Sound Lab Kichizyo

Ableton Liveのアレコレ

Free Guide: Mixing with iZotopeの要点を纏める その4

続きものです

その1から順番にリンクは以下です。

kichizyo.hatenablog.jp

 

kichizyo.hatenablog.jp

 

kichizyo.hatenablog.jp

 

長かったMixing with iZotopeのシリーズも、とうとう終わりです。そしてこの最後の記事ですが、正直微妙な内容です!各楽器の注意点みたいなものが内容になりますが、その内容が、大体全部

楽器と音色による

の一言です。確かにその通りなので仕方ないですが、、、とりあえず纏めたので、いってみます!

 

Drum Mix Tips

・ドラムトラックは個別の音色を編集し、Busトラックにそれぞれの音を繋げる様にする。個別の音を編集し、さらにドラム全体の音をまとめる為に、Stereo Busは必須である。

 

Kick

・先ずは EQ。人間の耳は、200hz~500hzを、鈍くずんぐりした音、600hz~1khzを、こもった、狭苦しい音、2khz~4khzを、尖ったカチッとしたクリックっぽい音、のように認識する。この辺りの周波数は、特に注意するべきである。

 

・Low endは強調したいが、KickのLow endには様々な要素が含まれていて、Bassとの組み合わせが重要。この為、30hz以下の音は、ハイパスフィルターで削ると、Bassとよく噛み合う事が多い。

 

・KickにCompを使いたい時、低い2:1前後のRatio設定は、Volumeを増やし、スムーズな結果に繋がる事が多い。音の強弱の、微妙な調節が重要である。

 

Snare & Tom

・EQのセッティングは、スネアの音色によるので難しい。例えばあるスネアは丸みのある良い音が200hz~250hzにあり、別のスネアだったら、その周波数は邪魔になる、べたついた音だったりする。

 

・どの音(周波数)を強調させ、どの音抑えるかは、全体のドラムサウンドを聞いてから決める。

 

・よくある事象として、スネアの snap音(カチッ、パチッという音)の響きが、歯擦音と被り、耳障りな音となる。これは3hz~5khzで起こる現象。スネアの音は、特にVocalを流しながらMixすると、どの周波数がVocalとマスキングしているかよくわかる。

 

・Compを使う場合、Kickと同じ様に、音の輪郭を殺さない程度に、Attackを調整して、薄くかけるのが基本である。

 

Overhead & Ambient Drum Mic (ドラムの全体音)

・この全体音から、Mixを始めるエンジニアも少なくない。全体録音の為に何個マイクを使っているか、MonoマイクかStereoマイクか、マイクの位置は上部か、部屋のサイズはどうか、これらによってEQのセッティングは変わるが、ドラム全体の雰囲気を掴むには、先ずこれを聞いてみるのが良い。

 

・Low endを大きくカットすると、音を引き締めまごつかない音になる。この加工をしたトラック単体で聞くと不自然な音だが、全体で聞くと馴染み、有効な場合が多い。

 

・全体音において、シンバル音は邪魔になる事が多い。この場合はDeEsserを使ったりEQでピンポイントの場所を削ったりして、余計な音を消すと良い。

 

・試す価値がある一つの手法として、MS 処理がある。全体音のトラックにMS処理をかけ、Sideは高音を上げる設定をすると、ドラムのStereo感が広がる。

 

・Transient Shaperが有効な場合が多い。強調したいAttack音はどこかを考えて使うと良い。

 

Percussion

・シェイカー、タンバリン、コンガ、ティンパニ、エレクトロ系等。

 

・EQはそのパーカッションの音色によるが、基本は今までにあった通り不要な帯域を削り、必要な部分を上げる。そのトラックSoloで聞いたら不自然でも、全体で聞く場合、意外に馴染む事が多いのが、パーカッションである。

 

・コンプは高いRatioでガッツリかけるのがハマることが多い。5:1~8:1位のRatioで、AttackとReleaseも、Fastで設定すると効果的な場合が多々ある。Releaseは遅くても20ms位で設定すると良い。パーカッションはビートのメインではないので、控えめが原則。Volumeレベルは低く、Panも均等になるように、あくまでリズム感を足すものとして考える。

 

Bass Mix Tips

・KickとBassの関係がLow endを決定するが、Low end設定の目標は、音を籠らせる事なく、どちらかを極端に削る事もなく、両方の存在感を力強く保つことである。

 

・多くのエンジニアの経験則では、BassかKickか、どちらをLow endで勝たせるかをまず決定させる事が重要である。例えばBassがLow endに厚みを持たせるような音作りで、基礎トーンが低い音程に存在する場合は、BassのLowを勝たせる。他にも、Kickの音は抜けさせたいという場合、Kickが長めの太い音で、Sub Kickも加えたい、など音によって、曲によって、好みによってこの選択をする必要がある。

 

・Low endで強調させる楽器を決めたら、EQを使い、一方がもう一方の周波数を包むような設定をすると良い。例えばKickの80hzを強調したいなら、Bassの80hzはEQで下げ、80hzを挟むように、40hzと120hzを強調する。この関係性を入れ替えたりして、落ち着く所探すと、満遍なくLow endを生かすことが出来る。

 

・2khz~5khzの高音に、Bassのトーンの良い音がある場合は多い。このエリアの周波数編集は、もちろん EQ でも良いが、Distortionが良い結果を出す事も多い。一般的に、Tube系DistortionはLow endを持ち上げ、Tape系DistortionはMid~High endに効く。この為に2~5khzでは、Tape系Distortionが活躍する。

 

・どの EQ やDistortionを使っても、必ずBypassのオンオフを繰り返し、周波数を見て、目と耳両方で違いを確認する。

 

・コンプはどのようにBassがプレイされているかで変わる。

 

  1. アップライトBassなら、Attack timeとRelease timeは、中レベルで。Ratioは、小もしくは中レベルでコンプをかける場合が多い。
  2. ピック弾きや、親指で弾くファンクっぽい、言われるSlap Bassなら、音の出音、頭の部分をコントロールするために、Attack time、Release Timeは、共にFastで設定するのが基本である。ただし、あまり音の頭を潰しすぎないように、RatioやThresholdには特に注意する。
  3. 指で弾かれたエレキBassの場合Attack time、Release timeは、共に中レベルになる。Ratioはこの場合、3:1から6:1の範囲に収めることが多いが、11:1のような特に高いRatioになる事もある。弾き方によるとしか言えない。ただ、ここで重要なのは、どれぐらいのGain Reductionがあるかで、軽く音を潰す程度の場合は-2から-3db、そこそこ潰す場合は、-6db位。この際、Make up gainや、Auto gainでVolumeを適切に調整することを忘れないようにする。Volumeのロスを防ぐようにする。

