Sound Lab Kichizyo

Ableton Liveのアレコレ

Utility Deviceはとても便利

Mixの時に特に便利

Utilityはパッと見全然使えなさそうな、「こんな機能シンセとかについでに付けられてるやろ」的な感じがありますが、とりあえず突っ込んどいたら、とても便利なデバイスです。

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特にMixでは便利です。最近は殆ど全トラックにUtility突っ込んでいます。全然軽いですし、そのくらい実は便利である、という事を書いてみるのが今回の記事です。

 

位相

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先ずは位相に関して。普通にMidi音源ばかりで曲を作っている人にはあまり関係無いですが、実際にレコーディングした音なんかで、位相の反転が起きていて、音を打ち消す、とかよく聞きます。また、実は普通に販売しているサンプル音なんかでも、位相が逆になっているのはたまにあります。

というのも、位相を逆にすると、何となく変な感じのステレオ感が出て、それを狙っている人も実際居ます。位相が反転してるかどうかは、WavesのPaz Analyzerが軽くて見やすいかと思います。Pazのスペアナはいまいちですが。Anti Phaseって書いてる所が逆相の部分です。もちろんその他も位相の反転見れる道具なんて沢山あります。

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この位相を、上記画像の赤丸部分で変えれる機能がUtilityには付いています。

 

チャンネルモード

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見ての通り、ステレオにするか、左の音だけにするか、右の音だけにするか、を決めます。分かりにくいのはSwapですが、これを選択すると左右を入れ替えます。

 

Width

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Width部分ですが、ステレオ幅を調整出来ます。0にするとMonoになります。Monoにする時は、その下のMonoボタンを押せば一発です。

で、Bass Monoですが、これを押すと、その下の周波数で設定した数値以下の部分をMonoにします。どんなものか聞いてみましょう。適当なサンプルを選んで、最初の4小節はそのまま。次の4小節は、ちょっと極端にするため、以下の画像の設定にしました。

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500hz以下はMonoです。聞いてみます。

soundcloud.com

 

確かに違いが出ています。Monoにしなくて良い所までMonoになっています。これは極端な使い方ですが、トラックの低音をタイトにしたいときなんかに使えるのではないでしょうか。ただ、何でもかんでもコレやると、低音が真ん中に集まりすぎて、余計に低音が分からなくなったりする時もあります。何事も程々ですね。

それと、周波数を設定する横のヘッドフォンボタンで、Monoにする音だけをソロで聞けます。

 

また、意外と知られていない機能ですが、このWidth調整のツマミを右クリックすると、MSモードに切り替えれます。

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MSモードでは、一番左に回すと100M、一番右に回すと100Sです。100MでMonoになります。100Sでサイド信号のみです。100Sになると、位相が完全に逆相になり、サイドの音だけです。

ここの注意点が、設定値が0から100Mでは、ステレオとモノラルをコントロールする機能ですが、0から100Sではステレオと同時にAnti Phase、逆相の信号が強調されます。ですので、100Sでは完全に逆相の音となります。

Paz Analyzerで言うと、以下の画像で、赤丸から水色丸に音が向かっていく感じです。何か分かりにくくてすいません。

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OutputとBalance

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これはまぁ、良かろうかと思います。ミキサーのボリュームフェーダーと、Panのツマミがここにあると思ってもらえれば良いかと思います。

有る方は、MixerのフェーダーとかPanのツマミを基本的に一切動かさず、全部Utilityのこの部分でやる、と言っていました。オートメーションだけMixerの部分を使う、との事です。私は「普通逆じゃない?」と思ったので、ボリュームとPanのオートメーションは、全部このUtilityで行う様に使い分けています。Mixerのボリュームフェーダーや、Panつまみで、オートメーションは書かない様にしています。

 

MuteとDC

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MuteとDCですが、Muteはそのままです。これも私はオートメーションの時はここを使っています。Mixerではなるべくオートメーションをしないように統一しています。

