Sound Lab Kichizyo

Ableton Liveのアレコレ

EQについて真面目に取り組んでみる その2~やってはいけないから Part2~

前回と同じ形式

前回の記事

kichizyo.hatenablog.jp

 

と同じで、「やってはいけない」からEQに取り組んでみます。今回の動画はこちらです。

www.youtube.com

 

www.youtube.com

 

またWarren Huart氏の動画を一つです。2つ目の動画も結構再生回数がある有名な動画です。Musician on a Missionの制作者は、QueenやMorterhead等多くの有名なバンドを手掛けた方に師事し、様々なスタジオで学んだ方らしいです。前回の記事と重複する内容、また2つの動画で重複する内容は削っていってまとめます。一応これでやってはいけないからのアプローチは終了して、次の話に取り組みたいと思っています。

前回と同じ様に一つずついきます。長文になると思います!

 

1.問題点は、Mix BusのEQよりも、個別トラックのEQで解決するのが先

Mastering Engineerは、Mix Engineerとは別で、それぞれ別の知識やスキルが必要になる、というのはよく言われますが、マスタリングは、文字通りマスターにEQ等を使い、全体をより良い物に仕上げていく作業です。

その点、ミックスでは、個別のトラックを修正できる、というマスタリングの段階では出来ない事が出来るわけで、そこを有効活用しないといけない、という話でした。

例として、高音がちょっとキツすぎるので、マスターのEQで高音を削る。そうするとギターは良くなったが、ボーカルの良い高音も一緒に削れる、というような事になります。ドラムなんかも、周波数が広い範囲に渡っている事が多いので、BusトラックのEQで無理やり解決しようとすると、同じような事が起こるでしょう。Mix BusでのEQに関しては、また別の機会により具体的に考えていきたいと思いますが、Mix BusのEQは、個別のトラックを十分精査した後に、全体をよりまとめて良いものにするために使いましょう、という話でした。

 

2.明るすぎるMixは良くない。うるさすぎるMixも同じ様に良くない

大きい音や極端な高音は耳を疲れさせる、というのは当たり前の事ですが、人間の耳は普通に会話したりするのに重要な、3~5k辺りの周波数には特に敏感です。この辺りはEQの使用でも十分注意が必要です。

ここでは、休憩の重要性も述べられています。長い間大きな音量でMixをしていると、この辺りの周波数に対して耳が鈍くなってくるそうです。Warren Huart氏は、基本的にDimを押した小さな音量で作業して、たまに大きな音で少しの間聞く。そしてDimに戻る、というような作業をするそうです。でもAbleton LiveはDim無いですよね、、、

 

3.High PassとLowPassを使用しよう

これは前回の記事にも書きましたので省略します。前回も書きましたが、緩やかなFilteringを有効活用するのは重要です。

 

4.EQの使いすぎに注意

沢山のEQ処理を行って、「よし!やったで!」となるのはやめましょう、という内容です。とりあえず一回Bypassしてみて、本当に良くなってるのか確認するのが重要です。人間は、お金を払ったり、沢山時間をかけると、別に何も改善されてなくても良くなった、と思ってしまう、という事を誰かが言っていましたが、確かにそういう事もあるかもしれません。

これはプロでも良くあるんだそうです。いくつかのEQを使って、「う~ん、ココを上げよう、でもそしたらこっちが良くないか、下げよう」とやって、沢山処理した後に、Bypassすると、「あ、何かこのEQ違うわ」となるんだそうです。

こういう時は、ダイナミックEQの使用を提案していました。ダイナミックEQに関しては、また次に書きたいと思いますが、こちらのリンクからDynamic EQとは何か、をサラッと引用します。

blog.landr.com

ダイナミックEQは、従来のEQとコンプレッサーやエキスパンダーに見られるダイナミクスコントロール(音量コントロール)の要素を組み合わせたEQ処理の事です。

ダイナミックEQは従来のEQにある工夫を加えたものです。各バンドごとに固定のゲイン値を設定するのではなく、その周波数の音量に応じて、カットやブーストの強さを変えることができます。

複雑に聞こえるかもしれませんが、簡単に言うと、ダイナミックEQは、入力されたサウンドに応じてEQの量を自動的に調整する機能の事です。

この辺に付いても、具体例を見ながら次に記事を書きたいと思います。

 

 5.ソロボタンを使いすぎちゃ駄目

ロボタンが悪いと言っている訳ではありません。例えばボーカルのDe-essing等、その音の本当に繊細な問題点を探る為にソロボタンは必要です。が、ソロボタンを使いすぎると、その音のみの問題ばかりに集中してしまい、そもそも何でソロボタンで問題を解決しようとしたかが分からなくなる、という問題があります。

Mixの中でどの様に聞こえるかが重要で、全体の中での問題点の解決のために、音を精査すべきで、その為にソロボタンを使うべき、という話でした。ソロボタンのオンオフを細かく切り替えて聞くのも有効なテクニックだそうです。

さらに、ここは2つ目の動画でも言及がありますので、まとめて書きます。2つ目のMusician on a Missionの動画では、ソロンボタンをなるべく使うな。ソロボタンを多用し過ぎの時は、そのトラックのボリュームをあげて、良く聞こえるようにしろ、と言っています。確かに、一度EQに取り掛かっているトラックのボリュームを上げることで、他との関係をある程度残しながら、その音もよく聞くことが出来るので、一つの手法として知っていると良いと思いました。

また、ここではEQのブーストに関しても述べられていますが、それは後ほどまた書きます。

 