 

・この二つの楽器は、Side chain compでお互いを生かす方法もある。例えばBassトラックにCompを入れて、Kickが鳴る時だけ、Bassの音を押さえつけるようにするのが一般的。不自然でなくVolume Levelも変えすぎないように。この方法は、Keyboard等、他の楽器にも応用が利く。Compを強く効かせると、独特なノリが発生し、実験的な音を作り上げることが出来る。


・Bassはリズム楽器の特徴を持ちつつ、ハーモニーも作れる楽器なので、Mixで一番難しいと言える。Kickは常に同じトーンだが、Bassは頻繁にトーンが変わる。この為、オートメーションでGainやEQの値を変える人も多い。

 

・Sub Bassに関して

 

  1. KickとBass、どちらかを勝たせるかは曲による。Bass Lineを聞かせるか、Kickの存在感を出すか、どちらかで判断する
  2. Hzを理解するのが重要。40~70Hz位までが一般的にSub Bassと考えられるが、40以下は聞こえにくい。70~100hzが普通のベース
  3. Saturationで倍音を足すと、Lineが際立つ
  4. とにかくBassを聞かせたい時はSub bassにローパスをかけ、70hz以上をCut、さらに別の明るいベースを重ね、明るいベースはハイパスで70hz以下をカット、という方法がある
Waves hiphop low-end lectureより

・これはYoutubeのレクチャーを纏めたものです。一緒に書いてあったので、ついでに纏めます。これも元の動画を見失いました。ざっくりした内容は以下です。


・多くの人は、100万円のスピーカーを持っているわけではない、ので、低いFrequencyよりも、高いFrequencyでBassを目立たせる事は重要。これにWaves Vitaminは良い。


・低いFreqは完全にMono。また、Soloボタンを使って、どのFreqを際立たせるか考える


・動画では、Vitaminで作った音をPuig tech EQを指して、音を調整。Puig techでLow-endをスムースにするイメージ


・Kickに関して。特に808Kick。Kickの為にいくつかのEQを組み合わせるのも重要。EQやCompには、通しただけで音が変わる物もある。このMovieの場合、Waves F6を使っていたが、もちろん代用可能。F6(EQプラスCompの様なPlug in)の使い方で特徴的なのは以下

 

  • Kickを目立たせる為、56Hz以下をHi-passでCut→Bassとの住み分けと、Highを際立たせる事で、Kickのリズム感を明確にする
  • 6~7Khzを上げることで、Kickのアタックを際立たせる。KickのHiを上げることで、より際立たせる。
  • SSL Buss CompでさらにHighを目立たせる。SoloでKickを聞くと奇妙な音になるが、Bassとの組み合わせを聞くと馴染む事が多い
  • この人は、さらにKickにパンチを出すために、Waves Api Eqを使って、5khzと500hzを持ち上げていた。これでKickが明るくなる。この808KickとBassの音の関係性を考えずに、両方の音を際立たせようとするのが、良くあるルーキーミステイク。KickとBassは必ずセットで考える
  • Bassの音の美味しい部分見つけ、KickのBassのメイン部分とマスキングしている場所をガッツリ削る。特に808Kickは、これでBassとの音の分離を作る。Kickのパンチと、Bassの美味しい音で、Low-endのボリューム感が丁度良くなる
  • どうしてもマスキングする場合は、Side Chain機能で、Bassの良い音を殺さないように、Bassが鳴った時だけKickの特定の周波数だけ削る様にする。ここまでやると、低音の圧力が、同じ音量と思えない位全然違う。

 

・これはHiphop用やから、ジャンルによって違いを考える。

 

Guitar Mix Tips

Acoustic guitar

・軽い音で前に出し、音を目立たせて使うか、分厚く、重い音で他の楽器のサポートとして使うか、Acoustic Guitarは様々な役割がある。先ず、アコギはサポートかメインか、役割をはっきり決める必要がある。

 

・サポートとして使う場合、DrumやVocalとの衝突を避ける必要がある。このため100hz~200hz以下をハイパスフィルターでカット、また4khz~6khz辺りで、Vocalとぶつかることが良くある為、そこを探して削ると良い。

 

・音をわざと痩せさせることで、際立たせる手法もある。単体で聞くと不自然な感じがするが、他の帯域を削ることで、残った帯域の音が際立ち、全体で聴くと馴染む事が多い。

 

Electric Guitar

・どの周波数でも、特徴が満遍なく聞こえる程音の幅が広い為、決まったEQ設定は無い

 

・クリーンなElectric GuitarはCompがとても効果的な傾向がある。「4MixにおけるDynamics process(Comp等)」で説明したように、DistortionにはCompの性質がある為、歪みのあるGuitarにCompは基本的に必要ない。

 

Distortionを使った場、歪みを奥深くさせる手法として、Harmonic exciterで歪みの倍音を微かに膨らませ、Chorusでさらに深みを出す、という手がある。

 

・Mixで音が集まりすぎて団子になっている時は、Pan設定が一番効果的な方法である。トラックの複製を作りそれぞれを大きく左右対極に振る、という手法は、団子になったMixを改善し、Stereoの幅を広げる。これはAcousticGuitarでも大変効果的な手法である。

 

Keyboard Mix Tips

・Keyboardは、その周波数帯域の広さの為、Mixが大変難しい楽器の一つである。Stereoとハーモニーのフィールドを幅広く占める楽器の為、どの歌曲でも主張が強くならざるを得ない。

 

・この為場合によっては、極端なEQ設定を行い、欲しい音だけを選び抜いて、その部分だけをMixに馴染ませる作業が必要な時がある。

 

・エンジニアはPianoやKeyboardは、ステレオ全体から音が鳴る事を避け、Pan設定で、左右どちらかに振る場合が多い。
これはステージ上でメインとなるバンドを際立たせるというのが一点、また実際のステージを考えてみても、ピアノが中心にあり左手の音をPanで左に振り、左側スピーカーから、右手の音をPanで右に振り、右側スピーカーから音を出すような設定は、通常有り得ない。どちらかに全体を振り、Stereoフィールドに、他の楽器の為の余白を残す方が、より自然なあり方である。

 