で、このよく分からないのがDCですが、こういうのは音響のプロの人たちの説明を見てもらうのが分かりやすいと思いますが、私は凄くざっくりと、変な低音が入ってるから、聞いても違いは分からんけど、メーターに異常が出る、位の解釈です。違ってたらすいません。

ただ、このメーターに異常が出たら、コンプとか反応しちゃうので良くない、という話になります。基本的に、ハイパスフィルターで、その変な低音をカットしたら大丈夫と言われていますが、それをここで出来ますよ、というのが、このDCボタンなのだそうです。この現象、実は無料のサンプルとかを、適当なサイトとかで取ってくると、たまにあります。でも、私はハイパスフィルター使ってます。どうせEQ入れる事が殆どですし。DCボタン使ったこと無いです。すいません。

 

こんな感じでUtilityの説明となります。パッと見、何かあんまり使えなさそうなUtilityですが、実は多機能なので、とりあえず突っ込んで、一箇所で様々な設定を素早く変えるのに便利なデバイスです。

以上ありがとうございました!

PadのMixingに困ったので勉強して纏めた

皆大好きなPad Sound

Pad音はとても良いものです。私はPadを使わない曲、というのは基本的に無いというくらい、Padを多用しますし、今の音楽はPad音が使われることは実に普通だと思います。

しかし、このPad、皆大好きなのですが、Mixingになると、いきなり厄介なやつになります。このPad音のMixは困ることも多いし、今回纏めてみようと思って記事を書きます。

 

Padを使う目的

大体何でもそうですが、何でそれを使うのか、というのを考えて問題をはっきりさせるというのは大事なことだと思いますので、Padを使う目的というのをまず考えてみます。

何でPad使うか、っていうのを考えますと

  • 音の隙間(足りない周波数)を埋め尽くす(補う)
  • 様々な音の要素を接着させる
  • 様々な音域で、メインに聞かせたい音を後ろから肉付けさせる

とかでは無いでしょうか。私はそういう目的で使っているので、このような目的で使用する場合の対処法を今回色々纏めてみます。

あ、それと、アンビエント作るときは別です。それは今回無しで考えます。

 

PadのMixingで頻繁に起きる問題

上記の目的を考えた場合、Padの役割はあくまで音の肉付けや補完、接着です。このため、Pad音にはリバーブやディレイの要素がとても多く入っている場合が多いのはその目的を考えると、当然と言えます。

Padが無いと、なんとなく曲に盛り上がりが欠けたりすることが多いと思いますが、それはこの肉付け、補完、接着の三要素が、よく聞こえなくても、無意識で感じ取っているからだと勝手に思っています。

そうなると、やはり一番の問題は

めっちゃ音が濁る

この一言に尽きるのでは無いでしょうか。所謂Muddyとか言われる原因が、低域の処理がメインと言われますが、このPadも一つの大きな原因になるのは、その性質を考えたら間違いなかろうと思います。

 

対処法

で、対処法です。ココでは幾つか音を出しながら、対処法を纏めて、どういう感じで改善されていくか試して見ようと思います。先ずは、全くPadの処理をしていない、しかもPadを左右から出して、Padマシマシ感出したのトラックを、適当に作ってみます。全部適当なサンプルファイルを選んで、当然Mixはしていません。

soundcloud.com

 

良いですね。何がやりたいか全く分かりません。トラックは、Kick、Drum Tops、Bass、Guitar、Piano、Pad1、Pad2の7トラックです。

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この音源を、Padだけ触って、ちょっとは聞けるようにしよう、という記事です。では、個別にどう変わるか行ってみます。

 

適切な音量調整

基本にして難関の音量調整です。今回は、トラック数も少ないし、そんな神経質にならずに、自分が勝手にこの位で良いか、という所で設定します。というか、元の音量バランスが酷すぎるので、ちょっと触っただけでも良くなる事間違いなしです。前述の通り、Padの役割は、