6.目的を持ってEQを使う

ここから2つ目の動画に入ります。ここに関しては、序文やその1でも書いていますので、省略します。EQを使うことが目的となってはいけない。EQを使う前に何をやりたいかを明確にすべき、という内容です。Referenceトラックと比較して、なぜ処理が必要なのか、どうしたいのかを明確にして下さい、という事でした。

 

7.EQをカットだけに使わない

これは1つ目の動画のWarren Huart氏も、ソロボタンの時の話の中で言及しています。私もそうでしたが、この考えは結構一般的に存在している気がします。学生時代に先輩に勧められた本に「EQは基本的に音をカットする目的で使うものです。不用意に音を足さないように。」と書いていたのを覚えています。そして、結構そう書いている本は多かったです。例えば、有名所ではこの本とかです。

Mixing Secrets for the Small Studio by Mike Senior

 

洋書にそう書いてるのが多い気もします。でも、これは間違いだという話でした。Warren Huart氏はブーストさせてからのコンプの使用というのは、音をグッと良くする手法と述べていますし、2つ目の動画でも、もうそんな意見は無視して、やりたかったらブーストしろ、って言ってます。ここもやはり、そうする理由が有るのならそうするべきだと思いました。

 

8.BusにもEQを使おう

個別トラックへのEQだけでなく、Busトラック、例えばVocal Bus、Drum Bus等、BusにもEQを使いましょう、という内容です。Drum Bus全体に、Hiを足したい、ギタートラック全体の中低域を絞る、等、一貫性を持たせた音作りが可能です。また、個別のEQで同じことを何度もせずに、作業の短縮の意味もあります。

BusへのEQに関しては、また後ほど書けたら良いな、と思います。最近良い動画を見たので。

 

9.必要がある時は、思い切ったEQingを

これも結構昔から根強く存在している意見です。「3db以上のブーストやカットは避けろ。」「ブーストを極端にやるな。」こういう意見は、普通に結構私も聞いたことあります。これは別に気にしなくていい、という話です。

ただ、Busではそんな極端な事するな、とも言っています。Busやったら1~2DB位が基準やで、との事。

これも、その必要があったらやったら良いんや。スネアとか高音10DB足したかったら足して良いやんけ。音が良くなるなら。との事でした。

 

10.全部にHigh Pass使うな

これも良くある意見です。とりあえずHigh Passぶち込んどけ、という人は結構いると思いますが、普通に考えて、Low Endはとても大事です、特に私がやってるようなエレクトロは、もうLow End大好きな人達ばかりです。

確かにLow Passは、音が団子になるのを避けるために必ず必要ですが、やりすぎると音がスカスカになります。

ここも目的の話になります。Low Endにノイズがある、KickのLowを少しタイトにしたい、そういう目的を持ってHigh Passを使いましょう、という話でした。前述しましたが、緩やかなHigh PassやLow Passも活用すると良いかと思います。

 

11.プラグインにお金と時間を使うな

実に耳が痛い話です。でも、最近になって私もそう思います。プラグインの多くは時間と金の無駄です。プラグイン買う前に、DAWのマニュアルを読んで、本を読んで、様々な情報を集めるべきと今になって思います。プラグインはお金がかかりますし、選ぶのにも時間がかかります。さらにプラグインを使うための勉強も必要です。プラグインを使いこなすのは時間がかかります。そして最後に、どのプラグインを使うのか考えないといけません。

プラグインを買うことが悪いのではありません。ただ、順番が有るはずです。いきなりプラグインで解決、というのはどうなんでしょう。先にMixを勉強してからプラグインを買うべきだ、と最近よく思います。特に序文でも書きましたが、サンプルを沢山使うAbleton Liveユーザーは、そもそもサンプルという完成した音を使っています。本当にそんな沢山のエフェクトが必要なのでしょうか。空気感とか真空管の感じとかよく言いますが、普通にAbleton LiveデフォルトのAmpとかSaturation突っ込んだら解決するのが殆どです。

Mixを勉強するのも、その1で紹介したブログもありますし、Youtubeで飛澤正人氏の動画を見るだけで大体オッケーと私は思ってます。プロの人達が、普通に動画や記事でノウハウを紹介してくれている時代です。記事や動画の作者のプロフィールや作品も調べて、勉強できます。プラグインを買うのはその後で、動画では、1つか2つのプラグインの使い方に精通するのが良かろう、との事でした。まぁ、もちろんプロは別とは思います。

 

12.バイパスボタン使いまくれ

これは当然のようで、結構やってない事があるのではないでしょうか。そもそも比較は、元々のもの、目標とするもの、今目標に近づけて作業しているものの3つで行うものです。元々のものも、大事なリファレンスです。

動画では、瞬きのようにバイパスボタンのオンオフを繰り返す、という手法も紹介していました。

また、この際極端なカットやブーストをした場合、ちゃんとボリュームがオリジナルと同じくらいになるように調整することも重要です。人間は音が大きいものを良いものと考えがちです。

 

13.プラグインの順番気にしすぎ

代表的なのはEQとコンプの順番でしょうか。動画では、プラグインの順番はそこまで重要ではない、とハッキリ言っています。

EQが先か、コンプが先か、というのは、色々話がありますが、それはコンテクスト、つまり状況による、答えはない、との事です。明らかに不要な音がある場合はEQが先、位で良いのかな、と個人的には思っています。

 

14.スペクトラムを学びなさい

どの周波数がどういう働きをしているのかを知るのはとても重要です。以前iZotopeのMixing Guideの訳に、その辺りを書いていましたの、載せておきます。

 