・Com等のDynamics Processingは、KeyboardやPianoでは繊細に行う必要がある。頻繁にBypassのオンオフで確認しないと、音を潰しすぎてVolume Upしすぎてしまう傾向があるのが、鍵盤楽器である。Ratioは1:4~2:1程度の低Ratioで、Compの重ねがけが多用される。軽いCompの重ね掛けは、クリアなCompの効果が期待でき、この種の楽器に多用される。

 

Vocal Mix Tips

Lead Vocal

・良い環境で上手に録音された、上手いVocalは、その分Mixの手間も少ない。先ずはVocalの録音環境が一番重要と考えるべき。

 

・ハイパスフィルターで不要なLow endをカットする。

 

・EQもしくはDe-esserで歯擦音をカットする。

 

・特定周波数へのEQのコツとして、マイクの種類や、録音環境の特徴を考え、不要な音(鼻にかかった音や不要な高音)などを削る。

 

・CompはVocalのVolumeが最も大きくなる場所で、-2db~3db位のGain reductionを目安にして、調整を始めると良い。この際良く使われるのは、Multi band compである。最もVolumeが大きい場所を見つけ、その中でも、最もVolumeの増大がある帯域をMulti band compで削ると、最小限のコンプで特定周波数のVolumeのみを抑えることが出来る。

 

・Vocalの最も個性の出るおいしい周波数帯域を、EQで少し上げる。これは男性、女性、個人で違い、個性の出る所で、ミックスエンジニアの目の付け所が重要になる。Air感が欲しい時は、シェルビング EQ でHigh endを上げる。

 

・全体にかけるCompはAttackは中レベルで、ReleaseはFastの設定でかけるのが基本だが、Vocalのパフォーマンスによって、Compにもオートメーションを使ったり、細かい調整が有効な場合もある。

 

・気づいたらCompをかけすぎていた、という時には、もう一度最初に戻って、他の解決方法(オートメーション、EQ、De-esser)などを試すのが良い。基本は軽いCompである。

 

・Tape Saturationが、Vocalの高音を伸ばすのに有効である。

 

・良いPlate Reverb、アナログスタイルのDelay、クリーンなデジタルエコーなど、空間系はVocalに必須である。Sendから掛けるのが一般的。

 

・Reverbで、反響音のHigh endにフィルターをかける機能を持つものがある。Reverbのかけ過ぎで、High endに求めていないスペースを作り過ぎるようなら、Reverbの反響音を歯擦音がするhzより下位で、ローパスフィルターをかけると良い場合がある。

 

・Wet 8%以下の、薄いChorusをかけると、Vocalを改善する事がある。これはジャンルや声質による。

 

Background Vocal

・同じ歌詞でハモるVocalはVolume調整に気を付ける。ハモリの方がメロディーが良い場合もあるので、よく考えるべき。

 

・Pad音のように、「アー」や「オー」でハモる場合は、一般的にLead VocalよりCompを強めにかける。さらにハイパスフィルターを使い、Low endを大きく削る。Pan設定も、左右どちらかにしっかり振る。もしくはトラックを複製しそれぞれ極端に左右に振る、という方法もあるが、これはGuitarやKeyboardとの兼ね合いで、優先を決める。

 

Mixing within the song structure(編曲的Mix)

・所謂、曲をより凝った作りにするためのMix例えばバース(A メロ、Bメロ、Cメロ等)から、コーラス(サビ)への移り変わり、またセクションから別のセクションへの変調の際に、Mixに細かい変化を入れる事で、曲がより完成されたものとなる。

 

・バース(A メロ、Bメロ、Cメロ等)のトラック数は、コーラス(サビ)より少なくすると良い。別のバースやセクションへ移る度に、何かしら新しいものを登場させる作りが一般的。アーティストが全ての素材をMixエンジニアに渡すという事は滅多にない。何かをカットしたり、ミュートしたり、パーツにアレンジを加えるのも、エンジニアの領域である。

 

・バースのPan設定は絞りめで、コーラスのPan設定を広げて盛り上げるという手法がある。極端に左右に振った音をコーラス時に加えたり、すでにバースで登場していた楽器のPan設定を、よりステレオに広げたりする。この際、トラック複製から極端な左右へのPan設定、というテクニックがバッキングギター等には特に有効である。

 

・バースのLow endとHigh endは控えめに、コーラスで全ての帯域を十分に使うようにすると、コーラスに盛り上がりが出る。

 

・バースにエフェクトをかける時は、Monoで、また全体的にエフェクトのDecay Timeを短くし、逆にコーラスにエフェクトをかける際には、同じエフェクトでもStereoで、長いDecay Timeのエフェクトを使う方法があり、これは極端にコーラスでの盛り上がりを加える。

 

・あるいは、バースでは、Distortionを少し、もしくは全く使わないようにして、コーラスが近づくにつれ、徐々にDistortionを上げていくという方法もある。Harmonyが広がりを見せる。あくまでSendから少しずつかけるようにする。

 

・Druの全体マイクも、コーラスの盛り上げに使える。これには二つの方法がある。

 

  1. コーラスの際、Drumの全体マイクのVolumeを上げ、Stereo Imageを広げる。MS処理で、Sideの音を上げるのも良い。
  2. コーラスの際、逆にDrumの全体マイクのVolumeを下げ、GuitarやKeyboardのステレオ感をその分上げる。Harmonyを作る楽器に、スペースをより与える、という発想である。

 

・オートメーションはバースやセクション毎に、Volumeを変えたり、Vocalを強調させたり、様々な用途で使われるが、オートメーションに決まったルールは無く、Mixに合うように自由に使うと良い。

 

以上です!

無理やり纏めた感あります。八千字超えました。iZotopeシリーズのネタも終わって、スッキリしました!ありがとうございました!

 

Free Guide: Mixing with iZotopeの要点を纏める その3

続きものです

原文はこちら

Mixing with iZotope

 

その1はこちら

kichizyo.hatenablog.jp

 

その2はこちら

kichizyo.hatenablog.jp

 

最後はこちらです。

kichizyo.hatenablog.jp

 

では続きです!

