Sound Lab Kichizyo

Ableton Liveのアレコレ

Reason Studios:Reason 11レビュー

購入

私が最初に触ったDAWはReasonでした。アメリカの学校でElectronic Musicの先生が、ReasonとFL Studioを使っていて、Reasonを主に使った授業でした。今考えると、当時のReason、確かReason 4だったと思いますが、DAWというより、超高機能シンセというか、物凄く特殊なDAWでした。

しかし、「録音できんのかい、、、」「やっぱりVST使えないのは無いわ、、、」という理由と、そのシーケンサースクリーンの、インターフェースの微妙な使い勝手の悪さ、またMixerも今ではSSL 9000Kを再現した優秀なものですが、当時は今のAbletonと大差ない程度のMixerでした。その為徐々にAbletonへ移行していきました。

とは言え、録音にも対応するようになったし、Rack ExtensionsやMixerのアップグレード等、Rewireとして使うのは実に魅力的ではあり、なんだかんだReason 8まではアップグレードしていました。VST対応した9.5が出た時は、もうAbletonに移行済でしたし、アップグレードせず、Rewire重いなぁ、とか思いながら、完全にサブとして使っていました。

 

しかし、今回のアップデートは流石に見逃せず、ちょっとデモ使って、これは、と思い購入に踏み切りました。人柱になってのレビューです。いってみます。

 

Reason単体でも良い

新しいエフェクトの機能に関しては、特に書きません。普通にバスコンプとか、コーラスとかなので使ったら分かると思います。それ以外の新しい機能で気になったことを書いていきます。

 

久々にReason単体を使ってみますが、相変わらず魅力的なユーザーインターフェイスです。この情報過多な感じがたまりません。VSTプラグインも問題なし。

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裏面も相変わらずです。

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これ新しい機能なのかな?前使ってた8では無かったです。Gridモードというのがありまして、結構便利です。

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このGridモードを選択すると、ズームアウトとズームインすることで、その画面の大きさに合わせて、自動的に値が1/4になったり、1/16になったりします。もちろん変更も可能なので、例えば、ハイハットのTrapっぽい連打とか作るのが簡単です。

ペンシルツールを選択して、私はWindowsマシンなので、Ctrlをクリックしながらそのままドラッグすると、連打が打ち込まれます。Gridの値を32とかに変更し、またペンシルでCtrlドラッグをすると、実にスピーディーにハイハット連打が作れます。こんな感じです。

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オーディオ編集も良い感じ

VST対応なので、もちろんLoopcloudとも連動で動きます。

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ようやくか、って感じではありますが、Ctrlを押しながらマウスを動かすと、オートメーションにカーブをかけれます。これは必要ですね。

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さらに気に入ったのが、クロスフェードが使い易いです。クロスフェードしたいサンプル音の上で右クリックすると、下の方にクロスフェードがありますので、クリックします。

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選択したあと、サンプル端の黒い矢印を動かしたら、クロスフェードが出てきます。簡単です。もちろんフェードのかかり方も調整できます。

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相変わらず、オーディオをRexファイルにバウンスして、Dr. Oct Rexでさらに作り込み、とかも可能です。

この使い方はReasonならではですが、Loopcloudと連動することで、Loopcloudからドラッグで持ってきたサンプルをRexへバウンスさせ、Dr. Oct Rexで編集という作業は、様々な音作りへの可能性を感じます。

 

MixerもSSL 9000Kの再現ということで、申し分ないです。相変わらずインターフェースに関しては好みがあると思いますが、慣れたら問題ないし、スクリーンが複数ある人にとってはむしろ使いやすいかもしれません。

 

あれ、、、これ普通に単体でもかなり優れたDAWですばい、、、

 

値段はAbletonより安いです。Logicの価格崩壊を除くと、DAWではかなり安い方です。が、Reason単体で使用しても、全くもって使える、というか、むしろ良いDAWです。ケーブルルーティング楽しいです。

 

しかし、ここからが本題です。

 

Reason Rack Pluginが凄まじい

そもそもRewireってPropellerheadが開発した規格のはずなんですが、バッサリ切って、ReasonがVST3のプラグイン、Reason Rack Pluginとして使える様になりました。

 

Windowsマシンの場合、VSTフォルダは、

C:\Program Files\Common Files\VST3

の中にあります。名前は「Reason Rack Plugin.vst3」です。

ちょっと分かりにくい場所にあるので、一応書いておきます。私の場合は、いつも読み込ませているVSTフォルダーに、「Reason Rack Plugin.vst3」をそのままコピーして貼り付けました。