  • 音の隙間(足りない周波数)を埋め尽くす(補う)
  • 様々な音の要素を接着させる
  • 様々な音域で、メインに聞かせたい音を後ろから肉付けさせる

の3つです。その辺適当に考えて、こんな感じになりました。

 

soundcloud.com

これだけでグッと聞きやすくなります。

 

High Pass Filter

この位のトラック数ならそこまででも無いですが、やはりPadは濁りの原因になりますし、音の優先順位も高くないので、低音を削ってしまいましょう。

 

soundcloud.com

 

これだけでやはり音が抜けます。High Passだけでなく、EQも本来はかけるべきですが、今回はボーカルも無いし、あんまりEQで音を変えすぎても、この後のエフェクトでどう変わるかも分からなくなるので、これだけにしておきます。

 

Automation

これは今回はちょっと音の変化の紹介だけにしておきます。たとえば、Auto Filter、Auto Pan、EQ等で動きを付けて、Padの音自体に変化を加えると、Padの音が目立つようになります。Pad音にちょっとスパイスを加えるような感じです。

今回はEQに色々動きを付けてみます。随分前に作ったプリセットを使用します。Freqencyだけ動かしたら、色々複雑な動きをして音を変化させるプリセットで、こんな感じです。Gainを動かしても面白いのですが、そこまでは面倒くさいのでしません。

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Padの音だけを抜き出します。最初の8小節が、何もエフェクトをかけていない音。次の8小節が上記のエフェクトをかけています。

soundcloud.com

 

確かに、こういうPadの動きを付けてみると、また違った印象になるので、曲の一部分だけでも、こういうテクニックを使ってみても良いように思います。今回はゆっくりとした動きのエフェクトですが、素早く行うことで次のフレーズへの繋ぎの効果もあります。

 

Multiband Sidechain

これも実に便利です。折角ですので、前回に書いた記事でプリセットを作成したMultiband Effect Rackを使用してみます。Multiband Effect Rackの作成に関してはこちらです。

kichizyo.hatenablog.jp

 

しかし、この場合ってどうなんだろう。大きな違いは出ないような気がします。とりあえずやってみましょう。

ピアノとギターでメインとなる周波数の部分を調べて、そこでSidechain Compで音が凹むようにします。

これはギターの場合ですが、とりあえず300~1.1k位にSidechain Compしてみます。結構広いけど良いんかな。とりあえずやってみましょう。

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ピアノも似たような事します。

ちょっと微妙すぎて分かりにくいので、全体を聞いた後に、2つのPadの音だけソロで聞いてみて、どんな感じで音がヘコんでるかも聞いてみます。最初の8小節が全体で、次の8小節が、Sidechain Compを入れたPad音です。

soundcloud.com

 

うーん、ちょっと分かりにくいですが、Pad音だけ聞くと、音がヘコんでいるのはわかります。手法として知っていても良いとは思います。

 

Mono

一応Multiband Sidechainで終わりなのですが、追加の手法として、このMonoをやってみます。そもそもPadで音が濁るのは、音場が広い事も原因の一つです。ですので、PadをMonoにしてしまって、聞きやすくしてしまおう、というのがこの手法です。

ただ、普通にMonoにしてしまったら、ちょっと音が狭くなりすぎる、という事もあります。その場合は、MonoにしたPad音に好きなリバーブを入れる、という方法もあります。

最初の8小節が完全にMonoの状態のPad。次の8小節で、MonoのPadにリバーブを入れます。ちょっと違いを出すために、変わったリバーブを適当に入れました。

soundcloud.com

 

こうして聞いてみると、Monoにするのは極端で、音も激しく変わって何かおかしな事になるのかと思っていましたが、意外と大丈夫です。音を広げるために別のリバーブを使うにしても、結構雰囲気が変わるし、コレも手法として知っていたら便利ではないかと思いました。

 

色々PadのMixingについて調べてみました!一応こんな方法が有るというのを、自分で纏めたかったので、参考音源も作ってみましたが、もしお役に立ったなら嬉しいです。以上、ありがとうございました!