MixにおけるTime based effect(リバーブ等)

・曲の空間調整、音が鳴る場所自体の大きさや距離を作る。

 

・Reverb
空間の大きさや、質(石の建物、木の部屋、スタジオなど)を設定する。

 

・Reverbの選び方。Tempo、Style、Type、Timeが重要


・Tempoが早いとタイトな狭いリバーブ。Room Revが良い例。Tempoがゆっくりなら広いRev。Hall、Church等。Chamberは狭いけど反響が大きい


・例えばBPM160の曲でも、BPM80の要素がある。この為、その楽器の要素でRevを変える


・SpringとPlateは独特なトーンを足したりする。ギターアンプに入ってるのがSpring。SpringはTopとBodyにリバーブ感を加える。Plateは例えばSnare等に違うトーンを足したい時に使う。


・Revの種類を変える事で曲にコントラストが出る。明るい曲に明るいRevは、Mixで埋もれたりする


・Predelay(リバーブ音が出るまでの時間)も重要な要素。詳細は以下
  

・原音の輪郭を出したい時に使う。Predelayを上げ、Early Reflection(最初の反響音)を下げると音に輪郭が出る


・逆にPredelay 無しでTailを上げると、原音が後ろに下がる

 

・TailとPredelayを上げ、Early Reflectionを下げると、空間は大きくなる。

 

・Time(Reverb time)設定で重要なのは、Attack Timeは音の立ち上がりから最大音量になるまでの時間の事。Decay timeはサステインレベルまで落ちる時間の事。Sustainは持続時間。HoldはSustainの継続時間。ReleaseはSustainが終わってから反響が無くなるまでの時間

 

・センドで使うのが一般的。Wet100%で使う

 

・Delay
所謂エコー。様々な使い方があるが、Reverbよりも横の広がりを抑え、ピンポイントで効く。空間を広げ過ぎず、奥行きのような形で効果がある。重要なことは

  1. 聞かせるよりも感じさせるエフェクトとして使うか。
  2. 楽器の音そのものを変える用途で使うか。

の二つである。

 

・楽曲にトラックを馴染ませる為に使う。奥行きを与え、ピンポンなどは大きく左右に広がる

 

Delay TimeでSyncを外す場合は、60000ms÷BPMで四分音符の長さが出せる。Syncでリズムに合ったディレイが一般的ではある。

 

・Feed Backは繰り返しの長さ。原音の音量の何%に下げてInputに戻すか

 

・Dryが原音でWetはDelay音。割合を見つける

 

・Delayの種類は

 

  1. Short 50ms以下。特に35ms以下はダブリングエフェクトとなり、音が太くなり濁る
  2. Medium 50ms~200ms。例えばBPM120の曲で16分音符が125ms。この辺りはカラオケのエコーの様な反響音。薄くかけると厚みが微妙に広がり、リバーブと併用すると、Delay音にリバーブがかかり、ハーモニーに影響する
  3. Long 200ms以上。所謂やまびこ。ハーモニーに大きく影響する

位で考える。

 

・インサートは原音が変わるためSendが一般的。リバーブと同じ様に、Wet100%で使う。

 

・Chorus & Flanger & Phaser
これらはすべてDelayの変化版である。
Delayはエコーにより音に揺らぎと厚みを加えるが、そのエコー音が聞こえるまでの長さの違いで、これらのエフェクトは区別される。

一般的に人間の耳が、所謂やまびこ音として、原音とエコー音をはっきり別々に認識出来るのが、Delay time 50ms以上であるが、Phaserは0。Flangerは1~5ms。Chorusは5~40msとなる。

Depth(%で表される)は音の揺れの深さ。40msのDelay timeで20%のDepthだと、30~50msの揺れを与える。Rate、またはSpeedは、音の揺れの速さ。これらは感覚的なもので実際触ったほうが分かりやすい

 

The Art of Time Based Effect

・ReverbやDelayの反響音に、緩やかなハイパスとローパスフィルターを掛け、High endとLow endをの響きを抑える。Midの帯域の響きは、広さと深さを出すのに有効である。

 

・Lead VocalのReverbの反響音5khz 以上をローパスフィルターでカットすると、歯擦音が減る。

 

・Mono ReverbをLead Vocalに加え、さらにそこからStereo Delayを足すという手法は、Vocalを中心位置に据え置きつつも、Delayを一風変わったChorus調Reverbのように使える、面白いエフェクトである。

 

・Vocalに後から8%WetのChorusを加える。ほとんど聞こえないが微妙に空気が変わる。

 

・バース(Aメロ、Bメロ、Cメロ等)のパートのReverbと、コーラス(サビ)のパートのReverbで、別々のものを使う。2種類のReverbを組み合わせるのも良い。

 

・Delayを強調させたい時、又はリズムにノリを加えたい時は、Delayのテンポを、曲のテンポ±10msに設定すると、ノリが出てくる。

 

・実験的な使い方として、ドラムのClosed mic(スネア、ハイハット)にDelayを加える。Delayが適切なレベルであれば、シャッフル感やスウィング感を演出出来る。ギリギリ聞こえるようなレベルから徐々に上げて、適切なエフェクト量を探ると良い。

 

・BassにChorusを加える。先ずはChorusのフェーダーを0にして、徐々に上げていく。Bass音が、中心にあるKick音を囲むようなイメージが聞こえてきた辺りで、フェーダーを止める。上げすぎに注意する。Low endは広がりすぎてはいけない。

 

 

・センドのリバーブにコンプをかけると、反響音が圧縮され、良い効果が出ることがある

 

・SnareにはSpringとPlateが良く使われる。Predelayで輪郭を強調させたりもする。

 

・センドに挿したリバーブとディレイの反響音は、EQで必ずLow endをカットさせる。Low endのMuddyを防ぐ

 

・特に左右に大きく振った楽器には、反対側からリバーブ音を出すと良い効果が出る時がある

 

・Voには数種類のリバーブを使うと効果的な場合が多い。基本的に、ボーカルの声が出ている最中は、Side ChainでリバーブをCompする

 

・少なくとも二つ、三つ以上のリバーブを使うようにする

 

・Delay音に歪を加えると質感が出たりする。Delay音にリバーブフランジャーなどをかけると、広がりが出る。

 

・LeftとRightのDelayを、それぞれ別のものを使うと、浮遊感が出る

 

・シングルディレイはアンビエンスが出る

 

・センドのDelayに、リバーブを足すことで自然な広がりになる

 

・フレーズの最後にだけ、オートメーションを使いDelayを強くかけ余韻を残すという手法がある

 

・小節をまたいだDelay音が不協和音にならないように気を付ける

 

・リバースディレイ面白い

 

・Delay音のピッチを変えるという特殊用途もある

 

・Delay音を敢えて付点八分音符や二拍三連にしたりして、複雑なリズムにピンポンさせたりも出来る

 

・入力音量でDelayの効きを変化させるDucking Delayの機能があるプラグインもある

 