  1. Low End (125 Hz以下)
    Sub bassやBass、そしてKickが主役となる帯域である。この帯域の音は聞こえると言うより、感じるという程度のものである。

  2. Low-Mids (125 Hz – 500 Hz)
    一般的に低音の基礎となる帯域で、この帯域が混雑すると、いわゆる音が団子になるという現象が起きる。Muddyと呼ばれる部分は大体この辺り。

  3. Mid-Range (500 Hz – 2 kHz)
    ほとんど全ての楽器はこの帯域の成分を持つ。Mixでは、この帯域の楽器を、適切に処理するために、多くの時間を使うことが必要となる。

  4. High-Mids (2k Hz – 8 kHz)
    この帯域では、Vocalのブレス、シンバル音、スナップ音系のパーカッション、Kickのハーモニクスアコースティックギターをピックで弾く音などの成分が多い。

  5. High End (8 kHz以上)
    いわゆる空気感や、Vocalの歯擦音が入る帯域である。この待機が強すぎると耳が疲れ、この帯域が弱すぎると、抜けのない鈍い雰囲気のMixになる。

どこをカットして、どこをブーストしているのか、目的通りの場所にあたりを付けれるようになりましょう、との事でした。

 

15.耳を鍛えましょう

そんなんどうしろっちゅうねん、って話ですが、EQを学ぶのに一番いい方法がこれだそうです。どこが問題か分かる耳を持たなければならない、という事です。周波数の勉強と似ていますね。

このサイトで訓練できるで、との事。

www.soundgym.co

 

またこのアプリも紹介していました。

Quiztones: EQ Ear Training

Quiztones: EQ Ear Training

  • The Pro Audio Files
  • ミュージック
  • ¥610

apps.apple.com

 

普通に曲作りまくってEQしまくるほうが良い気もしますが、こういうのもあるんだそうです。

 

実に6千字近い文章です。何かここまで読んでもらってありがとうございます。大したこと無い内容で恐縮です。とりあえず、やってはいけないシリーズはこれで一段落として、またちょっと違った内容を次は書きたいと思います。

本当に長い時間読んでもらってありがとうございました!

EQについて真面目に取り組んでみる その2~やってはいけないから~

やってはいけない事からの分析

基本的にこういうのは、「こうするべき」というのより、「この使い方や考え方は避けるべき」という方が、自由度が高いですし、分かりやすい傾向がある気がしますので、こういうEQの使い方は避けるべき、という所から、様々なプロの方で、素人の私が勝手に「この人たちすげぇ!」と思ってる方々の動画や記事を参考にまとめていこうと思います。

 

ミニマムフェイズとリニアフェイズ

と言いつつ、先ずはミニマムフェイズとリニアフェイズEQの特性と注意点について調べました。

私が色々書くより、間違いなくこちらの記事を参考にしたほうが良かろうと思います。音源まで用意してくれている記事で、とても参考になります。

soundevotee.net

 

よくあるEQ Mistakes

ここからが今回の記事の本論になります。今回はこの動画です。

www.youtube.com

 

多くの超有名バンドのMix Engineerを勤めている、Warren Huart氏の動画です。有名な動画なので、見たことある人も沢山いると思いますが、先ずはココからいきます。タイトル通り、3つのEQ Mistakesに関してです。一つ一つ行きます。

 

1.Sweep EQの手法を使いすぎる

これは、この動画を見るまで、私もやってた間違いです。ちょっとココはしっかり書きたい所です。Sweep EQとは何ぞや、という所ですが、こういった具合に、QとGainを極端に大きくして、

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Frequencyを動かして悪い音を探す。

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そして見つけた悪い音を削る。

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コレを繰り返して、音をスッキリとキレイにする!

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というものですが、コレがいかん、という内容です。というのも、こんなふうに極端な音の聞き方をしたら、悪く聞こえるのが当然である。というのがWarren氏の話です。そもそもEQってこんな使い方するもんちゃう、という事です。この事に関しては、私のような奴が色々書くより、私も読者になっているEki氏のブログに詳しく書いています。

eki-docomokirai.hatenablog.com

 

余談ですが、SOUNDEVOTEEを書いているKojima氏のブログも、Eki氏のブログも、「ホンマこんなん無料で読ませてエエんか、、、」という内容が盛り沢山です。Cubaseユーザーで、決まった自由な時間が取れる生活をしていたら、受講してみたい位です。こういう人たちにMixとか習ったら、ほんとにすぐ上手くなるんだろうな、と思います。

 

で、このSweep EQですが、普通にプロも沢山やっています。ので、私がどうこう言えることでは無いんですが、なんでこういう事やってるんや、というのも、理由があるようです。

例えばこちら。その部分から再生されます。

youtu.be

 

ガッツリやっています。

Eki氏のブログにはこちらも載っていました。

youtu.be

 

ガッツリやってます。

ですが、この動画、2つとも同じ理由を述べています。特に2つ目の動画ですが、この方、クラシック畑から始まり、グラミーも取ってるMix Engineerだそうです。インタビューしている方は普通に笑っちゃっていますが、

”I didn't mix like this, but It's probably what making it sound so good, actually. Mine's probably sound worse because I wouldn't be taking that stuff out.”