 

 

最高のEQと呼ばれるFabfilter Pro-Q3のExternal(外部)SideChainをAbletonで行う方法

サクッと方法だけ纏めたかった

Pro-Q3でのSideChainは何度もやっているのですが、ちょっとAbletonでは複雑で、ついつい「あれ?これ何かやり方他にあった?」となる事が多いので、ちょっと自分のブログにメモ代わりに纏める事にしました。

 

というのも、原因はこちらの動画を見た事です。

www.youtube.com

 

因みに、この動画の通りやったら、このブログを書いている2020/09/29の、Live 10とPro-Q3だったら、間違いなく外部SideChainが出来ます。これで間違いないです。それにこのやり方は、応用も効くと思います。

 

ただ、この後手順を紹介しますが、この手順は結構複雑です。これホンマ必要なんか、というのを、ちょっと検証しながら、実際音を聞いてやってみようと思います。今現在私も、ちょっと不確定な事が多い状態で書いていますので、どうなるか分かりませんが、とりあえずやってみます。

 

動画で行われていた作業

動画見たら分かるんですが、一応簡単に纏めます。とりあえず、Kick、Top Drums、Bassの3つのトラックを適当にサンプル組み合わせて作ってみます。Kickが鳴った時に、Bassに対してSideChainを行う、という感じでいきます。とりあえず、何も考えずに、この動画のやり方を纏めて、SideChainが出来るようにします。

まずはReturn Trackを作成します。

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SideChainの引き金の方のKickを100%Return Trackに飛ばします。

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この状態だと、Kickが二重に聞こえてうるさいですね。ですので、Return Trackの方のAudioをBassのPro-Q3 SideChainに飛ばしてしまいます。

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ここまで来て、漸くPro-Q3の調整です。多分最初からそうなっていると思いますが、一応。BassのPro-Q3を開いて、右下のAnalyzerと書いてある所をクリック。SideChainを選択します。

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そうすると、Kickの周波数もBassのPro-Q3内で見れることが分かります。赤くなる所がマスキングです。ホンマこのEQ便利すぎます。

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次に上の画像の赤丸内の説明をします。この辺は知ってる方は読み飛ばして下さい。持ってる人は皆知ってる内容と思います。何も考えずに、ここの小さい矢印を動かしますと、

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こんな感じでメーターと電源ボタンと☓ボタンが出てきます。

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触ったら分かるのですが、電源ボタンは赤くなってる時は動いて無いときですね。ここで大事なのは、この上を向いた矢印。

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コレをクリックすることで、音のトリガーをSideChainにします、という設定になります。今回の場合はコレを押しとかないと意味ない訳ですね。これでSideChain完成です。ちゃんとKickが鳴った時だけ下がっています。

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Kick、Top Drums、Bassの3つのトラックを全部再生したものを4小節。分かりやすいように、次の4小節はSideChainの効いたBassの音だけをリサンプリングした物を聞いてみます。分かりやすいように、結構極端なGain設定をしています。

soundcloud.com

 

ちゃんと出来ているようです。しかし、これ、私頭が鳥並みと言ったら鳥に失礼なんですが、この過程をよく忘れます。「ええと、、、Return Trackを作って、、、ぐぎぎ、、、」と、まぁこうなります。何回もやってるんですけどね。全く、信じられません。

というか、このReturn Trackを作る過程って必要あると?って感じです。Pluginboutiqueの公式動画っていうか、ジョシュア氏に文句つけてる訳ではありませんが、このReturn Trackを作る理由がいまいち良く分からんとですたい。いや、Return Trackがどういうものか、っていうのを知って、応用的に使う、という意味では、この動画の知識は役に立ちます。が、私は鳥なので、一回整理が必要。今回の記事を書くことにしました。

 

普通にやってみる

普通に他のコンプとかと同じ様に、SideChainの設定をしてみます。

先ずは先程のReturn Trackを削除します。基本的にはもうさっきの過程でSideChainの方法は完成していますので、Return Trackを消して、普通にBassに通したPro-Q3のSideChainで、External InにKickを設定、これだけです。