MixにおけるDistortion

Distortionはトマトソースの中のガーリックのようなもの。入れ過ぎれば不快だが、適量であれば抜群のニュアンスを加える。

 

倍音を加える事で、音の存在感を増やす。パンチ感のあるTube系Distortionをキックへ、明るいTape系Distortionをドラム全体やVocalへ、等、音を豊かに際立たせる為に使われる事が多い。

 

ハーモニクスを飽和させるものをDistortionと呼ぶ。Mixでよく使われるのは

・Tube系:音の頭、アタックの部分を強調させる。この為、音に”パンチが出る”と表現される。低音に影響が大きい為、音を”Warm”にさせる、とよく言われる。


・Tape系:奇数次の歪みを強調する。全帯域に影響するが、テープヒスという言葉があるように、高音が目立つ。そのため”Bright” や ”Warm”と表現される。

 

The Art of Distortion

・ギターやキーボードが多い曲で、ベース音の輪郭を抜けさせる為のDistortion。ベース音の輪郭部分は、他の楽器に消されることが多いので、歪みで抜けを作る。

 

・ドラムBus(ドラムトラック全体)にDistortionをかける。Compのように音を馴染ませる効果がある。

 

・Lead VocalのDistortionは、音を際立たせる効果がある。また、Back Vocalへ重めのDistortionをかけ、Back vocalのVolumeを適切に下げると、Vocalトラックの厚みが変わる。

 

・音が綺麗すぎる、抜けが欲しい時には何でもDistortionを入れて良い。掛け過ぎないように注意する。オートメーションでDistortionのレベルを変えて行くのも効果的である。

 

・Vocalトラックを複製し、複製したトラックに重いDistortionをかける。Vocalを聞かせたい時に複製加工したVocalトラックを小さな音で加えると厚みが出る。

 

・30%以下の軽いDistortionを、センドから送る。どんな楽器でも良い。抜けが出る。特にドラムとアコギ。

 

・強いDistortion、弱いDistortion、種類と使い道を考えると、多くの音色にマルチに使えることをが分かる。Mixが捗る。

 

とりあえず、あと一回で終わりそうです!ありがとうございました!

Free Guide: Mixing with iZotopeの要点を纏める その2

前回の続き

Mixing with iZotopeの本文はこちらのリンクから。

Mixing with iZotope 

 

前回の記事はこちらから

 

前回の記事にも書いていますが、私がななめ読みで、重要と思った部分だけ翻訳したもので、完璧な訳ではありません。しかも箇条書きです。誤字脱字、内容の不備等ありましたら修正いたします!よろしくお願いします!

 

次の記事はこちらです。

 

kichizyo.hatenablog.jp

 

最後はその4です。

kichizyo.hatenablog.jp

 

MixにおけるDynamics process(Comp等)

Dynamics(音の強弱の調整、または音量調整と訳すのが適切と思われる)

・Dynamics編集を、をただ音を大きくする為の作業と考えてはいけない。Dynamics(音量の強弱)幅は、様々な音楽的効果を加える。
先ずは、二つの主要な種類を知る。
1、Comp&Limitting
2、Expansion&Gating
の二つである。

 

・Comp&Limitting
例えば、ボーカルが高音を歌う際に、ボリュームが大きくなる場合がある。この不要な大きさを抑えて、聞きやすくする。音の波の形を変えずにCompress(圧縮)する。

 

・GateとExpansion
例えばドラムのスタジオ録音で、スネアマイクに入った小さなハイハット音など、不要な音を消す。

 

Compの基礎

・Threshold、Ratio、Attack、Releaseについては、基本なので省略する。

 

・Compは基本的に音の信号を歪ませるものと考えてよい。この為、Compの種類にもよるが、オリジナルの音質を変えるものが多い。”透明なComp”というものがMixにおいては、理想な場合が多い。

 

・Compによるディストーションを下げる方法の基本は、AttackとReleaseの調整である。Attackが早すぎると音は急速に抑えられ、Releaseが速すぎると音の不自然な膨張を引き起こす。

 

Art of Dynamics Processing

・2:1~5:1程度の低いRatioは、音を均一化するのに有用。音が飛び飛びに録音されているフレーズや、Volumeの違いが大きいパートなどに使うと良い。

 

・一つのCompで大きく圧縮するより、二つのCompを軽く重ね掛けした方が良い結果が出ることがある。

 

・ドラムやパーカッションへのCompは、Releaseを早めにするのが基本。原音のDecayを保つのが重要。不自然な膨張を作らないように。

 

・一方で音の頭を殺さないためにパーカッションやChop系の音のAttackは、Fastにしすぎないように注意する。音の頭に不自然にコンプがかかる。アコギへのCompの注意点としてピックで強く弾かれた音は、勢いを殺しすぎない程度にFast Attackで、コードをストラム(じゃかじゃか引く)するような音は、Slow Attackがハマる傾向がある。

 

・つまりFast AttackはAttackとSustain(ここでは音の持続の意)を安定させる。
Slow AttackはDynamicsを強調させて、音をきらびやかにする。と考える。

 

ディストーションギターはそもそもCompがかかっているので、余程大きなレベルの差がない限り、Compは必要ない。

 

・ボーカルは特に難しいが、一般的なスタートラインとして、まず特にうるさい音を抑えるため、High RatioのComp、またはLimitterをかけて、過剰なVolumeを抑える。次に3:1程度の軽いRatioで全体にCompをかける。この作業で、Volumeの大きすぎる場所を抑えつつ、ボーカルの持ち上げ過ぎを避けることが出来る。

 

・Compの重ね掛けには、New York Comp等、いくつかのテクニックがあるので、調べてみると良い。

 

・CompのReleaseタイムをテンポに合わせるという手法がある。例えば八分音符のスピードにReleaseを合わせ、Thresholdを大きく下げる。そこから少しずつThresholdを上げて、コンプでビートを作るような効果が、自然に現れるところThresholdを設定する、実験的な方法である。

 

・-6~12db位の強いGain reduction設定のLimitterを、Bassにかけると、Low endがグッと固まる場合がある。

 

・スタッカートのHorn系の楽器は、Fast Attackから始めると良いが、あくまでスタッカートの部分を殺さない程度にする。スタッカートはリズムが強調されるので、ある意味ドラムのような考え方で、重ね掛けしても良い効果があることが多い。

 

・Compのかけ過ぎは、音を均一化させ、楽器のエナジーを殺してしまうが、実験的な音が欲しい時には試してみるのも良い。

 