みたいな事を言っています。

二人共、この手法をするときは、必ず不要なResonance、つまり、好ましくない反響音のみを選択して削る、という事でした。

私はどちらが良いかは分かりません。ただ単に、個人的にこのSweep EQやりすぎは良くないと、自分のやってるジャンルではそういう結果が多いと思って避けてるだけです。ただ、何が好ましくない反響音か判断できないなら、この手法はそもそも取るべきではないと考えて良さそうです。

 

そして、Warren Huart氏も、Sweep EQが悪いとは言っていません。あくまで極端な手法が悪い、という話です。上記で参照したEki氏も、決してSweep EQの手法を否定している訳ではなく、

  • Qは少し太め(オクターブ間に影響が出るくらい)
  • ゲインは6dB~12dB程度

という、ソフトなスイープを使うべきです。

 と書いていますが、私もこの使い方が正しいと思いますし、実際自分がどの音が他のトラックと聞いた時にマズイことになっているのか、という耳の訓練にもなると思っています。

ただ、間違いないのは、

目的の無いEQは必要ない

という事だと思います。このシリーズの序文にも書いていますが、そもそもエフェクトなんて、無いなら無いだけ良い、というのが私の考え方ですし、目的の無いEQは不要、というのは、誰もが言っている所だと思われます。

 

2.High PassとLow Passを使おう

High Passに関しては、皆さんも普通に使ってると思います。特に私みたいにサンプルたくさん使ったエレクトロ系の音楽とか作ってたら、音数も異様に増えることもありますし、High Passが無かったら低音がメチャクチャな事になります。そういう音も許されてる風潮がこのジャンルには有りますが、、、例えばこちら。

www.youtube.com

 

これはこれで計算されていると勿論思いますが、これは流石に普通は許されないと思います。私はFlying lotusのファンなので、この曲大好きなんですが、初めて聞いたときは「こんなんアリか、、、まぁ、好きなんだからアリか、、、」と思いました。

 

とにかく、High Passはとても重要なのは、もちろんですが、Warren Huart氏はLow Passも積極的に使うことを進めています。

高音を上げると、Air感と良くエンジニアが表現しますが、そういうものが増して、抜けが出ます。ただ、音が薄くなり、耳を疲れさせる、という反面もあります。

良いエンジニアが手掛けた曲は、低音は勿論のこと、高音も非常に計算してコントロールされている、という事でした。

確かに、Air感とか色々有りますが、耳を疲れさせてはいけませんし、そもそも高音にも不要な音は沢山あります。

例えば、Warren Huart氏の動画では、Nordのパートに軽いHigh Passをかけ、さらに高音をしっかり持ち上げた後に、4K以上位をがっつりLow Passかけています。ギターにもLow Passを入れて7~8k位を削って、耳に触る音を削っています。

また、軽いLow Pass、軽いHigh Passも、実に便利だから積極的に使うように、という発言もありました。OffensiveなFrequencyを探しなさい。その際、自分の耳をしっかり信じなさい、との事でした。ここも同じ様に、低音が必要な理由、高音が必要な理由がない限り、思い切って削って良い。という、目的意識がある使い方が重要との事です。そうして作られた音が、本当にクリアな音であると言えます。

 

ちなみにですが、1のSweep EQを使いすぎの所で紹介した2つ目の動画。この方かなり変わった事沢山やってて、件の動画の9:15秒くらいから、異様なLow Passの使い方が出ています。コレは、インタビューのホストも、

「何やこのナンセンスなEQセッティングは!」

って言ってますが、このエンジニアの方曰く、

「レコーディングに使ったマイクの特性が、異様に高音がキツかったんや。ただ、実際ただ高音削っただけじゃなくて、後のプロセスで、適量の高音足してるんやで」

「なるほどな」

というやり取りがありました。私はこういう事しませんし、グラミー取ってるエンジニアに意見するなんて滅相もないっす!って感じなんですが、めっちゃ極端な事というのは間違いなかろうかと思います。ただ、こういうのにも、目的意識があって行っている、という事です。

 

3.EQは全体的な問題を修正するもの

何か変な訳ですが、言いたいことは、「この部分のみに良く作用するEQ」みたいな使い方は駄目。という事です。

例えばWarren Huart氏の動画では、ギターが普通の演奏の部分では、Lowがかなり邪魔になります。だからと言って、Lowをカットすると、ソロの時に物足りなくなる現象が起きています。

こういう時はどうするのか、ですが、EQにもオートメーションを入れて解決します。ソロの時になったら、低音をカットしているEQを切る訳です。

若しくは、後の記事に書いていますが、Dynaimic EQや、Multi band compでの解決、という方法が有ります。

問題点は一つのトラックでもいつも同じとは限らないので、その時その時に対応したEQingをやろうぜ!という話でした。

Dynamic EQとかMS EQとかは、またしっかり調べてやるべきと思いますので、このEQに真面目に取り組むシリーズで後ほど記事を書きます。ちなみに、私ダイナミックEQもMS EQも全然分からず使っていました。まぁ、今も良く分かって無いですけど。この辺りも反省を含めて、また書いてみたいと思います。

 

以上、ありがとうございました!

EQについて真面目に取り組んでみる~序文~

EQ難しいです

この記事は、このシリーズの趣旨と概要を書いたもので、特に読まなくて大丈夫です!