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う~ん、早い。先程Return Track作って、Sendを全開にして、こっちにReturn Trackの音を飛ばして、、、とか、そういうの一切有りません。SideChainの所プルダウンして、Kick選択して終わりです。

さて、これで動いてたら話は早いのですが、どうでしょうか。

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いや、動いとるやんけ。

 

落ち着け。何か不備が有るかもしれません。今まで私がReturn Trackからの過程を真面目に行っていたのは何だったのか考えるのはまだ早い。実際音を聞いてみましょう。先程と同じ感じで、Kick、Top Drums、Bassの3つのトラックを全部再生したものを4小節。次の4小節はSideChainの効いたBassの音だけを聞いてみます。

Gain設定なんかも一切変えていません。

soundcloud.com

 

あ、これ一緒だわ。

 

多分アレだと思います。この動画を撮った時は、なんか知らんけどこのSideChainのプルダウンが無かったんでしょう(錯乱)。別にアレですよね、Return Trackの応用的な使い方として、実にこう、勉強になったから、余計なものなど無いよね、とギフハブに追われている有名人の名曲にもありますし、コレはコレでいい勉強だったと思います。

 

何か「いや、そんなん最初からデフォルトのSideChainで出来るの当たり前やん、、、」と思われた方にとっては微妙極まる内容になりました、、、すいません、、、とりあえず何でも調べるんじゃなくて、自分でやったら出来る事なんですけどね。こういう遠回りってよくやります。

 

以上ありがとうございました!

様々な手法でStutterなエフェクトを作ろう

Ableton Liveでは色々やり方があるStutter

そもそもStutterエフェクトとはなんぞや、という話ですが、よく人がどもるのをStutterとか言いますし、機械とかがガタガタ支えてるのも、Stutterと言ったりします。つまり、そんな感じで、一般的にDAWでStutterエフェクトとか言うと、音のOnとOffが繰り返されて、音が断片的になるエフェクトのことで良かろうかと思います。音が途切れてブツブツ切れてるなってる感じのエフェクトです。

 

今回は、そんなStutterエフェクトを簡単に作るいくつかの手法について考えてみたいと思います。Ableton Liveではいくつか方法がありますが、デフォルトのエフェクターを使って、簡単で軽いやつを作ります。

 

Auto Pan

個人的に一番のおすすめがこのAuto Panです。Auto PanはPanを動かす用途よりも、このStutterエフェクトの為に使うことの方が多いくらいです。ポイントとしては、Phaseを0か360にする、という一点だけ。Amountは、基本的には全開で良いと思いますが、Dry/Wetのような感覚で、半端な値にしても良いと思います。

Auto Panを使ったStutterの良い所は、Shapeを扱うと、質感が変わることです。どんな音にも使えるStutterエフェクトとです。

 

ちなみに、過去の記事で、Auto Panを使ったStutterエフェクトを、プリセットとして保存すると便利、というものがあります。数年前に作ったプリセットですが、今でもよく使います。Ableton Liveと、Midiコントローラーを使ったライブパフォーマンスにも、結構使えるプリセットですので、ちょっと紹介しておきます。

kichizyo.hatenablog.jp

 

Warpモード Beats

サンプル音にStutterエフェクトをかけたい事は良くあると思います。そんな時に使えるのが、WarpモードのBeatsです。普通にAbletonのオーディオトラックにサンプルを読み込ませると、Warpモードが使えますが、このWarpモードは六種類存在します。その中の一つがBeatsモードです。

Warpの6つのモードは、こちらの記事の半ば以降に詳しく書いています。

kichizyo.hatenablog.jp

 

BeatsモードでどうやってStutterエフェクトを作成するかですが、これも簡単で、基本的に扱うパラメタは4箇所だけです。

 