・ EQ と同じように休憩を取りながら、BypassのOnとOffを繰り返しながら聞く。基本的に、Compはメーターを安定させるのが、その役割ということを忘れないようにする。

 

Mixing with iZotopeには書いてないけど、追記してあった内容

参考にした記事はこちらです。

[保存版] コンプレッサーのタイプ別活用法

コンプレッサーの使い方!種類によって音色との相性があるって知ってた? – Yugoの不思議な音楽の国

コンプレッサーの動作原理、全5種類 その① | 音楽のブログ

https://goodsound123.com/2018/09/18/comp-3/

調べた訳ではありませんが、この方たちはおそらく全員プロと思います。プロの人達が、こういう形で情報をネットに載せて、私達素人が読めるというのも、すごい時代になったなぁ、と感じます。

 

・コンプの種類に関して


1.Fetish Comp。特徴は以下

・アタックが早い→ドラムやパーカッション向き


・逆の特徴を持つのが、後述のOPT(光学式)


・Thresholdが無いので、Inputでかかりの強さが決まる(あるものもあるが、アタックは早い)


・パンチが出るが、歪やすく、倍音が増す

 

・テンポの速い曲に勢いを付けたい時、パンチの聞いた音に変える

 

・アタック感を足したい場合や、タイトにしたい場合に良い

 

・味付けのない自然な音には向かない

 

 2. VCA type

・主にマスターやバスコンプとして使われ、ナチュラルな効きで音に一体感と迫力を足す


・Gain reductionが-2db位で、アタック遅め、リリース早めでナチュラルに効かせる。リダクションされた数値をそのまま補う程度に上げると良い


・このコンプを使う時は、EQは基本はこれの前に挿す。ある程度ダイナミクスが揃っている波形に対して、滑らかにコンプをかけるのに向いているから。

 

・かけすぎると低音が消える。低音重視のキックなどには向かない。


・幅広い楽器に向いてるが、良く言えばクリーン、悪く言えばつまらない音の為、考えて使うと良い。

 

・スネアやラテンパーカッションなど比較的中高音を重視するリズム楽器のアタック感を出すなどに向いている。


・アコギや弦楽器などの出音に相性がいい。音抜けが悪い時に、EQでは無く敢えてこれを使い、倍音を足して音抜けを作るという使い方もある
 


3.真空管(Tube)

・通すだけで倍音効果。音に温かみが出る。

 

・インプットで倍音を増して、アウトプットで音量調節するタイプも有る。

 

・アタックが遅く、ファットで明るくなる


・音色を変えたい時はTube。変えたくない時はOPT


・色付けしたいトラックには何にでも使える

 

・比較的どんなジャンルにも相性良く合う。


・アナログな感じで音割れせずに自然に音圧を上げたいとき。


・タイトな音には向かない

 

・遅いアタックと真空管の歪みが売り。アタックが遅いという点では光学式と共通しているが、さらにスローアタックも可能なの為、トランジェントを残したいときやマスタリングなどでの用途にも向く。

 

・ボーカルに使うとエンハンサーのような効果もでる。

 

4.OPT(光学式)

・アタックは遅く自然なかかり方。音のばらつきを抑える時に向いている。その為、-2~-3位のGain reduction設定にしないと、コンプがかかり続ける事が多々ある


・ボーカルやストリングスのレベルを自然に整える作業に向いている。

 

・アタック感を出したい、音をタイトにしたい用途などに向かない。

 

・キックやベースなどリズム隊のグルーヴ作りなどに向かない。

 

・テンポの早い曲のノリづくりには向かない。

 

 

この他にも種類はありますが、現状DAWでメインとなっているのはこの辺りと思われます。Waves、UAD、Slate、Brainworks、MCDSP等、メジャーな所も、大体この4種のようです。

 

MixにおけるPanとStereo Imaging

・最近の音楽ではDrumとVocalがミックスの最重要になる傾向がある為、Kick、スネア、Bass、Lead Vocalは中心に位置する事が基本である。

 

・人間の耳は中心の音と、極端に左右に触れている音をよく拾う傾向がある。

 

MS 処理

・現代音楽では必須になってきている処理。基本的には曲の心臓部のMid マイクと二方向性のSide マイクを個別に処理すると考える。つまりMidを上げるとMono感が強く、Sideを上げると、Stereo感が強くなる。

 

The Art of Panning & Stereo Imaging

・ 周波数の幅が近い楽器がある時は、それらを対応させて左右に振る。主要な楽器の場合、極端に振る必要はない。例えば、ギターが若干右、ピアノは若干左、の様な形が良い。そうすることでバランスをとる。

 

・曲のバース(Aメロ、Bメロ、Cメロ等)の部分では、あまり音を左右に広げず、コーラス(サビ)部分で、オートメーション等でステレオ感を広げるようにすると、聞かせたい場所が際立つ。

 

・たまにはMonoで曲を聴くことも重要である。中心であるMonoで聞いたときに、あまりにも元の曲調を失いすぎる事は避ける。

 

・ヘッドホン環境での確認を忘れないようにする。優れたモニターとは違いヘッドホンは完全左右分離型の為、聞こえ方が違う場合がある。バランスが崩れていないか要確認。

 

・左右どちらかに、リズム感が偏るのは避ける。特に高い周波数。例えばギターとハイハットでは8分や16分音符と、似たようなリズムを刻む事が多い。これらをバランスよく左右に振る必要がある。

 

・昔の曲や、最近のヴィンテージ感を強調させる手法でDrum全体を、大きく左右どちらかに振り、その反対からベースを対応させて出すという手法がある。これも面白い結果を出す事がある。

 

・リズム感が強く音程の面でも重要な楽器、例えばアコギのバッキングの様なものは、トラックを複製して、一つを極端に左右どちらか極端な場所に、もう一方をその反対の極端な位置に置くと、大きな広がりを出せることがある。バースでは普通のPan設定で、コーラスに入る時にPan設定をこの方法にするという手法は、効果的である。

 

・スネアは中心に置くと曲にパンチを出すが、左右どちらかに少し振ると、リスナーは中心のKicやVocalに集中するようになる。中心に何を置いて聞かせるかは重要である。

 

・基本的にLow endは全てmono。Mid rangeは極端に広げても良い。High rangeはそこまで広げなくて良い。ドラムの場合は、実際のドラムセットの位置を考え、適切にPanする。

 

youtubeにある、50/50 Panningに関して

www.youtube.com

 

少し基本とは違う為、私はこれで実際に曲を作ったことはありませんが、一応こういう方法もあるということで紹介します。

100%左右に振る楽器、50%しか振らない楽器、センターに位置する楽器、の三つの構成要素で考えます。


センターは、キック、ベース、ボーカル。50% Panは、1つか2つ、主に聞かせたい楽器がこの位置。左右バランスよく振ります。周波数も類似するものを左右に振ったほうが、音の被りを防げます。

100% Panは、Backingが主。ボーカルもギターも、Padでも、バッキングと考えられるものは全て100% Panで設定します。

 

Monoで聞いたら全然違う印象になるから、かなり邪道とは思いますが、とにかく簡単で何も考えなくても良いので、一度この設定をして、細かくPanを調整する、スタートポイントにしても良いと思われます。

 

長くなりました!ありがとうございました!