 

先に言っておきますが、私はDAW歴はそれなりに長いだけの素人です。所詮素人の意見ですが、様々な方の意見を参考にしながら、理屈で納得できるようなEQに関しての内容を、記事として纏めたいと思い、9割位自分の為に書いています。もし参考になれば幸いですが、あくまで素人の意見ですので、鵜呑みにしないで下さい!Abletonの使い方は、中級者くらいは出来てると思いますが、Mixはまた別のものですので。

EQはMixやMasteringで最も重要な道具の一つなのは間違いなのですが、難しいです。今まで逃げて来ましたが、一度ちゃんと纏めて記事にしたいと思っていました。

まず、EQに関しては、特にインターネット上では、本当に様々な意見があって、良く分かりません。ですので、自分が見て信用できると思う意見を独断で纏めるのがこの記事です。いくつかのシリーズ記事となると思います。

ただ最初に、良くあるEQレシピ的なもの。例えばギターはココをブーストしてカットだ!みたいなのは、大体当てにしないほうが良い、というのは個人的には思っていますので、それは書きません。

というのも特に私がやってるようなエレクトロ系の音楽では、何か謎の音とか使いますから、そんなんレシピに載ってない、というのが一点。

それと、一例として、ピアノをこうする、とか書いてても、例えばArturiaのプラグインだったら、ピアノこれだけあります。

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どのピアノやねん、って話になると思います。特にMetalとかGlassとか、相当音違いますし、Jazz Uprightとかも、Grandとはかなり違う音が出ます。これが2点目。

さらに最も重要なのは、様々なトラックの中でのピアノですので、その音単体でEQを行う、という事はしないはずです。

自分の耳を鍛えるというのが一番大事とは思いますが、それでも手法や理屈として、こういうアプローチでEQを使ったら良い、というのは有るはずです。そこで、いくつかのYoutubeや記事から、これは専門家であろう、という人たちの記事を纏めながら、書いていきたいと思います。

 

どんな音楽を作っているのか

EQ関係ない内容から書きますが、これはAbletonユーザーには結構大事な事だろう、と思っています。というのも、私も含めて、Ableton Liveを使う人の多くは、サンプルを多用するからです。サンプル音の多くは、すでにEQやコンプなどのプロセスを行われている場合が殆どです。コンプ全然必要ないサンプル音源とか沢山あります。というか、何でコンプ使うのか、とか考えたら、サンプル音源でコンプ不要とか、良くある事と思っています。また、EQに関しても、かなり作り込まれている音も沢山あって、ともすれば過剰なEQの使用に繋がりかねないと私は思っています。

さらに、Ableton Liveユーザーは、サンプルを多く使用し、あまり生楽器の録音をしない、という方も多いと思います。私もたまにギターとベース、シンセとか適当にその辺の音録音したのとか使う程度です。その場合もまた、EQの使用は変わってくる筈です。生楽器を録音しないなら、ノイズも少ないでしょう。フェーズの反転等も、あまり考えなくても良い場合が多いはずです。(余談ですがサンプル販売しているサイトから購入したサンプルでも、位相が反転している事はたまにあります)

ただ、もちろん他のトラックとの干渉がありますので、EQは必要です。ただ、サンプル音を使用する場合は過剰なEQの使用は注意すべきであろうと考えます。必要ないなら使わなくていい、というのが、私の基本的な考え方です。

 

次の記事からどんどん書いていきます。このページにも書き足す度にリンクを貼っていきます!

 

こちらがその1です。

kichizyo.hatenablog.jp

 

その2

kichizyo.hatenablog.jp

 

その3

kichizyo.hatenablog.jp

 

その4

kichizyo.hatenablog.jp

 

その5

kichizyo.hatenablog.jp

MusicTechの記事:Critical mixing advice in Ableton Live 10を纏める

Mix前に読むと良いような記事

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結構基本的な事を多く扱っている記事で、Abletonの機能の活用も書いてあり、「よし!今からMixやで!」という時に一回サラッと読んどくと良いような、色々な注意点や便利機能を纏めた文章が欲しくて、書く事にしました。何度か書いていますが、結構自分で見直す用の記事も有るので、今回もそういう感じです。特に私Mix上手くないので、色々勉強しないとな、と思っています。最近はMixも最小限が良い、とよく思います。前までは色々やりすぎてたなぁ、と。素人ほど色々小賢しい事やりすぎる、というのは、本当にその通りと思います。そんな反省を最近しました。

 

原文の記事はこちらです。

Critical mixing advice in Ableton Live 10: a step-by-step guide

 

Ableton Live使用者の為に書かれている記事なので、他DAW使用の方々は、「こんな機能無いし」という事が結構書かれています。

私が読みやすい様に意訳していますし、私の感想とかちょいちょい入れてるので、細かい所は違うと思いますが、大意がズレてなければ良しとします。因みに、前回もこういった翻訳系の記事を書きました。iZotopeのMixing Guideの記事です。そちらもリンクを載せてみます。

 

Free Guide: Mixing with iZotopeの要点を纏める - Sound Lab Kichizyo

 

結構長い記事になると思います。多分5千字超えますが、自粛中でちょっと時間ある時の読み物に丁度良い長さかもしれません。面倒な方は、ここから作業だけ抜き取った部分に飛んでください!

 

 段階を踏んだAbleton Live 10でのMixing Advice  

 

行ってみます!

Mixで大事なこと

Mixの目標は3つです。その作曲構成において、

  1. 音をより良くする
  2. よりまとまったものにする
  3. より洗練されたものにする

の3つです。正直フワッとしてるなぁ、、、と思いましたが、まぁ良いです。マスタリング出来る状態まで作り上げるのがステレオMixで、Ableton Liveはこれを行う機能を十全に持っています。

また、何かしらの基準やゴールを持つことも大事です。様々な環境で音を聞きましょう。良いモニターヘッドフォンやスピーカーだけでなく、スマホでもタブレットでも、我々が日常で聞くもので、どういう風に聞こえるかを知ることは重要です。様々な音量でMixを確認しましょう。特殊な場合、例えば完成された曲が大音量で流される為、それ用のMix、とか、大音量を出して聞く為のスタジオがある、とか、そういう場合を除いて、Mix作業の音量は大音量でする必要はありません。

 

