Sound Lab Kichizyo

Ableton Liveのアレコレ

Original Channel Stripsを作ろう

Ableton LiveのMixerは駄目?

昔から言われる事ですが、Ableton LiveのMixerは駄目だ、という声を聞きます。確かに分からんでも無いです。こちらがAbleton LiveのMixer。

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Reason 11はこれ。

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一番右を見てもらえたら分かりますが、In, Dyn, EQ, Ins, Fx, Ins, Fxと、長い!と思われがちですが、実は普通に使いやすいです。SSL 9000kをシュミレートしたMixerです。Sidechainや、EQも簡単高機能。

公式の動画からですが、こちらは業界標準ProTools

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当然の高機能っぷりです。ハードとの連携も抜群。これが一番良い気もします。しっかり使ったこと無いので、詳しいことは言えませんが、パッと見て、足りないものが無いとはこの事ではないでしょうか。

 

他の有名所は、Logic Pro, Cubase辺りでしょうか。両方公式からの画像ですが、

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こんなのと、

 

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こんなのです。

 

他にもFL StudioとかDPとか、S1とかも、それぞれ良いMixerありますが、比較してみたら、確かにAbletonのMixerはちょっとショボいです。

いや、確かにそうです。複雑さとか一切ないです。見たら分かる、っていうか、正直その辺に売ってる安物Mixerの方が高機能じゃない?と言いたくなります。

 

しかし、これ位シンプルと言うことは、色々自由度も高い、と勝手に受け取って、ポジティブに考える事にします。Mixerなんて、PanとFaderとSend&Returnがあって、AudioとMidi信号の行き来の設定できたら良いんや!と極論になるのも結構好きですが、明らかに足りてない、EQとかCompとかの機能を、自分でプリセットで作っていつでも挿せるようにしたら良いではないか、というのが今回の記事です。

 

それってChannel Stripやんけ、という事なので、Channel Stripを作ることを考えました。当然軽くないと意味ないので、デフォルトの機能だけ使って作ります。実際結構シンプルで簡単です。

 

Channel Stripsに必要な機能は

正直適当ですし、好きにしたら良いと思うのですが、Filter、EQ、Comp、Saturatorとかでしょうか。この辺りをメインに考えて、ちょっと作ってみようと思います。

 

先ずはAudio Effect Rackを挿します。確実にMacroが足りなくなるので、3つくらい挿しました。こんな感じです。

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これをCtrl+Aで全選択、その後Ctrl+Gでグループ化します。そうするとこんな感じで、一つのAudio Effect Rackに3つのAudio Effect Rackが格納されている状態になります。

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なんでこんな事するかと言うと、ただ単に纏めて保存するためです。で、それぞれ名前をつけました。纏めで保存する為の、親Audio Effect Rackの名前はChannel Stripに、並んで左からFilter&Sat、EQ、Comp&Drum Busという名前にしました。大体この順番でエフェクト載せる事が多いかな、と思ったので、こうしました。

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よくある問題で、EQが先か、Compが先か、という話がありますが、音によります。

EQ→Compの場合:EQが不要な音域を削り、細かい音補正をした後に圧縮する。結果として、残したい音のみを、最小限で圧縮できる。また、明らかに不要な音が存在する場合は、EQが先。

Comp→EQの場合:Compを通した後の音に納得できない場合にEQ、若しくはCompで音量感を整えた後の音色補正が欲しい場合。

 みたいな感じで考えます。うーん、とりあえず、EQ先で考えましょう。Filterは最初で良いでしょう。

Saturatorをなぜココで入れたかと言うと、やはり音量が結構上がってしまうので、いずれにせよCompの前、さらにEQで細かい音を調整する前のほうが良いかと思ってのこの位置です。Filterの後にSaturatorがかかった方が良いですかね。

 

Macroに割当

使いそうなパラメターをそれぞれのMacroに振り当てます。

 

Filter&Saturator

Auto Filterを2つ読み込ませて、それぞれをHigh PassとLow Passで設定します。それぞれのFilter Frequencyを、High Passは最小、Low Passは最大に設定します。Resonanceも最小にしておきました。先にこの設定をする事で、Macro割当をした際に都合が良いでしょう。

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Macroを割り当てます。それぞれのFilterのFrequencyとResonanceをMacroへ。分かりやすいように名前も変えると良いかと。

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さらに、この後ろにSaturatorを入れます。SaturatorのMacro割当は、Drive、Base、Frequency、Dry/Wetにしました。

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これでFilter&Satは完成です。もちろん必要に応じて、Macro以外のパラメターもガンガン触ると良いと思います。SaturatorのTypeとか触ると結構楽しいです。

 

EQ

AbletonでEQと言えばEQ8ですが、ここで不人気EQ、Channel EQが活きてきます。先ずChannel EQをEQ用のAudio Effect Rackに投入。さらに、Low Gain、Mid Frequency、Mid Gain、High GainをそれぞれMacroに割り当てます。こんな感じです。

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ただ、この後ろにEQ8を入れて、局所的な周波数編集を行えるようにしました。具体的には、BP FilterのFrequencyとGainとQをMacroに振り当てます。こんな感になりました。

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左のMacroのタイトルも変えています。このEQ8を入れることで、もっと細かい周波数編集がしたいときには、随時行えるようになりました。Macroには割り当てられていない部分も、当然、直接EQ8を扱えばより複雑な編集が可能です。スペアナも見れるのも重宝します。

一応EQ8はオーバーサンプリングモードにしてみても良いかもしれません。EQ8上で右クリックしたら出来ます。

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これでEQも完成です!

 

Comp&Drum Bus

こやつだけチェーン機能を使ってみました。というのも、Macroに振り当てられる数が限られているのと、Drum Busが必要ない場合、またはCompが必要ない場合なんかに、チェーンのVolume調整で完全にオフに出来るし、どちらかを細かくかけたりしたい時に、簡単に出来るようにしたら良いかと思ったからです。

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またMacroに振り当てます。CompはRatio、Threshold、Attack、Releaseを設定しました。

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Dry/Wetの調整は、チェーン部分のボリューム調整で、似たような事出来るんじゃないかと思います(適当)。お手軽NYコンプ出来るかもしれません。試してないけど。

Drum Busは、Drive、Crunch、Transients、BoomをMacroに割り当てました。CrunchとBoomの周波数設定は自分でやります。

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これでComp&Drum Busも完成です!

 

保存します

プリセット保存は大事です。保存は一番親になるChannel Stripのタイトルを付けたAudio Effect Rackを保存します。コヤツを読み込めば、全部纏めて使えます。ちなみに私はコレクション機能を使って色付けしています。

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これ結構便利です。

 

結構応用効くし、CPUフレンドリー

自分で作ってみたら分かると思いますが、かなり応用が効きます。エフェクトの順番変えたり、リバーブとか入れても良いですし、オリジナルどんどん作って、保存しておいたら、結構役に立ちます。

それに、デフォルトのエフェクトでやるとかなり軽いです。Reasonのように、MixerにもともとEQやComp等が付いている訳ではないので、全トラックに挿せるくらいに軽いエフェクトを作成しようと思っての記事でしたが、使わないエフェクトをオフにしたりしながらやると、相当軽く、便利です。

Ableton LiveはどうしてもMixerの弱さが指摘されがちですが、Audio Effect Rackを使って、上手いことプリセットを作ったら、その辺りは結構やりくり出来ると思います。

 

また何かネタがあれば作って記事にしたいと思います。ありがとうございました!