本来はハード持ってる人用
Waves Q Cloneは、Wavesのバンドル、Diamond、Horizon、Mercuryに含まれているプラグインです。
本来はこのプラグイン、ハードを持ってる人用の製品です。実はすごく便利で、ハードのEQが持っている周波数を測定、解析して、上記画像のような形でどのような帯域にどのような影響があるかを可視化し、さらにその周波数特性を保存し、それを仮想のEQとして他のトラックに使える、というとても便利なプラグインです。
ルーティングして、ハードEQを動かすと、連動してこの画面が動きます。さらに、仮にハードEQを一つしか持ってなくても、設定した後、QcloneのHoldボタンを押すことで、ハードで設定した周波数設定を、 Q Cloneで複製。Qcloneをコピペしていったら、様々なハードEQ設定を、CPUの許す限り、幾つでもトラックに使うことが出来る、という優れもの。
使ってみたら分かるのですが、「あ、このEQってこの辺こんな風に動かしてたんや」とかが分かります。所謂Pulteq EQみたいな、通すだけで音が変わるEQの周波数も、視覚的に見ることが出来るので、「ほーん!こんなんなってたんや!」みたいになります。
本来はハイエンド・ハードEQを一台持っている人が、その周波数特性をコピーして、仮想の状態で複数トラックに使用出来る、という使用方法なのですが、この周波数可視化の部分で、様々なプラグイン分析にも使える、というのが今回の記事です。さらに、プリセットを使用することによって、人によっては、これが最高のEQで、EQこれだけで良くない?となる可能性のあるプラグインになるかもしれません。
で、このプラグイン、Ableton Liveでのルーティングがちょっと面倒くさいので、そこだけ詳しく書いておきます。
先ずはオーディオトラックを2つ作ります。今回は分かりやすいように、名前はQcaptureとEQという名前のトラックにしました。
Qcloneには、セットでQcaptureというプラグインがついてきます。こやつがないとQcloneは動きません。
ここで、先ずは何も考えずにトラック名通り、QcaptureとEQにそれぞれQcaptureと、調べたいEQを挿します。今回はWavesのPuigTecを挿してみました。ピヨピヨうるさいので、トラックの出音はOFFにしておくと良いと思われます。
ここからが大事な設定なのですが、両方のトラックでMonitorをInに設定して、QcaptureのトラックのAudio ToをトラックEQへ、EQのトラックのAudio ToをトラックQcaptureへそれぞれ設定します。そうすると、QcaptureのReceivingにも信号が入ると思われます。こんな感じです。
ここでさらに、この2つのトラックをCtrl+Gでもなんでもグループ化しまして、グループ化したバスの部分にQcloneを挿します。
完成であります!
各種EQをの効果を可視化
具体的にどう分析するかですが、とりあえず予め突っ込んでいたPuigTecの適当なプリセットを読み込ませてみます。今回はBoomy Roomsなるプリセットを読み込ませました。
ちなみにこの間も、ピヨピヨ音は出続けています。
で、この状態で、バスのQcloneをオープン。さらにQcloneのHoldの横にあるCaptureボタンを押します。
そうすると、PuigTecがどういった具合のEQカーブを作っているのか、分かりやすく見ることが出来るわけです。このCaptureボタンを押して、求めているEQカーブを確認したらHoldを押すと、そのEQカーブが保存され、Qcloneをコピペすることで、そのEQカーブを他のトラックに反映出来ます。
ただ、重要なことは、これはあくまでEQのコピーであるということです。SaturationとかCompとかはかかりません。
つまりチャンネル・ストリップとかでやると結構違いが出てきます。例えばこちら、Waves Omniのプリセット、Beef My Drumsを読み込み、その周波数特性をQcloneでコピーします。
最初の4小節がWaves Omni。次の4小節がQcloneです。
soundcloud.com
EQで上がった分が、コンプで押さえられていないので、明らかに後半音が割れています。音の質感もSaturationのある無しか、少し違うように思えます。
EQのコピーだけではない
とはいえ、Qcloneが便利なのは変わりありません。このQcloneの優れた所は、単にEQをコピーするだけではなく、そこから更に変化を加えることが出来る所です。こちらの画像で見れるように、
Load>任意のEQ選ぶ>Add
をクリックすると、今あるEQで、「ちょっとLowが足りないな」とか、「High shelfしたいな」という時に結構ピンポイントで足したり引いたり出来る訳です。
これでガンガンオリジナルプリセットも作れます。
でもハードEQとか持ってないし結局使わなくない?という方に
そういう方々の為に、海外のフォーラムで、Qcloneの数々のPresetを作って配っている方がいました。NeveだのPulteqだの、有名所のFlatなパターンから、プロの作ったPresetまで、それらをQcloneのプリセットに変換して配ってくれているという、聖人みたいな人がいました。
www.gearslutz.com
パスワードは Henry O
です。Henry Olonga氏の素晴らしい努力と貢献に心から感謝します。
前述した通り、Henry氏のRead meにも書いてますが、様々な要素が絡み合ってのハードEQなので、そのEQをそのままコピー出来ているということではありません。
ただ、これらのプリセットでそのハードEQの雰囲気を得たり、さらにAddボタンで音を足し引き、更に好みのCompやSaturationを加えることで、かなり様々な使い道が見えてくるのでは無いでしょうか。
もしかしたら宝の持ち腐れになっていたかもしれませんが、Qclone、とても使えます。
ありがとうございました!