で、プラグインを再スキャン。

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おお、、、おお、、、

 

とりあえず、Reason Rack Pluginを読み込ませると、こんな感じでReasonが立ち上がります。

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Reason Rack Pluginと、Reason Rack Plugin Effectがありますが、Reason Rack Pluginは、楽器を、Reason Rack Plugin Effectは、Reasonのエフェクターを読み込ませる、と考えて問題なさそうです。下画像はReason Rack Pluginを読み込ませたものです。楽器の下にある、Browse Instrumentをクリックしたほうが良いと思います。

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Reason Rack Plugin Effectを読み込ませると、最初に提示される機材がエフェクターになります。

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EffectのほうはあくまでEffecterなので、その前に別のInstrumentを入れないといけません。

EffectにもReason内のInstrumentを読み込ます事が出来ますし、音も鳴りますが、あくまでEffecterとして動くので、Reason Rack Plugin Effectの中にReason内のInstrumentを入れても意味がありません。

というか、Plugin Effectの中にInstrumentを入れたら、Reason Rack Plugin Effectの前に入れたAbletonの楽器の音が鳴らなくなりました。(2019/10現在の話です)

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ただ、Reason Rack Plugin内では、Reason内のエフェクター各種が使用できます。多分CPU負担を減らすためにEffecterと分けたのかな?Instrumentが動かない、軽いプラグインも作っとこう、とかそういう事でしょうか。適当ですが。

 

もちろんケーブルルーティング出来ます。Flip Rackをクリックすると背面が見れます。Hide Cableで配線を消すことも可能。配線が増えすぎるとゴチャゴチャするので、助かる機能です。

I/O Deviceが一番上に設置されていますが、ここはケーブルルーティングで設定できます。

 

例えばInstrumentを二つ読み込ませます。例ではEuropaとGrainを読み込ませました。間にはThe Echoですね。

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Flip Rackをクリック。上部のI/O Deviceを見ると分かりますが、Europaが1-2、Grainが3-4と自動的にルーティングされて、同時に音が鳴るようになっています。なので背面はこうですね。

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これは結構色々な音作りが出来そうで楽しいです。

 

さらに、Rack Extensionも使えます。Rack Extensionは幾つか持っていたので、嬉しいです。

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問題点も有る

ですが、このReason Rack Plugin、問題点も当然あります。

1つ目は細かい所ですが、私のPCでは、Deleteボタンで機材の消去が出来ません。一回一回右クリックで、Delete Devicesを選択。地味ですが面倒くさい。これ私のPCだけなのでしょうか?

(その後アップデートで対応)

 

そして2つ目。

 

重い。

 

想像はしていましたが、重いです。私が以前していたのは、Rewire動かしてReasonから出る音を、オーディオファイルでAbletonに読み込ませて使う、という方法で、Midiの打ち込みもAbleton側で管理したいという場合は、External Instrumentsを使っていました。これも重い、というか、Reasonで使うデバイスが増えすぎると、結構厳しいものがありました。

Reason Rack Pluginは、そこまででは無いですが、まぁ、それなりに重いです。

どの位重いかというと、私のPCはAMD Ryzen 2700x、DDR4メモリを32G積んでいます。このPCで、Reason Rack Pluginを6つ、それぞれに違うシンセを一つずつ読み込ませて、適当に音を同時で鳴らしてみました。

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みるみる上がるCPU Usage、、、なんと30%まで上昇しました。この6トラックだけです。センドにデフォルトのリバーブとか入っていますが、使ってません。これはちょっと考えて使わないといけません。

 

(追記)

現在(令和二年2月21日)Reason 11.2ですが、この辺りは改善されているように思われます。全く同じことをして、大体CPU Usageが20%前後で安定しています。iZotopeのVocal synthとか、WavesのOVoxとかの方が全然重いですね。

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Midi Outや操作性も向上しています。11.2の新機能である、Midi Outに関しては、こちらの記事を参照いただければと思います。

kichizyo.hatenablog.jp

総括

の前に、知らなかったのですが、Propellerheadっていつの間にか名前変わってReason Studiosになってたんですね。知らなかったので、書き直しておきました。

さて、最後にケチを付けましたが、やはりプラグインとしてReasonが使えるというのは、本当に便利です。Reasonならではの音作りの楽しさや、シンセやエフェクターも多数あり、DAWとして見ても、プラグインとして見ても優秀だと感じました。

 

Reason11はDAW単体としても優秀ですし、サブとして使う2個目のDAWとしても、使い勝手抜群。

 

という事が総括となりました。以上、長くなりましたが、Reason11のレビューでした!ありがとうございました!