1.まずWarpをBeatsモードにします。

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2.次に、Preserveで、どれ位のスピードでStutterエフェクトを入れたいか決定します。最初は1/16とか1/32とかにすると分かりやすいです。

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Transientが多い音なら、Transientを選択しても面白いStutterのかかり方する事が有ります。

 

3.→を設定します。これあんまりどう動くかとか気にしないで、とりあえずコレを触ったら、Stutterの質感が変わる、位の感覚の方が良いと思います。

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というのも、コレを変えたらどういう風なStutterになるか、予測がいまいち私には出来ないので、実際聞いたほうが早い、という感じです。スピードが変わったりするわけではなく、Stutterの感じが変わる、というものなので、数値をある程度決めた後に、このパラメタを変更するのもいい方法だと思います。

ちなみに、ちょっと公式からの面白そうな情報ですが、

SamplerLoopBack.pngループ往復 — トランジェント間のオーディオセグメントは、それぞれ終わりまで再生します。その後、再生はオーディオセグメントの中央あたりのゼロ交差へ到達するまで反転し、その後再びトランジェントの終わりまで進みます。次のトランジェントが発生する時間まで、このパターンが続きます。このモードは、[Preserve]の[Transients]と組み合わせると、ゆっくり目のテンポの場合に非常によい結果が得られます。

とのこと。ちょっと何か変化欲しい時に試してみても良いですね。

 

4.数値を設定します。

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これって何の数値やねん、って感じなんですが、公式ではこう書いています。

トランジェントエンベロープスライダーでは、それぞれオーディオセグメントにボリュームフェードを適用します。100の場合はフェードしません。0の場合は急速に減衰します。エンベロープタイムが長いと、セグメントの終わりのクリックノイズをスムーズになります。また、エンベロープタイムが短いと、周期的なゲート効果が生まれます

ちょっと分かりにくいですね。このStutterエフェクト目的の場合で、すごくざっくり乱暴に言ってしまうと、値が大きいとStutterがゆるく、小さいと音がどんどん短くなって途切れて、Stutterがキツくなる、って感じです。

これも使ってみたら分かりますが、0にすると、音がプツプツ途切れまくって、原音が殆ど聞こえないレベルです。

 

このWarpモードでのStutter編集の強みは、

  1. 余計なエフェクターを使わずに、サンプルにそのままStutterエフェクトをかけれること
  2. Envelopesボックスを使うと、様々なオートメーションを色々細かくかけれること

この二点でしょう。Envelopesボックスに関しては、上にリンクを貼っています、Clip Viewに関しての記事に書いています。

 

Gate

実際の所、私もStutterエフェクトとか言ってますし、海外のDAWユーザーにもStutterの名で定着しているこのエフェクトですが、これはGateエフェクトと全く一緒です。ですので、当然Gateでもこのエフェクトは作れます。

Ableton Liveでは、Sidechainを使うのが良いでしょう。手順は以下です。

1.まず、新規トラックを作成し、アタック早めリリース早めの音で(これはGateのキレを良くするため。あえて緩めのAttack & Release設定でも良いですが、まずは分かりやすいように基本で)トラック制作。今回はOperatorのKickです。

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2.次に、Stutterエフェクトをどんなリズムで加えるかを決めます。今回はとりあえず良くある感じで、32分音符でStutterを入れてみます。こんな感じで、Stutterが入る所と入らない所を作って、分かりやすくしてみました。

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ちなみに、この音は鳴ったら困るので、普通にトラックを選択して0ボタンを押し、トラックを聞こえなくしてしまいましょう。

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3.で、Stutterエフェクトを入れたいトラックにGateをさします。この際、Sidechainで、先程作ったトラックと連動させます。これで、StutterエフェクトがSidechainトラックが鳴っている時のみに起こります。 

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Floorとか、Releaseとか、そういうのは聞きながら調整するのがよろしいかと思います。

 

完成です。とりあえず、これがどんな感じのStutterエフェクトになるか、聞いてみようと思います。最初の4小節は、オリジナル、その後の4小節に、Stutterエフェクトが、指定した場所にかかります。

soundcloud.com

 

ち、、、ちょっと適当にやりすぎましたかね、、、でも、言わんとすることは分かって頂けたかと思います!