より良いMixの為に

先ずはリソースの管理について。Buffer Sizeは適正でしょうか。大きくしすぎると、ライブでは影響がありますから、使用目的を考えて設定するのが重要です。Buffer Sizeの変更というのは、ハードウェアとの連携で変更が必要な時があります。

すいません、私これ関係ないから調べてません。ハードにもよると思いますので。

 

フリーズしてからのオーディオ化というのは、CPUの節約にもなりますし、とても便利な機能です。しかし、コレをしてしまうと、音を変える選択肢が少なくなる事を頭に入れておかないといけません。

ここは私の感想なので、どうでも良いのですが、オーディオ化、Resamplingしないと出来ない音作りもあると思いますので、Resamplingする必要がある時は、ガンガンするべきと思います。当然記事の通り、元の音を変える、という事が不可能になるため、Resamplingも目的を持ってやるべきと思われます。

 

また、Mixでは自分の作品に対して、批判的になり、客観的になることが大事です。本当にそのトラックは必要なのか?時間かけたから良いものが出来ると言うわけではありませんので、その辺りをよく考えないといけません。

確かに、だいぶ昔、学生だった頃先生が、「それ以上削る場所が無い曲が完成品だ」と言っていました。今考えると、これホンマその通りやなぁ、って思います。

リファレンストラックを用意しましょう。リファレンストラックでは、

  • リファレンストラックのどこが気に入ったのか
  • そこを実現するために、どんな手法や道具を使っているのか
  • どうやったら再現できるのか

に注目します。

 

音量に注意して下さい。トラックのどれかが-1.0 dBを超えている場合、すべてのトラックを選択して、全体のボリュームをまとめて下げるのは良い手段です。Mixのボリュームの相互バランスを変えずに音量調整できます。

また、リミッター、コンプ、オートメーションの前に、ボリュームを自動で調整するプラグインを使うのも良い手段です。特にボーカルに使うのはオススメです。作業効率が上がります。

記事ではMelda ProductionのMAutoVolumeをあげていますが、WavesのVocal Riderとか、iZotopeのNectarとか、結構色々あります。

 

しっかりと音をまとめる

アコースティックな楽器、もしくはエレクトロアコースティックな楽器(これは普通に演奏するエレキギターとかの事です)は、結構役割がはっきりとした物が多いですが、これらの楽器は、そういう意味では、EQの使用やCompの使用なども、分かりやすい所があります。

しかし、シンセサイザーは、深い低音から高音まで多くの範囲をカバーし、結果としてミックスを圧倒してしまうことがあります。プリセットから簡単に良い音を選んで、何も考えずに音を使うと、Mixのバランスを崩す、というのは良くあることです。

Liveのデフォルトのデバイスはミキシングには十分な性能を持っていますし、それを上手く使いこなして良いMixをする人たちは沢山います。

 

それと、重要な事なのですが、すべてのトラックがリバーブを必要とするわけではありません。なぜそのエフェクトを選んだのかが重要です。蛇足は避けましょう。何かMixのTo Doリストの様な物が有って、それを埋めていくのがMix作業ではありません。自分が目指す音が実現できているかどうかがポイントです。

Warpモードの使い方に関して少しここで説明があります。ボーカルやギターのような長いオーディオテイクを扱う場合は、オリジナルから変わったテンポで演奏する場合や、タイミングの問題を修正する必要がある場合除いて、基本的にWarpモードをかける必要はありません。

多分これは、所謂機械臭くない演奏を活かす為と、Warpで下手にタイミング調整して生じるノイズやズレを危惧して、という事だと思われます。

 

もしWarpを使う必要がある場合でも、クリップを分割して、分割した一部だけにWarpモードを使うという手もあります。

クリップの分割は、Ctrl+Eのショートカットです。ショートカットはガンガン覚えると、本当に作業効率が変わります。基本的な情報はここにメモした記事があります。

Ableton Live 10 マストテクニック50 - Sound Lab Kichizyo

また、上の記事には書いていませんが、Midiトラックの同時編集も覚えておくととても捗ります。同時編集に関しては、公式のこの部分です。

MIDIノートとベロシティを編集する — Abletonリファレンスマニュアル バージョン10 | Ableton

 

細かく分割することで、作業がスムーズになる場合もありますし、新しい音が発生することもあるでしょう。Ctrl+Gのグループ化も重要なテクニックです。Busトラックの作成なので、当然必要です。

もう一つ大事なことは、休憩を取ること。疲れている、音聞きすぎ、行き詰った、そういう時は、その場を離れましょう。散歩に出かける。遊びに行く。何か他のことをして、何かをして、リフレッシュして戻ってくると良いでしょう。見逃していた何かに気づくかもしれないし、新しい楽曲の良さを見つけることもあります。

Mixのしすぎに注意して下さい。そもそも作曲過程の作業中に、ラフなMixを行っている場合が多いので、潜在的な問題は解決している場合もよくあります。MixしなければならないからMixする、というのは間違いです。

 

段階を踏んだAbleton Live 10でのMixing Advice

1.普通は作業の流れでやるべきですが、トラックの名前と色を整理しましょう。

 

2.モニタリングの道具は複数持ちましょう。モニタースピーカーは、特に大きかったり高価なものである必要はありませんが、正確に音が出るものを選びましょう。スピーカーを使う時は、Mixの全体像をチェックする時、ヘッドホンを使う時は細部をチェックする時、という感じで、用途が違いますので、両方必要です。

 

3.Bufferサイズは、音が止まったり、Mixに支障が出ないなら、上げましょう。フリーズをして、CPUの節約をする手もあります。

 