 

 

 

Free Guide: Mixing with iZotopeの要点を纏める

Izotopeが出したMixing指南書

こちらで閲覧可能です。

Mixing with iZotope

このMixing With Izotopeですが、別にIzotope製品が無いと意味がない、という内容ではなく、Mix全般に関する内容が書いています。

私はよく見落としがあるので、Mix作業で注意するべきところを、テキストで纏めていて、テキストを見ながら、順番に作業していきます。

実際に私が纏めたテキストを全部公開したい所ですが、幾つかの本の内容や、Youtubeチュートリアルの内容等を纏めているため、有料コンテンツを無料テキストで公開するというのは、如何なものかと思いますので、それは止めておきます。

 

ただ、このMixing With Izotopeは公開されているコンテンツですし、以前纏めたテキストがあるので、公開しても良いと思ったので記事にしました。

 

その2はこちらです。

kichizyo.hatenablog.jp

 

その3です。

kichizyo.hatenablog.jp

 

最後はその4です。

kichizyo.hatenablog.jp

 

私が重要と思う部分の訳で、しかも普通に間違えてます

ただでさえ英語力のない私が、ななめ読みで纏めたテキストです。間違えていますし、誤字も脱字もあると思いますが、ご了承下さい。

また、全訳ではなく、私が重要と思った部分だけ纏めています。「お前ここ訳さんかい」とかあると思いますが、申し訳ありません。。。間違いと内容の不備は先に謝っておきます。すいません。。。

 

また、全部書くと長いので、何回かに分けて記事にします!誤字脱字ありましたら、教えて頂けたら修正いたします!では、いってみます。

 

Mixの前に

・Mixを三次元のイメージで見ると、コントロールすべき重要な4つの要素がある。Level(Volume:高さ)、EQ(高さ)、Panning(広さ)、Time-Based Effects(奥行きである)。Mixはこれら4つを操作する作業である

 

・Mixは客観性を持たせることが重要である。その為にいくつかの手法がある。

 

・耳が疲れるので必ず休憩を取る。1時間やって10分休憩、90分やって20分休憩、というサイクルがプロのスタジオでは一般的である。

 

・Mixは論理を使った謎解きのようなものである。何かをしたら、それは別の何かに必ず影響を与える。周波数、Volume、Pan、Mixerのフェーダー値、空間、ノイズ、これらを、目と耳で確認しながら、細かい変化に注意する。

 

・SoloボタンはMixでは基本的に敵である。Soloで楽器を聴くと比較するものが何もない。Soloボタンはその楽器の音の問題点を探る時のみに使う。修正が終わったらすぐにSoloボタンを切って、他とのトラックとの兼ね合いを調べる。どうしてもソロを使いたい時でも、周波数やPan等、兼ね合いが強い楽器を、最低一つは鳴らしながらMixすると良い。

 

・Bypassボタンは味方である。オリジナルの音を”改善”するのがMixの目的である。スタート地点が分からなければ、目的地の方向や距離が分からないのと同じである。

 

・参照する曲をいくつか用意する。目標とする曲のVocalのReverbはどうか。ドラムのVolumeはどうか。Low endはどうか、High endはどうか、空間系のエフェクトはどうか、「この曲のこの楽器のこの部分を参照する」という位細かいリストがあっても良い。

 

・ラフMixをよく聞く。材料、つまりどのトラックがどういう役割なのかを、先ず最初に理解する。メインは何か、バッキングは何か、不要なものは何か、ラフMixでの分析は、オリジナルとの分析とはまた精度が違う。

 

・Lead Vocalかドラムから始めることが多い。Pop系はVocalから、Rock系はドラムから始める人が多い。理由はPopではVocalが花形であり、Rockでは、激しい音が入ることも多々ある為、リズムを基礎として、トラックを上に乗せていく形がMixをし易いからである。しかし、Rockでも、あくまでボーカルが主役なので、ドラムがVocalより目立つということはない。Vocalは、コンパス、指標のようなものである。ドラムのMixはVocalを流しながらするのも良い。

 

MixにおけるEQ

・まず、一般的な周波数の特徴に関して。

  1. Low End (125 Hz以下)
    Sub bassやBass、そしてKickが主役となる帯域である。この帯域の音は聞こえると言うより、感じるという程度のものである。

  2. Low-Mids (125 Hz – 500 Hz)
    一般的に低音の基礎となる帯域で、この帯域が混雑すると、いわゆる音が団子になるという現象が起きる。Muddyと呼ばれる部分は大体この辺り。

  3. Mid-Range (500 Hz – 2 kHz)
    ほとんど全ての楽器はこの帯域の成分を持つ。Mixでは、この帯域の楽器を、適切に処理するために、多くの時間を使うことが必要となる。

  4. High-Mids (2k Hz – 8 kHz)
    この帯域では、Vocalのブレス、シンバル音、スナップ音系のパーカッション、Kickのハーモニクスアコースティックギターをピックで弾く音などの成分が多い。

  5. High End (8 kHz以上)
    いわゆる空気感や、Vocalの歯擦音が入る帯域である。この待機が強すぎると耳が疲れ、この帯域が弱すぎると、抜けのない鈍い雰囲気のMixになる。

 

・代表的な使い方としてはBassのLow endをカットする、150hzから300hzのスネアのパンチを出す、声のAir感の成分である15khzから18khzを上げる等がある 。

 

・人間の耳は良い音より悪い音、小さな音より大きな音を認知しやすい。この為、 Q(EQが影響を与える範囲)の値を極端に大きくし(影響範囲が狭くなる)、Gainも最大に設定し、周波数をずらしてゆく事で、問題の周波数を、ピンポイントで見つける事が出来る。

 