このGateを使ったStutterエフェクトは、自分の好きなリズムでStutterをかけれるのと、Sidechainトラックの音の感じで、エフェクトのかかり方が変わる事が良いところですね。

 

以上です!どうもありがとうございました!

Ableton LiveのDistortionをまとめる

歪みは良いもの

Distortionとして纏められる歪みですが、色々な種類が有ります。Mix的な使い方では、TubeとTapeディストーションがよく使われます。

 

kichizyo.hatenablog.jp

こちらの記事で、Mix的な使い方は、簡単に纏めていますが、

Distortionはトマトソースの中のガーリックのようなもの。入れ過ぎれば不快だが、適量であれば抜群のニュアンスを加える。

というのは、iZotopeのMixガイドの引用ですが、上手いこと言ってるなぁ、と思います。

 

ハーモニクスを飽和させるものをDistortionと呼ぶ。Mixでよく使われるのは

・Tube系:音の頭、アタックの部分を強調させる。この為、音に”パンチが出る”と表現される。低音に影響が大きい為、音を”Warm”にさせる、とよく言われる。


・Tape系:奇数次の歪みを強調する。全帯域に影響するが、テープヒスという言葉があるように、高音が目立つ。そのため”Bright” や ”Warm”と表現される。

みたいな書き方をしていますが、倍音を足すことで音の存在感を増しますし、Comp的な効果も大きいです。音に深みや暖かみも与えます。Drum Busにも、Bassにも、どんな楽器でも、「もう少しパンチ出して聞かせたい」みたいな時に便利です。聞かせたい音にはとても便利ですね。音が後ろから前に来ます。

 

今回は、Ableton Liveにある歪み効果を、メモ的に纏めてみようと思います。ちなみに、Max For Liveのエフェクトは除きます。ちょっと莫大な量になるし、これからも増えていきそうですので。結構自分用の所もありますので、Ableton Liveにデフォルトである歪み効果をさらっと全体的に見れる記事みたいな感じで書いていこうと思います。結構奥深くて楽しいです。アルファベット順でまとめていきます。

 

Amp

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とりあえず最初に試すのはこいつかな、という感じです。Vox、Fender、Marshall、Mesaのモデリングです。Bassはちょっと分かりにくいけど、多分Simms Wattsでしょう。Softubeが作ってるみたいで、歪みを入れたい時は、何の音でもとりあえずこれから試すと良いと思います。それぞれ高音、低音と個性があって、私は大体歪ませたい時はこれから試します。

 

Auto Filter

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なんでFilterで歪ませるねんって話ですが、実はAuto Filter、FilterのモードをCleanからOSRなど別タイプに変えますと、Driveが出てきて、普通に歪みます。画像赤丸部分です。コレを使うことで、様々なFilterエフェクトをかけつつ、歪みを加えることが出来るので、結構便利だったりします。

 

Cabinet

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これを歪みと言って良いのかどうかですが、一応程度ですが、若干歪みも出ます。これもSoftubeが作っていますね。5種類のギターキャビネットサウンドと特性をエミュレートしていて、Speakerでは、スピーカーの数×サイズを選択することが出来ます。大きなスピーカーで数が多かったら、音も大きくなります。

また、Microphoneでは、公式の引用ですが以下とのこと。

[Near On-Axis]では明瞭で集中したサウンドが、[Near Off-Axis]では明瞭さは少し下がりますがより響きのあるサウンドが得られます。バランスのとれたサウンドを得るには[Far]を選択します。このオプションを選択すると、室内を思わせるサウンド特性も得られます。 

下のCondenserとDynamicはマイクの種類ですね。Ampと一緒に使うのが一般的ですが、もちろん単品で使っての音作りでも結構便利です。これ普通に高性能なんですよね。