4.ここがMIDI 編集を確認する最後のチャンスと思って下さい。クリップに間違ったノートがないか、Velocityは大丈夫か。また、結構忘れがちで重要な所ですが、ノートの長さは大丈夫か。適当に音を重ねると、当然音が乱れるだけでなく、他のトラックの音を妨げたりすることがあります

 

5.オーディオトラックの確認です。そのWarpモードは必要ですか?ループしないトラックや、タイミングを合わせる必要が無いトラックにWarpを使うのはやめましょう。Warpが必要な場合は、適切なWarpモードを選びましょう。

Warpモードに関しては、音源も合わせて、こちらの記事に載せています。

Ableton Liveでのサンプル編集 Clip Viewを使いこなす - Sound Lab Kichizyo

 

6.オーディオトラックが複数ある場合は、Warpモードの使い方に注意します。例えば10個以上オーディオトラック数が増えると、「いい感じのノリ」が崩れる事が多いです。複数のオーディオトラックを使用する際は、Grooveが崩れていないかよく聞く必要があります。

記事ではこの後コメントがありました。Pushが如何に優れているか、というコメントです。ライブでも普通の曲作成でも、Pushはとても素晴らしいハードです。正直、単純な制作作業では、ハードの楽器以外は、Pushだけで問題ないと思える位です。ライブの為にツマミが足りないなら、適当にKorg NanoKontorolでもあれば上等ですし、私は使いませんが、今はiPad等でTouchableとか使えます。色々有りますが、私はPushがAbletonにとって最高のハードと思っています。それ以上が必要な人は、Pushプラスαで、自分に合った環境構築するのが一番ではないでしょうか。

 

7.Mixで一番重要な機材はEQです。全てのトラックにEQ8を使う場合もあるでしょう。良くある処理では、低音をカットするために、EQ8はとても簡単で便利です。

ここは私の個人的な感想ですが、EQ8は、市販されているプラグインと比べても全く劣りません。Low EndのCutから、MS処理、特定周波数だけのリスニング等まで、様々なEQ処理はEQ8で行えます。しかもデフォルトエフェクトの為とても軽いです。基本的な処理はEQ8で大丈夫と思われます。

 

8. EQ は、あるトラックが様々な別のトラックと、周波数帯がぶつかり合う中で、それぞれのスペースを確保するのに役立ちます。周波数が交差する部分をカットするために使用すれば、他に類を見ないほどミックスをクリアにすることができます。EQの周波数表示や独立したスペクトラムアナライザを使って、何が起こっているのかを視覚化してみましょう。

 

9.トラックの絶対値を決めるために、全トラックにリミッターをかけ、-1.0 dB に設定しましょう。より音圧や音量が欲しい時は、リミッターのGainを触って調整して下さい。

ここは間違いなく賛否両論有ると思いますが、記事にはそう書いていたので、とりあえず訳してみました。私はちなみに、音圧とかボリュームスカスカの曲好きです。そういう人もいると思います。こういう手法もある、位で知っておくのは良いと思います。この記事、結構Limitter押しな所があります。

 

10.もし必要ならば、個々のトラックにコンプを使って良いでしょう。ただ、リミッターの方が便利かもしれません。(多分、トラック全体にかけて、音圧を上げたり音量を調整する目的では、という意味です)コンプは、音色を変えるエフェクトとしても使用するのも良いでしょう。

 

11.サイドチェインは音色の変化や雰囲気の変化の目的でよく使われますが、存在感を殺さない目的でMixでも多用されるテクニックです。Kickをトリガーにした、Bassへのサイドチェインエフェクトは典型的なものです。

この応用として、独特なノリを作るSidechainに関して以前書いた記事がこちらです。

Side Chain Trackを作ってグルーブを作る - Sound Lab Kichizyo

 

12.Utilityデバイスは、Mixの強い味方です。例えば、Bass Monoスイッチで周波数を設定してローエンドをタイトに保ち、Widthコントロールで残りのアウトプットの幅を広げることができます。

Utility Deviceに関しては、もう少し掘り下げた記事を前回書きました。以下がリンクです。確かに、Mixには便利なデバイスです。とりあえずUtility突っ込んでOKです。

Utility Deviceはとても便利 - Sound Lab Kichizyo

 

また元記事ではこの位置にコメントが有ります。未使用のトラックやクリップが膨大な量になってしまった場合、整理整頓しなさい、という内容です。最終トラックには、必要最小限の要素だけが含まれていることを確認して下さい、という事でした。基本のショートカットですが、トラックやクリップのミュートは、任意のトラックやMidiクリップを選択して0を押すだけです。

 

13. 様々なエフェクトを各トラックに使っていると思いますが、Mixingの段階で調整、また新たにエフェクトを追加などする事があるでしょう。このMixの段階で、それらエフェクトが、あなたの曲の中で、どのような脈絡で、どう必要なのかを確認して下さい。これは正しいとか、間違っているとかの作業ではありませんが、望んだ通りにエフェクトが効いているか確認して下さい。

 

14. リターントラックは、Send コントロールを通して、同じエフェクトをすべてのトラックに異なる程度で適用することができます。このリターントラックを使うことで、Mixが均一で、一貫したものになります。Ableton Liveのフルバージョンでは、12のリターントラックが使用可能です。

リターントラックの数を12以上にする方法は、前回記事で書きましたので、ココにもリンクを載せておきます。

Ableton LiveでReturn Trackを12個以上作る方法 - Sound Lab Kichizyo

 

