample Startが103796です。ここで上記の式の登場です。このVocalサンプルのRateは44,100です。ちなみに、Sample rateは、面倒くさいけどItunesで見れます。

 

60÷93=0.64516129032(一分間の秒数÷BPM

44100x0.64516129032=28451.6129032(Samples per Beatの数字)

 

というわけで、4分音符一つのSamples per Beatは、28451.6129032です。面倒なので、28452にします。この辺りは厳密じゃないです。

 

Sample Startが103796。ここから、4分音符2個分をループさせて、4分音符1つぶん進めて、残りはRelease Loopでループさせたいと思います。

 

Release Loopとかに関してはこちらを参照してもらえればと思います。

kichizyo.hatenablog.jp

 

103796+56904=160700(Sample Start+4分音符×2)

160700+28452=189152(Release Loop開始地点)

189152+56904=246056(Release Loopは4分音符二つ分)

 

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よし!やってみます!

 

soundcloud.com

 

いけるやん!

ありがとうございました!

Izotope Tonal Balance Control使ってて気づいたこと

大変便利なPlugin

Ozone 8からの導入だったでしょうか。これが欲しくてOzoneを購入した方も多いと思います。

とにかく直感的に使えて、Mixの仕上げに便利です。初めてみた時は衝撃を受けました。

このとても便利なTonal Balance Control、色々実験して、注意点を調べてみよう、というのが今回のテーマです。

 

Referenceがとても重要

このTonal Balance Controlの一番便利なところは、Referenceトラックを読み込んで、分析して、Mix仕上げの指標を作ってくれるという事です。

使い方はプロの人達が解説してくれてるのが沢山あるので、そちらを見たほうが良いと思いますが、デフォルトで入っているBass HeavyとかModernとかは参考程度にして、Referenceトラックをガンガン読み込んで使うべきと思います。

 

このPluginを使う位置ですが、色々調べた所、やはりMasterトラックに挿して、全体を調整する、というパターンが多いようです。もちろんOzone8で完全にMixとMasteringを分けて作業する際、Masteringで使っている方もいらっしゃると思いますが、私は、MasterトラックにNeutronと一緒に入れて使うのがMainです。

 

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便利なNeutronとの合わせ技

 多くの人がこの使い方をしていますが、このTonal Balance Control、Neutronと連動します。Tonal Balance Controlは、あくまでToneを調整するものなので、連動させるのはEQが基本です。

 

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こんな感じです。

 

 

Tonal Balance Controlの注意点①

色々実験してみて気づいた事は、このTonal Balance Controlが指し示している、指定帯域は、相対的なものと言うことです。

ちょっと何が言いたいのかよく分からないし、当たり前の事かもしれませんが、下の例を見てみますと、

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Original

このOriginalの波形を、ガッツリTotal EQで一箇所削ってみます。

 

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EQ cut

この画像EQ cutでは、851Hzをがっつり削りました。そうすると、確かに800Hz前後は大きく削れますが、そうする事で、その他の帯域が増える場所がある、という事です。

Low-Midのエリアを削ることで、High-MidやLowが結構持ち上がって来ています。

当たり前といえばそうなんですが、色んな要素が互いに作用しあって、Tonal Balance Controlの波形は表示されているようです。

 

EQを使う時の一般的な注意点ではありますが、単純にここの周波数を上げ下げして、調整して終わり、とやると、その影響は他の周波数にも如実に現れる事が、このTonal Balance Controlでも分かります。

 

注意点②

Referenceトラックを選ぶことが重要、と書きましたが、

Tonal Balance ControlのReferenceトラックを選ぶ時は、雰囲気や楽器構成が似たものを選ぶほうが良い

ように思われます。

本当はちゃんとした曲のほうが良いとは思いますが、著作権とか分からないので、私が5~6年前に作った曲を例として使ってみます。この頃はTonal Balance Controlはもちろんありませんでした。

 

soundcloud.com

 

この曲のReferenceトラックは、確か、

Shlohmo Seriously

か、

Shigeto Miss U

のどちらかでした。今回はSeriouslyを参考音源として使ってみます。

ちなみに、Tonal Balance Controlが示した、Seriouslyの差はこんな感じです。雰囲気も近いかもしれませんし、大体合ってるようです。

 

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こういうやり方は良くないですが、これを無理やりTotal EQで解決させますと、

 

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こうなります。高音無理やり上げまして、一応ギリギリ枠内という感じです。で、この高音を無理やり合わせた音源がこちらです。

soundcloud.com

 

確かに抜けは出ましたが、高音がクリップしています。もともとMixの失敗により高音が耳障りな曲でしたが、それが更に強調されました。

 

楽器構成によっては、Tonal Balance Controlに合わせることで、問題点がかえって悪化する良い例では無いかと思います。

 

ただ、高音の抜けは改善余地ありという事も同時に分かりました。解決方法は後に書きます。

 

もっと極端な例ですと、

soundcloud.com

 

参考音源は

Flying Lotus Tea Leaf Dancers

です。名曲を参照したのですが、耳にするのも耐え難い状況になりました。

 

使ってって気づいた事

上記の注意点を鑑みまして、重要なことは、

 

連動して便利だからといって、極端なTotal EQの使い方してはいけない

 

Referenceトラック選びは、楽器構成や雰囲気が似たものを選び、自分の曲の楽器構成によっては、Tonal Balance Controlとぴったり合わせる必要がない

 

各帯域毎の音を聞き、その帯域のメインとなるTrackを個別に編集する

 

という三点になるかと思います。考えたら当たり前の事ですが、その当たり前の事の重要さが、Tonal Balance Controlに現れているとも言えます。

特に、Ableton LiveのEQ8では、右上のヘッドホンボタンを押したあとに、指定帯域をクリックすることで。NeutronではAltキーを押しながら指定帯域をクリックすることで、その部分の音だけを聞くことが出来ます。

この機能を使って、各帯域のメインの楽器は何かを把握し、個別に細かく調整する事で、Referenceに近づけていく、というのがとても重要と思えます。

 

他にもアドバイス頂けたら嬉しいです!

 

長かった!ありがとうございました!