The Art of EQ

・全ての楽器には、一番高い音と低い音があるので、それを聞き、hzを視覚的に見て、その楽器のメインとなる、基礎周波数を把握し、カットとブーストをする周波数にあたりを付ける。

 

・基礎周波数と、そこから派生するハーモニクスを考える。例えばボーカルの抜けが悪い時には、周波数が被りやすい、ピアノやギター、スネア等を見るのが基本だが、Kickの80~100hzのハーモニクスが、2~3khzに影響している事もある。基礎周波数から派生するハーモニクスが、他の楽器に影響することも考えて、EQ設定をすると良い。例えば100hzに基礎周波数がある音は、200hz、400hz等のハーモニクスを持つことがある。

 

・KickとBassはLow endの主役である。ここでも基礎周波数が重要で、例えばKickは90hz、Bassは50hz等の基礎周波数を見つけ、そこからLow endのEQ設定を考える。
一つの方法としてBassの基礎周波数を見つけ(Sub bass等はKickより低音である事が多い)、それに対し、Kickの基礎周波数でBassの基礎周波数と重なる部分をノッチで削り、BassでKickを包むようにする方法がある。必要であれば削った場所の周りをあげても良い。Side Chainという方法もあるが、これは後述する。

 

・いわゆる音が団子になるという現象を感じたら、125hzから500hzを削ると良い。重いギターやキーボード、Pad音等にこの周波数の成分が多い。

 

・500hzから1khz位が強い場合は、堅苦しく窮屈なMixになる。これらも、重いギターやキーボードやPad音に成分が多い。

 

・2khz以上は ブラシや、細やかな高音の領域である。4~8khzにそれらの影響を持つ楽器が多い。パチンという Snap系の音もここで強調される。

 

・特にHigh endのMixは耳を疲れさせるので、Mixの時は休憩をとること。

 

・人間の耳は”変化”=”改善”と勘違いする傾向がある。Bypassボタンを何度も使い、原音から本当に改善されているかを、しっかり判断する。

 

・人間の耳は音量をブーストさせると良くなった様に聞こえるが、カットすることで他の音をブーストさせると考えることが重要である。事実プロのエンジニアは EQ を基本はカットのために使う。

 

・KickとBass以外全てのトラックにハイパスフィルターを入れてみる。これによりLow endはよりスッキリし、不要だが聞こえる音を殺すことができる。

 

Mixing With iZotopeには書いてないけど、追記してあった内容

・PultecEQについて理解することはプロの必須事項である。
Pultec EQとは、ある決まった周波数(あらかじめ決められている)をブースト、もしくはAttenation(減少させる)EQで、多くはアナログな見た目である。

 

・Pultec EQ は通すだけで音が変わる、真空管タイプのものも多い。

 

・様々な種類があるが、どのツマミがどの帯域に影響するのか、またEQタイプ(ShelfかPeakingかFilterか)は何なのかを知る。WavesのPuigTechなど、ツマミと対応の帯域が特徴的なものもある。使ったこと無いEQは必ずその辺りをちゃんと調べる。

 

・例えばPultec EQで、曲全体のLow endをブーストすると良い結果が出ることが多い。この副作用として、上げた周波数より上の部分は削られることが多い等、足したり引いたりした場所以外の音も気にするようにする。

 

とりあえずこんな所で、また書きます!ありがとうございました!

 

Abletonの出版した本、74 Creative Strategies for Electronic Music ProducerのFormal Skeletonsに関して

Abletonが出した本

最初見た時は意味不明でしたが、読んでみると、Ableton的には、「もっとこういう考え方したら、Electronic Musicは簡単なんや!」という事を世に知らしめたかったのではないかと思います。

 

この本ですが、冒頭にこんな感じの事が書いています。

この本では、どうやってCompressorを使うか、Synthesizerをプログラミングするか、良いキックを作るか、そういう事を教えることはしない。そういう本はもう既に沢山ある。

この本では、それらの道具を使って、どうやって音楽を作るかについて書いてある。音楽的問題点を解決し、曲を進展させ、最初に作ったものを完成させる事を目的としている。

 確かにその通りで、こういう内容の本はあまりありませんでした。フレーズをどうやって発展させるのか、何が問題になり易いか、その解決策はなにか、所謂次に進める一歩の為に何が出来るかを書いています。

 

Formal Skeletons

本の内容で、面白かったものは沢山ありますので、その内記事が書けたらとは思いますが、とりあえず今日はその中の一つを書いてみます。これも元ネタのYoutubeがあったのですが、また分からなくなりました、、、、具体的には本のFormal Skeletonsの章に書いてある内容です。

 

先ず最初に、自分が構成や、音の繋がりが良いと思う曲を一つ見つけます。

普通曲を作る時には、必ずリファレンストラックがあるはずです。このFormal Skeletonsでは、そのリファレンストラックを使っても良いですし、Formal Skeletons用のリファレンスを用意しても良いです。

 

重要なのは、曲の構成、音の重ね方、次の展開への繋がり辺りが優れている楽曲を選ぶと良いと思います。

また、リファレンストラックを、そのままFormal Skeletonsに使う場合は、曲が似すぎる可能性があると思いますので、その辺りは注意が必要だと思います。

 

具体的な方法

今回はBPM135の曲という設定ですので、適当に似たような速さの曲を探しました。Bonoboの、Towersにしてみます。曲の構成は王道でもありつつ、細かい工夫がある名曲です。

www.youtube.com

これをDAWに読み込ませます。

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WarpをOnにしておくと、かっちりテンポを合わせてくれます。しかし、基本的に似たようなテンポの曲を選んだほうがやりやすいです。

次に読み込ませたトラックの下に、もう一つトラックを作り、読み込ませた曲の特徴や、自分が重要と思う情報を、書き込んでいきます。

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ここでシーケンサー入る、とか、代理コード使い出す、とか、Padが入る、とか今回はやってませんが、一小節だけ指定して、ここでフィルターで音抜く、とか、ドラムのフィル入る、そういう細かい情報入れても良いと思います。

 

そして最後に、曲を読み込ませたトラックを消します。

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この雛形を参考にして作曲することで、自分が気に入った曲の要素を抜き出して作曲が出来る

全く楽器の構成要素が違っても、曲の雰囲気が違う場合でも、というか、むしろ楽器の構成要素が違って、曲の雰囲気が違う場合の方が、原曲の雰囲気が消えて、面白い効果が出る上に、作曲がし易くなります。

 

その内、こういう形で作曲をシステマチックにしていって、どの位素早く一曲できるか試してみようと考えています。

ありがとうございました!