15. グループトラックはMixに大きな変化を与えます。例えばパーカッションやシンセなど、複数ある関連性の高いトラックをグループ化することで、それらを纏めて一つとして扱うことができます。これにより、グループ全体にEQや圧縮、エフェクトを追加することができます。

ショートカットはCtrl+Gです。

 

16.グループトラックを使用するもう一つの利点は、全体のボリューム調整を素早く行えることです。グループ内でレベルのバランスが取れれば、操作するトラックの数を効果的に少なくすることが出来て、管理がはるかに簡単になります。

 

17. マスタートラックにエフェクトをかける必要はありません。グループトラックを適切に使用している場合、基本的にマスターには沢山のエフェクトは必要ありません。リミッターとテープシミュレーターや、その他の音に色付けを少しする程度のエフェクトが、せいぜい使われる位でしょう。

 

18. ミキシングの最終段階は、ステレオミックスをエクスポートすることです。マスターレベルを最大にする事に執着する必要はありません。ボリュームの最大位置以下に設定していて大丈夫です。ノーマライゼーションを使用したり、コンプを使って圧縮したり、リミッターをかけたりはしないで下さい。この辺りに関しては、また次の機会に述べます。

おそらくこれ以降は、また別の過程として、マスタリングの記事で書く。という事だと思いますが、まだその記事は書かれていないようです。近年ではMixとMasteringを同じような流れでDAW内でやってしまう、という事も増えていますが、こちらの記事では、また別の形で、という事だと思います。

 

うーん、書いていて途中で飽きるレベルで長かったです!多分最長かなと思います。読んでもらってありがとうございました!

 

Ableton LiveでReturn Trackを12個以上作る方法

Return Trackの上限は12個

Ableton Liveのバージョンは、現在10.1です。そろそろ11が出てどうなるのか分かりませんが、とりあえずこのバージョンでは、Return Trackは12個までしか作れません。試してみるとこんな感じで、

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右クリックをしても、新規リターントラック作成が出来なくなります。そもそもReturn Trackは12個も要らんやろ、と思われた方が多くいらっしゃると思いますし、実際普通はその通りですが、このReturn Track、結構使いみちが多いです。

例えば以前書いた、Fabfilter Pro-Q 3で、結構間違ったSidechainの使い方をしてた記事があります。

kichizyo.hatenablog.jp

 

この記事の前半部分みたいな使い方もあり、普通のリターントラックとは、また少し毛色を変えた使用方法もあります。

それに、リターントラックにあるエフェクトを入れて、そのリターントラックに対応した、それぞれのトラックのノブにオートメーションを入れたりすると、一つのエフェクトを沢山のトラックにオートメーションをかけたりとかも出来ます。そうするとエフェクトのオートメーションにも統一感が出ます。

 

そう考えると、リターンが12トラックでは足りない!という方も結構居るのではないかと思いました。私も結構ギリギリの時があったので、ちょっと何か方法無いか調べてみたところ、一つ記事を発見しました。こちらです。

www.blackghostaudio.com

 

この記事、結構長いうえに、関係ないこともそれなりに書いているので、リターントラックを増やす部分だけ抜き出して、方法を書いてみます。

ただ一点、この作業、純粋にリターントラックの数を増やすわけではなく、リターントラックと同じ働きの物を作る、というものです。

また、沢山のトラックに使用するエフェクトは、やはり普通のリターントラックでやったほうが、CPUの節約になります。

とりあえずやってみます。

 

例として、Distortionのリターンを作成する

今回では、Mixで言う所のガーリックソースの様な(iZotope Mixing Guide曰く)、ディストーションで試しに作成してみます。

ディストーションの様に、リターントラックで使う場合は、全部には使わないけど、幾つかのトラックで、何種類かを使いたい、また、たまにオートメーションも入れたい。でもそうするとリターントラックが12個じゃ足りない、みたいな時にこの手法が使えます。そんな状況あるんかい、って話ですが、知ってて損も無いですし、とりあえずやってみます。

 

Audio Effect Rackを使う

この時点で方法言ってるみたいなもんですが、先ずはAudio Effect Rackを入れます。この際、画像の赤丸で囲った部分をクリックして、チェーンリストを表示して下さい。

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今回ディストーションは4種類入れたいと思います。Tube系と、Tape系と、Fuzzと、特殊系にします。

先ずは、最初のチェーンをあと4つ作ります。右クリックで作成できます。

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最初にあるやつをオリジナルと名付けます。その後はエフェクトの名前をそれぞれチェーンに名付けます。

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それぞれのチェーンに、任意のエフェクトを入れていきましょう。画像はFuzzです。iZotopeのTrashです。この際、あくまでリターントラック的な使い方なので、私はどれもWet 100%で使っています。

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これで一応完成です。

 

調整はチェーンのボリュームで

このAudio Effect Rackを使ったReturnでは、最初のオリジナルの部分が原音ですね。エフェクトは何も入ってないです。

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これがオリジナルの音で、追加した各チェーンは並列処理で、リターンとして使用できます。リターンをあげたい時は、チェーンのボリュームを上げていくと、リターンエフェクトがかかっていきます。

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同じリターンが必要な場合は、これをコピーして、必要なトラックに貼り付けたら、一応リターントラックの数は、いくらでも増やせる、という事になります。でも、この手法、元の記事にも書いていましたが、やりたい放題プラグインとか使いまくって、コピーして貼り付けまくったら、結構CPU喰います。そこだけ注意して、沢山使いたい時は、デフォルトのエフェクトデバイス使ったら問題ないと思われます。

 

こういう発想次第で、色々応用効くのが、Abletonの面白い所ではないかと思います。以上、ありがとうございました!