 

Compressor

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画像通りの設定にしたら歪みが出ます。Ratio全開、Attack最小、Release最小、Threshold最小、って感じです。Compで歪ませると、独特なアンビエントなんかで使いやすそうな、音場を制圧するような歪みが出ます。

 

Drum Bus

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アルファベット順なら、ホントはCorpusも歪みっぽいのが有るのですが、流石にCorpusは歪み用途で使わないだろう、ってことで、Drum Busです。Compと一括にしようかと思ったのですが、こちらはDriveとかCrunchみたいな、Distortion的な要素が付いていて、Compよりハッキリ歪ませる事が出来ます。Hardにしたら結構キツい歪みが出ます。

すいません、Glue Compは端折ります。歪ませたいなら、わざわざGlue Compを選ぶ必要が無い気がします。

 

Dynamic Tube

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これも使用頻度高いです。かなりアナログ感が強い歪みが出るのがDynamic Tubeです。3種類あって、Aのモデルでは、Biasを上げないと効果が出ません。Cは全体にかかります。Mix用にSendから使うのにも、実に良い歪みだと思います。もちろん直接トラックに使っても良いです。EnvelopeでBiasをマイナス方向に出来るのも面白い所です。

 

Erosion

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歪みというか、音質劣化装置なのですが、まぁ、別にここで触れても良いと思います。いろんなノイズを音に加えます。

 

Overdrive

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これは特に説明不要かと思います。オーバードライブです。

 

Pedal

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知り合いのギターを弾く人が、Ableton Liveって、普通のディストーションとかファズが無くない?と言っていましたが、このStandardでは使えない、Pedalがディストーションとファズです。低中高音域で編集できて便利ですね。Ampで歪ませると、かなり個性が出ますが、Pedalだと結構個性無く素直に歪ませれる感じがあると思います。AmpやCabinetと組み合わせても面白いです。

 

Redux

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これも、音質劣化という意味ではErosionに似ていると思われます。公式の文章が分かりやすいのですが、

Ensoniq Mirage、Fairlight CMI、コモドール64など、解像度の低いサウンドにノスタルジーを感じることはありませんか?Reduxを使えば、サウンドがあのデジタル暗黒時代へ逆戻り。このエフェクトは、信号のサンプルレートとビット解像度を下げるエフェクトです 

とのこと。私は実機は使ったこと有りませんが、Fairlight CMIはArturiaがモジュレーションを出していますね。プリセットにもあるMirageは、Ensoniq Mirageのようです。昔の、何とも言えないサンプラーの感じを出したい!って時に使えるものですが、歪みという所でも、使い道が有ります。ちょこっと色付けで使うと、結構音が際立ったりして面白いです。オールドスクールなサンプリング音を作りたい時に使えるツールです。

 

Saturator

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これもAmpと並ぶ本命の歪ませアイテムではないでしょうか。7種類のカラーが選べて、様々な歪みを演出します。前に書いた記事、チャンネル・ストリップの作成でも使っています。

kichizyo.hatenablog.jp

Channel EQと、このSaturatorを組み合わせると、実にアナログミキサーっぽい雰囲気が出るのです。パンチもWarmな感じも出る為、Mix、音作り共に使える優秀なエフェクトです。

 

Vinyl Distortion

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これもいい感じで歪むエフェクトですね。アナログ感があって、LPに針を落とした様なクラックルノイズも発生して、実にいい感じです。「ちょっとこの音にLP感出したいわ」みたいな時とか、Hifiなデジタル音にフィルターかけて、このエフェクトを使うと、なんかそれっぽくなったりして、かなり使えるエフェクトです。

 

 

こんな感じで、Ableton Liveにある歪みエフェクトを纏めてみました。自分が後で見る用でもあるのですが、結構色んな種類があるし、プラグインに頼らなくても、十分色んな種類の歪みを演出できますね。こうして色々纏めてみると、再発見もあって中々楽しいものでした。

 

以上、ありがとうございました!